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第2章
第56話 西へ
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「西へ向かうのは良いのだが……」
敷島の人間である中里と木内によって、人間を魔物化する薬を作っていた研究員たちが殺されてしまった。
それによって、自分たちを人体実験していた研究員たちを見つけ出す手がかりが無くなってしまった。
仕方がないので、限たちは以前助けた小人族のゼータの祖父が示した範囲の町を捜索することにした。
示した範囲の中心地はここから西へと向かった場所のため、限たちは西へと向かうことを決定した。
「レラ!」
「ハイ?」
宿屋の一室で話し合っていた限とレラ。
話し合いによって西へ向かうことは決定したが、限は1つ気になることがあった。
そのことを尋ねるため、限は真剣な目をして対面の椅子に腰かけたレラへと話しかけた。
「お前はどこまで付いてくる気だ?」
「えっ?」
限の問いに対し、レラは「何故?」と言うかのように首を傾げた。
ここまで長い距離を共に過ごしてきたが、どうして限がそのようなこと言って来るのか理解できなかったからだ。
「研究員たちへの復讐は分かるが、どうやら敷島の連中も動いているようだ。そうなると今のお前では荷が重い」
「…………そうですか」
レラの表情で何を考えているのかを察した限は、問いかけた理由を説明し始めた。
今はどう考えているか分からないが、研究所の人間は自身を鍛えるよりも生物兵器を作ることで国の戦力を強化しようと考えていた者たちだ。
そのせいで研究員たちの戦闘力は低いため、今のレラでも戦力として問題なく戦えるだろう。
しかし、今回の暗殺事件によって、敷島の連中が自分たち同様に逃げ出した研究員たちの始末を企んでいるということが理解できた。
これから先、もしも敷島の人間がかかわってくるようなことになると、従魔である白狼のアルバや巨大亀のニールなら何とかなるかもしれないが、レラが相手にするのは少々荷が重い。
つまり、限は遠回しに足手まといと言っているのだ。
そのことをちゃんと理解したレラは、俯きつつ返事をする。
「私はあの研究所で死ぬ運命でした。それを救ってくれたのが限様です。私はあなたのためならいつでも命を捨てる覚悟です。ですので、私は死ぬまで限様に付いて行くつもりです」
俯いた顔を上げたレラは、強い口調で自分の意思を告げてきた。
自分が限と初めて会ったのは、研究所の地下廃棄場に捨てられて死ぬ寸前だった時だ。
何の罪もないにもかかわらず陥れられ、バツとして研究所で実験体として利用されることに生きることを諦めかけていた。
そんな自分が生きているのは限に救われたからで、限の役に立つために存在しているのだ。
だから、常にそばにいて、限の危機が迫った時にはこの身を盾にして限を守るつもりだ。
「……敷島の奴らなら、お前を人質にするかもしれないぞ?」
「私を救うために限様が危機に陥るというのでしたら、見捨てていただいて構いません!」
重いとは思っていたが、レラが本気でいっているのは分かる。
しかし、敷島の連中なら、任務遂行の邪魔になるならあらゆる手を講じてくるはず。
そうなると、限の言う通りレラは人質として格好の的になる。
その言葉を聞いて、レラは間髪入れずに返答してきた。
どうやら、そうなった時の覚悟もできているようだ。
「お前を助けたのは気まぐれだ。命を捨てるまで恩に思う必要はない」
「これは私の選んだ道です! ですから、最後まで連れていってください!」
「……そうか」
地下で辛うじて生きていたレラを救ったのは、単なる限の気まぐれだ。
研究所の奴らの好きにさせるのが癪だったというのもある。
なので、自分を神扱いするレラを重く感じていた。
これまでもそれをやめるように注意をして来たのだが、話している限りどうやらレラの思いを修正できないことを限は悟った。
「西へ行くついでに、ダンジョンに寄って行こう」
「ダンジョンですか?」
レラの考えを聞いた限は、突然話を切り替える。
そのことは別に構わないが、レラとしてはダンジョンという言葉が気になった。
「ここから西に行ったところにシトゥム-ロの町にはダンジョンがある」
「えぇ。たしかにそう聞いています」
ギルドに出入りしていれば、この程度の簡単に情報は耳に入ってくる。
なので、レラもシトゥムーロにダンジョンがあるということは分っている。
