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幼少期
41 腹の探り合い
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スタンレイ子爵は焦っていた。
王妃が双子を産んだらしいという情報を掴んでから既に六年が過ぎていた。
それなのに、国中の孤児院をくまなく探したにも関わらず、未だに王子らしき子供を見つけられずにいる。
(おかしい。やはり王妃が双子を産んだと思ったのは、私の勘違いだったのだろうか?)
自室でチビリチビリと酒を飲みながら、スタンレイ子爵は自問自答を繰り返す。
だが、陞爵の儀でのヘンリーとサラの態度をみる限り、何かしら王家の秘密を握っているのは間違いないはずだ。
(もう一度、孤児院を回ってみるか)
前回は孤児院に出向いた際、誰彼構わずに質問して回ったが、今回は孤児院院長と直接話をしてみよう。
スタンレイ子爵はそう決めると、まずは王都内の孤児院を訪ねて回った。
何処の孤児院でも該当する子供は見つからなかったが、スタンレイ子爵は特に落胆しなかった。
(流石に王都内の孤児院に連れて行ったりはしないだろう。問題はここからだ)
スタンレイ子爵は次に王都の隣町サウスフォードにある孤児院を訪れた。
『タルコット孤児院』と書かれた門をくぐり、院長に面会を求めると院長室へと通された。
あらかじめ、自分の身元がばれないように眼鏡をかけ、口元から下を覆うほどの付け髭をつけておいた。
「ようこそいらっしゃいました。私が孤児院長のマーク・タルコットです」
ソファーに向かい合わせに座ると、タルコット院長が自己紹介をしてきた。
「マクレガンと申します。今日は突然の訪問になり申し訳ありません」
スタンレイ子爵はわざと『マクレガン』の名前を名乗る。
もしもの時にはマクレガンに責任をなすりつけるつもりだった。
「本日はどのようなご要件でしょう? 失礼ながら養子を探しに来られたとは思えませんが…」
探りを入れるような院長の視線にもスタンレイ子爵は特に何も思わなかった。
確かにこんな老人一人が孤児院を訪れる事なんてそうそうないだろう。
スタンレイ子爵は出来るだけ哀れに見えるような表情で院長に訴えかけた。
「実は…我が家の恥を晒すようになりますが、私の息子が他所のお嬢さんを妊娠させてしまいましてね。挙げ句に『自分の子供なんて証拠はどこにもない』と言って一方的に捨ててしまったのです。ところがその息子が先日事故で亡くなりまして…。息子は結婚もしていなかったので私は跡取りが居なくなってしまいました。風の噂に息子が捨てたお嬢さんは出産はしたものの、育てられないからと産んだ子を孤児院に置いてきたと聞いたのです。もしかしたら、こちらにその子供がいないでしょうか?」
そこまで言うとスタンレイ子爵はポロリと涙をこぼしてみせる。
相手が女性ならば、同情して親身になってくれるものだが、タルコット院長の場合は違った。
金の匂いを嗅ぎつけたのか、ギラギラとした目をスタンレイ子爵に向ける。
「なるほどなるほど。それは大変でしたね」
口先では同情したように見せているが、その頭の中は『目の前の人物から幾ら絞り取れるか』と算段しているのだった。
「それで? あなたのお孫さんに当たる子供がこちらの孤児院にいないかとおっしゃるのですね?」
スタンレイ子爵もこの院長が一筋縄ではいかない人物だと嗅ぎ取っていた。
(だが、こういう人物は金を払えばいくらでも言う事を聞いてくれるはずだ)
お互いに腹の探り合いをしながら、話は進んでいく。
「いつ頃、そのお孫さんはお生まれになったのですか?」
院長の質問にスタンレイ子爵は考える素振りをしながら、エドワード王子の誕生日を告げる。
「七年前の六月頃だと聞いています」
「ほう、七年前の六月頃ねぇ」
院長の脳裏にエドアルドの顔が思い浮かんだ。
(そう言えば、エドアルドの産着は割と上等な物だったな。この男は貴族らしいから、エドアルドはこの男の孫なのか?)
