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第1章
第4話 地獄
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「ぐあぁぁぁーーー!!」
敷島からは遠く離れた、アデマス王国の南西にある研究所。
そこに着いた翌日から限にとっての地獄が始まった。
長い時間をかけてここへ着いたその日はもう夕方になっており、夕食を取った後これから寝起きする場所と言われた部屋へと限は案内された。
2週間程の移動により、旅の疲れからかその日はぐっすりと眠れた。
しかし、次に目が覚めた時には、どこだか分からない一室で磔の状態にされており、多く線が限に巻き付けられていた。
何の冗談かと思い、窓ガラスの奥の隣室へいるオリアーナへ問いかけるが、何の答えもされない。
そして、オリアーナが笑みを浮かべた次の瞬間、限に巻きつけられた線へ強力な電流が流れてきた。
少しの間流され続けたことによって、限はあまりの苦しみから叫び声を上げて気を失った。
「なかなか耐えられるものなのね?」
限の叫び声を聞いても特に何か感じる訳でもなく、普通の人間よりも電流への耐性があることに感心したような言葉をオリアーナは呟く。
強化ガラス一枚隔てた何もない部屋で、研究員によって巻きつけられた線を解かれている限を見ながら笑みを浮かべた。
「魔力の抵抗無しでここまでとは……、敷島の血ですかね?」
巨大な機器に出された数値を見ていた男が、オリアーナへと問いかける。
これまでも数人の人間へ同じような実験を行ったが、限の耐久力を目の当たりにして、僅かばかり驚いている表情だ。
「ふんっ! 何が敷島よ! 野蛮な脳筋どもが……」
オリアーナとしては、敷島の人間が嫌いだ。
同じアデマス王国に所属している者同士なのだが、この研究所はまだ王族から何の評価も得られていない。
逆に敷島の人間は、王族に頼まれればすぐさま行動し、その暗殺術によって敵を討ち倒してきたことで大きな評価を得ている。
「私たちの研究が成功すれば、ただ人を殺すだけの奴らなんて必要なくなるわ」
敷島のやっていることはただの人殺し。
その程度のことは別に敷島の人間でなくてもできること。
この研究所の最終目的が達成されれば、同じことをするのは簡単なことだ。
人殺し程度で、王族から好評価を受けている敷島の者たちがでかいツラしているのが、オリアーナはずっと気に入らないでいたのだ。
「父親にとって邪魔でしかないという魔無しの子の話を聞いてチャンスだと思ったわ。奴らの厄介払いに手を貸すことになるのが気に入らないけれど、出来損ないでも奴らの強さがわかるかもしれない。私たちにとってあの子は良いサンプルになるわ」
「そうですね」
この研究員の男は、オリアーナのように敷島の人間に何も思う所はない。
しかし、研究材料として敷島の人間が欲しいという思いはどこかにあった。
手に入れたのは魔無しの出来損ないではあるが、れっきとした敷島の人間だ。
オリアーナの言う通り、サンプルにはなる。
「今日はここまでにしましょう」
「初日に潰してはもったいないですからな」
初日の実験は様々な魔法の耐性を計るというもの。
電流の後には火責めや冷却責めなど、限はいくつかの耐性を計られた。
そして、体中に傷や火傷を負った限はようやく解放されることになった。
研究員の回復魔法によってある程度回復され、後は回復薬を飲まされ、自分で歩く気力のない限は昨日自室といわれた部屋へと運ばれて行ったのだった。
『何なんだ? 何でこんなことをされているんだ? これからどうなるんだ? 分からない……。何が何だか……』
部屋に放り込まれた限は、床にうつ伏せになったまま思考を回転させる。
父の重蔵からは、自分はここで防衛の手伝いをするという話をされていた。
そのはずなのに、これでは防衛どころかただの実験体でしかないではないか。