ダンジョンとは魔素の集結によってできた核が、周囲の地形を変化させ、その内部に入った生物を殺害し、その死体を吸収してより魔素を得るというある意味では魔物の一種ともされる存在だ。
「そこでレラを鍛える」
「えっ……?」
足手まといにならないようになれるのはありがたいことだが、研究員たちを探さなければならないというのに、そんな事していていいのかとレラは考えた。
そのため、限の言葉に一瞬躊躇うような反応になった。
「オリアーナたちがしていた研究は、そう頻繁に移動できるようなものではない。だから今更急ぐ必要はない」
生物を魔物へ変化させて兵器として利用する。
自分やレラたちに人体実験をした者たちが行っていたのはそんな研究だ。
そんな研究を、移動しながらおこなうというわけにはいかない。
そのため、もしもゼータの祖父の予言が正しいとするなら、今さら慌てる意味がない。
「かと言って、敷島の捜索能力はかなりのものだ。長期間放って置けば先に奴らに研究員たちを見つけられてしまうだろう」
今回のことで、敷島の連中も自分たちと同様に、アデマス王国から逃げ出した研究員たちの捜索と始末の任務を受けていることが分かった。
敷島の人間なら、そう遠くない未来に研究員たちを見つけ出してしまうことだろう。
「シトゥムーロのダンジョンは危険だという話だ。そこで短期間でお前を強くする」
ダンジョン内部に出現する魔物は外の魔物とも違う特殊な場合があり、時には獲物を取り入れようと外部へと出てくる場合がある。
それが数体であれば構わないが、スタンピードになったら町の1つはすぐに壊滅する。
そうならないためにも、シトゥムーロの町はダンジョン攻略の冒険者で溢れているそうだ。
ダンジョンの核は得てして最奥にあり、その核を破壊すれば、ダンジョンはただの洞窟へとなり替わる。
シトゥムーロのダンジョンの場合、ある一定層まで行くと魔物の脅威が段違いに上がると言われていて、破壊した核を持ち込めば一生遊んで暮らせる額だとも言われている。
限たちの場合攻略が目的ではなくレラの強化のため、強力な魔物なのは望むところだ。
「きついことになるが、耐えられるか?」
「耐えて見せます!」
「よしっ! じゃあ、行こう」
「はいっ!」
限は若干脅すように問いかけるが、レラの気持ちは変わらないらしく、全く退くことなく頷いた。
それを見た限は、話した通りシトゥムーロの町へと向けて出発することにしたのだった。
敷島の人間である中里と木内によって、人間を魔物化する薬を作っていた研究員たちが殺されてしまった。
それによって、自分たちを人体実験していた研究員たちを見つけ出す手がかりが無くなってしまった。
仕方がないので、限たちは以前助けた小人族のゼータの祖父が示した範囲の町を捜索することにした。
示した範囲の中心地はここから西へと向かった場所のため、限たちは西へと向かうことを決定した。
「レラ!」
「ハイ?」
宿屋の一室で話し合っていた限とレラ。
話し合いによって西へ向かうことは決定したが、限は1つ気になることがあった。
そのことを尋ねるため、限は真剣な目をして対面の椅子に腰かけたレラへと話しかけた。
「お前はどこまで付いてくる気だ?」
「えっ?」
限の問いに対し、レラは「何故?」と言うかのように首を傾げた。
ここまで長い距離を共に過ごしてきたが、どうして限がそのようなこと言って来るのか理解できなかったからだ。
「研究員たちへの復讐は分かるが、どうやら敷島の連中も動いているようだ。そうなると今のお前では荷が重い」
「…………そうですか」
レラの表情で何を考えているのかを察した限は、問いかけた理由を説明し始めた。
今はどう考えているか分からないが、研究所の人間は自身を鍛えるよりも生物兵器を作ることで国の戦力を強化しようと考えていた者たちだ。
そのせいで研究員たちの戦闘力は低いため、今のレラでも戦力として問題なく戦えるだろう。
しかし、今回の暗殺事件によって、敷島の連中が自分たち同様に逃げ出した研究員たちの始末を企んでいるということが理解できた。
これから先、もしも敷島の人間がかかわってくるようなことになると、従魔である白狼のアルバや巨大亀のニールなら何とかなるかもしれないが、レラが相手にするのは少々荷が重い。
つまり、限は遠回しに足手まといと言っているのだ。
そのことをちゃんと理解したレラは、俯きつつ返事をする。
「私はあの研究所で死ぬ運命でした。それを救ってくれたのが限様です。私はあなたのためならいつでも命を捨てる覚悟です。ですので、私は死ぬまで限様に付いて行くつもりです」