院長はエドアルドの情報でこの男から幾ら絞り取れるか、頭の中で金貨の山を思い描いた。
王妃が双子を産んだらしいという情報を掴んでから既に六年が過ぎていた。
それなのに、国中の孤児院をくまなく探したにも関わらず、未だに王子らしき子供を見つけられずにいる。
(おかしい。やはり王妃が双子を産んだと思ったのは、私の勘違いだったのだろうか?)
自室でチビリチビリと酒を飲みながら、スタンレイ子爵は自問自答を繰り返す。
だが、陞爵の儀でのヘンリーとサラの態度をみる限り、何かしら王家の秘密を握っているのは間違いないはずだ。
(もう一度、孤児院を回ってみるか)
前回は孤児院に出向いた際、誰彼構わずに質問して回ったが、今回は孤児院院長と直接話をしてみよう。
スタンレイ子爵はそう決めると、まずは王都内の孤児院を訪ねて回った。
何処の孤児院でも該当する子供は見つからなかったが、スタンレイ子爵は特に落胆しなかった。
(流石に王都内の孤児院に連れて行ったりはしないだろう。問題はここからだ)
スタンレイ子爵は次に王都の隣町サウスフォードにある孤児院を訪れた。
『タルコット孤児院』と書かれた門をくぐり、院長に面会を求めると院長室へと通された。
あらかじめ、自分の身元がばれないように眼鏡をかけ、口元から下を覆うほどの付け髭をつけておいた。
「ようこそいらっしゃいました。私が孤児院長のマーク・タルコットです」
ソファーに向かい合わせに座ると、タルコット院長が自己紹介をしてきた。
「マクレガンと申します。今日は突然の訪問になり申し訳ありません」
スタンレイ子爵はわざと『マクレガン』の名前を名乗る。
もしもの時にはマクレガンに責任をなすりつけるつもりだった。
「本日はどのようなご要件でしょう? 失礼ながら養子を探しに来られたとは思えませんが…」
探りを入れるような院長の視線にもスタンレイ子爵は特に何も思わなかった。
確かにこんな老人一人が孤児院を訪れる事なんてそうそうないだろう。
スタンレイ子爵は出来るだけ哀れに見えるような表情で院長に訴えかけた。
「実は…我が家の恥を晒すようになりますが、私の息子が他所のお嬢さんを妊娠させてしまいましてね。挙げ句に『自分の子供なんて証拠はどこにもない』と言って一方的に捨ててしまったのです。ところがその息子が先日事故で亡くなりまして…。息子は結婚もしていなかったので私は跡取りが居なくなってしまいました。風の噂に息子が捨てたお嬢さんは出産はしたものの、育てられないからと産んだ子を孤児院に置いてきたと聞いたのです。もしかしたら、こちらにその子供がいないでしょうか?」
そこまで言うとスタンレイ子爵はポロリと涙をこぼしてみせる。
相手が女性ならば、同情して親身になってくれるものだが、タルコット院長の場合は違った。
金の匂いを嗅ぎつけたのか、ギラギラとした目をスタンレイ子爵に向ける。
「なるほどなるほど。それは大変でしたね」
口先では同情したように見せているが、その頭の中は『目の前の人物から幾ら絞り取れるか』と算段しているのだった。
「それで? あなたのお孫さんに当たる子供がこちらの孤児院にいないかとおっしゃるのですね?」
スタンレイ子爵もこの院長が一筋縄ではいかない人物だと嗅ぎ取っていた。
(だが、こういう人物は金を払えばいくらでも言う事を聞いてくれるはずだ)
お互いに腹の探り合いをしながら、話は進んでいく。
「いつ頃、そのお孫さんはお生まれになったのですか?」
院長の質問にスタンレイ子爵は考える素振りをしながら、エドワード王子の誕生日を告げる。
「七年前の六月頃だと聞いています」
「ほう、七年前の六月頃ねぇ」
院長の脳裏にエドアルドの顔が思い浮かんだ。
(そう言えば、エドアルドの産着は割と上等な物だったな。この男は貴族らしいから、エドアルドはこの男の孫なのか?)
院長はエドアルドの情報でこの男から幾ら絞り取れるか、頭の中で金貨の山を思い描いた。
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