何故このようなことをされているのかが分からず、限は精神的疲労から眠りにつく事しか出来なかった。
「がはっ!!」
「おぉ、以前よりも毒の耐性が上がっている。他の者なら死んでいるだろう」
毎日毎日、限への実験はおこなわれた。
様々な魔法耐性力を計られた後は、様々な薬品による実験だった。
致死量ギリギリの毒を飲まされ、どこまで耐えられるのか。
そして、耐えられなくなる寸前の所を見極めての解毒を行なうということを繰り返す。
苦しみの連続により、限は頭がおかしくなりそうだ。
「う、うぅ……」
毒による長い苦しみから解放され、限はようやくまともに呼吸ができる。
しかし、これに耐えたからと言って終わりではない。
次に何が来るかに怯えながら辛うじて意識を保つことしかできない。
「威力を間違えるなよ! 貴重なサンプルだ」
「はい!」
隣の部屋からは、多くの研究員が限の実験結果を眺めている。
魔無しへの実験は珍しいからか、新人研究員には見世物のように扱われる時もあった。
「ウギャーー!!」
「くそっ!? この分量には耐えられないか……」
研究所へ来て2年経った。
様々な研究により、ある程度のサンプルが取れた限への実験は次の段階へと移っていった。
この日も致死量ギリギリを計るための毒実験を行われたのだが、その分量を研究員が間違えたらしく、いつも以上の苦痛が限へと襲い掛かってきた。
敷島の血によるものなのか、限は何とか一命をとりとめる。
「チッ! 手足が壊死しだしたか?」
「仕方ない。切り落としましょう」
以前の実験失敗によるものなのか、限には回復薬が効きづらくなっていった。
そのせいなのか、次第に限の体には徐々に変化が起きていた。
実験によって爛れた皮膚は治らず、次第に容姿が崩れていった。
そして、実験によって蓄積されたダメージからか、手足が壊死し始めた。
それを見て、オリアーナはあっさりと切断の決断を取る。
暴れないようにという意味で麻酔を打たれはしたが、度重なる実験によって限は体の感覚が鈍くなっており、痛みを感じないまま両手足の切断は終わっていた。
敷島からは遠く離れた、アデマス王国の南西にある研究所。
そこに着いた翌日から限にとっての地獄が始まった。
長い時間をかけてここへ着いたその日はもう夕方になっており、夕食を取った後これから寝起きする場所と言われた部屋へと限は案内された。
2週間程の移動により、旅の疲れからかその日はぐっすりと眠れた。
しかし、次に目が覚めた時には、どこだか分からない一室で磔の状態にされており、多く線が限に巻き付けられていた。
何の冗談かと思い、窓ガラスの奥の隣室へいるオリアーナへ問いかけるが、何の答えもされない。
そして、オリアーナが笑みを浮かべた次の瞬間、限に巻きつけられた線へ強力な電流が流れてきた。
少しの間流され続けたことによって、限はあまりの苦しみから叫び声を上げて気を失った。
「なかなか耐えられるものなのね?」
限の叫び声を聞いても特に何か感じる訳でもなく、普通の人間よりも電流への耐性があることに感心したような言葉をオリアーナは呟く。
強化ガラス一枚隔てた何もない部屋で、研究員によって巻きつけられた線を解かれている限を見ながら笑みを浮かべた。
「魔力の抵抗無しでここまでとは……、敷島の血ですかね?」
巨大な機器に出された数値を見ていた男が、オリアーナへと問いかける。
これまでも数人の人間へ同じような実験を行ったが、限の耐久力を目の当たりにして、僅かばかり驚いている表情だ。
「ふんっ! 何が敷島よ! 野蛮な脳筋どもが……」
オリアーナとしては、敷島の人間が嫌いだ。
同じアデマス王国に所属している者同士なのだが、この研究所はまだ王族から何の評価も得られていない。
逆に敷島の人間は、王族に頼まれればすぐさま行動し、その暗殺術によって敵を討ち倒してきたことで大きな評価を得ている。