俯いた顔を上げたレラは、強い口調で自分の意思を告げてきた。
自分が限と初めて会ったのは、研究所の地下廃棄場に捨てられて死ぬ寸前だった時だ。
何の罪もないにもかかわらず陥れられ、バツとして研究所で実験体として利用されることに生きることを諦めかけていた。
そんな自分が生きているのは限に救われたからで、限の役に立つために存在しているのだ。
だから、常にそばにいて、限の危機が迫った時にはこの身を盾にして限を守るつもりだ。
「……敷島の奴らなら、お前を人質にするかもしれないぞ?」
「私を救うために限様が危機に陥るというのでしたら、見捨てていただいて構いません!」
重いとは思っていたが、レラが本気でいっているのは分かる。
しかし、敷島の連中なら、任務遂行の邪魔になるならあらゆる手を講じてくるはず。
そうなると、限の言う通りレラは人質として格好の的になる。
その言葉を聞いて、レラは間髪入れずに返答してきた。
どうやら、そうなった時の覚悟もできているようだ。
「お前を助けたのは気まぐれだ。命を捨てるまで恩に思う必要はない」
「これは私の選んだ道です! ですから、最後まで連れていってください!」
「……そうか」
地下で辛うじて生きていたレラを救ったのは、単なる限の気まぐれだ。
研究所の奴らの好きにさせるのが癪だったというのもある。
なので、自分を神扱いするレラを重く感じていた。
これまでもそれをやめるように注意をして来たのだが、話している限りどうやらレラの思いを修正できないことを限は悟った。
「西へ行くついでに、ダンジョンに寄って行こう」
「ダンジョンですか?」
レラの考えを聞いた限は、突然話を切り替える。
そのことは別に構わないが、レラとしてはダンジョンという言葉が気になった。
「ここから西に行ったところにシトゥム-ロの町にはダンジョンがある」
「えぇ。たしかにそう聞いています」
ギルドに出入りしていれば、この程度の簡単に情報は耳に入ってくる。
なので、レラもシトゥムーロにダンジョンがあるということは分っている。
ダンジョンとは魔素の集結によってできた核が、周囲の地形を変化させ、その内部に入った生物を殺害し、その死体を吸収してより魔素を得るというある意味では魔物の一種ともされる存在だ。
「そこでレラを鍛える」
「えっ……?」
足手まといにならないようになれるのはありがたいことだが、研究員たちを探さなければならないというのに、そんな事していていいのかとレラは考えた。
そのため、限の言葉に一瞬躊躇うような反応になった。
「オリアーナたちがしていた研究は、そう頻繁に移動できるようなものではない。だから今更急ぐ必要はない」
生物を魔物へ変化させて兵器として利用する。
自分やレラたちに人体実験をした者たちが行っていたのはそんな研究だ。
そんな研究を、移動しながらおこなうというわけにはいかない。
そのため、もしもゼータの祖父の予言が正しいとするなら、今さら慌てる意味がない。
「かと言って、敷島の捜索能力はかなりのものだ。長期間放って置けば先に奴らに研究員たちを見つけられてしまうだろう」
今回のことで、敷島の連中も自分たちと同様に、アデマス王国から逃げ出した研究員たちの捜索と始末の任務を受けていることが分かった。
敷島の人間なら、そう遠くない未来に研究員たちを見つけ出してしまうことだろう。
「シトゥムーロのダンジョンは危険だという話だ。そこで短期間でお前を強くする」
ダンジョン内部に出現する魔物は外の魔物とも違う特殊な場合があり、時には獲物を取り入れようと外部へと出てくる場合がある。
それが数体であれば構わないが、スタンピードになったら町の1つはすぐに壊滅する。
そうならないためにも、シトゥムーロの町はダンジョン攻略の冒険者で溢れているそうだ。
ダンジョンの核は得てして最奥にあり、その核を破壊すれば、ダンジョンはただの洞窟へとなり替わる。
シトゥムーロのダンジョンの場合、ある一定層まで行くと魔物の脅威が段違いに上がると言われていて、破壊した核を持ち込めば一生遊んで暮らせる額だとも言われている。
限たちの場合攻略が目的ではなくレラの強化のため、強力な魔物なのは望むところだ。
「きついことになるが、耐えられるか?」
「耐えて見せます!」
「よしっ! じゃあ、行こう」
「はいっ!」
限は若干脅すように問いかけるが、レラの気持ちは変わらないらしく、全く退くことなく頷いた。
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