「私たちの研究が成功すれば、ただ人を殺すだけの奴らなんて必要なくなるわ」
敷島のやっていることはただの人殺し。
その程度のことは別に敷島の人間でなくてもできること。
この研究所の最終目的が達成されれば、同じことをするのは簡単なことだ。
人殺し程度で、王族から好評価を受けている敷島の者たちがでかいツラしているのが、オリアーナはずっと気に入らないでいたのだ。
「父親にとって邪魔でしかないという魔無しの子の話を聞いてチャンスだと思ったわ。奴らの厄介払いに手を貸すことになるのが気に入らないけれど、出来損ないでも奴らの強さがわかるかもしれない。私たちにとってあの子は良いサンプルになるわ」
「そうですね」
この研究員の男は、オリアーナのように敷島の人間に何も思う所はない。
しかし、研究材料として敷島の人間が欲しいという思いはどこかにあった。
手に入れたのは魔無しの出来損ないではあるが、れっきとした敷島の人間だ。
オリアーナの言う通り、サンプルにはなる。
「今日はここまでにしましょう」
「初日に潰してはもったいないですからな」
初日の実験は様々な魔法の耐性を計るというもの。
電流の後には火責めや冷却責めなど、限はいくつかの耐性を計られた。
そして、体中に傷や火傷を負った限はようやく解放されることになった。
研究員の回復魔法によってある程度回復され、後は回復薬を飲まされ、自分で歩く気力のない限は昨日自室といわれた部屋へと運ばれて行ったのだった。
『何なんだ? 何でこんなことをされているんだ? これからどうなるんだ? 分からない……。何が何だか……』
部屋に放り込まれた限は、床にうつ伏せになったまま思考を回転させる。
父の重蔵からは、自分はここで防衛の手伝いをするという話をされていた。
そのはずなのに、これでは防衛どころかただの実験体でしかないではないか。
何故このようなことをされているのかが分からず、限は精神的疲労から眠りにつく事しか出来なかった。
「がはっ!!」
「おぉ、以前よりも毒の耐性が上がっている。他の者なら死んでいるだろう」
毎日毎日、限への実験はおこなわれた。
様々な魔法耐性力を計られた後は、様々な薬品による実験だった。
致死量ギリギリの毒を飲まされ、どこまで耐えられるのか。
そして、耐えられなくなる寸前の所を見極めての解毒を行なうということを繰り返す。
苦しみの連続により、限は頭がおかしくなりそうだ。
「う、うぅ……」
毒による長い苦しみから解放され、限はようやくまともに呼吸ができる。
しかし、これに耐えたからと言って終わりではない。
次に何が来るかに怯えながら辛うじて意識を保つことしかできない。
「威力を間違えるなよ! 貴重なサンプルだ」
「はい!」
隣の部屋からは、多くの研究員が限の実験結果を眺めている。
魔無しへの実験は珍しいからか、新人研究員には見世物のように扱われる時もあった。
「ウギャーー!!」
「くそっ!? この分量には耐えられないか……」
研究所へ来て2年経った。
様々な研究により、ある程度のサンプルが取れた限への実験は次の段階へと移っていった。
この日も致死量ギリギリを計るための毒実験を行われたのだが、その分量を研究員が間違えたらしく、いつも以上の苦痛が限へと襲い掛かってきた。
敷島の血によるものなのか、限は何とか一命をとりとめる。
「チッ! 手足が壊死しだしたか?」
「仕方ない。切り落としましょう」
以前の実験失敗によるものなのか、限には回復薬が効きづらくなっていった。
そのせいなのか、次第に限の体には徐々に変化が起きていた。
実験によって爛れた皮膚は治らず、次第に容姿が崩れていった。
そして、実験によって蓄積されたダメージからか、手足が壊死し始めた。
それを見て、オリアーナはあっさりと切断の決断を取る。
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