復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

文字の大きさ
157 / 179
第5章

第157話 目には目を①

しおりを挟む
「くそ!! どうなっているんだ!?」

 限たちが侵入し、それぞれが戦いを始めたこと。
 王城を包囲していたアデマス軍は、城から出て来た敷島兵たちとの戦いを開始していた。
 そんな中、アデマス軍のトップであるラトバラは、現状に焦るような声を上げていた。

「何であいつらはこれまで以上に強力になっているんだ!?」

 強化薬を使用した敷島兵といっても、集団による様々な攻撃によって傷を付けることくらいは難しくない。
 しかし、圧倒的な数で攻め立てているにも関わらず、なかなか敷島兵が殺せないどころか、小さい傷を付けるだけしかできないでいたからだ。
 敵がなかなか減らせないため、こちらの兵の死傷者がとんでもない勢いで増えている。
 完全に予想外の状況の理由が思いつかないラトバラは、その答えを側で控えるリンドンに求めた。

「わ、私にも分かりません!」

 問いかけられたリンドンも、敵の異常な強さに戸惑っていた。
 そのため、ラトバラに問いかけられても答えようがない。

「失礼します!」

「どうした!?」

 戸惑っている2人の所に、突如隊員が駆け寄ってきた。
 その隊員に対し、リンドンが問いかける。

「敷島兵の者が飲んでいた強化薬を手に入れることに成功しました」

「そうか……」

 敷島兵が飲んでいたということは強化薬だろう。
 これまでの戦いで倒して来た敷島兵の死体の中には、予備となる強化薬を所持していた者もいたため、ラトバラたちアデマス軍は僅かばかりだが手に入れている。
 それと同じものがまた手に入ったのだろうと、リンドンは何の気なしに隊員が差し出した薬入りのビンを受け取った。

「っ!? これは……」

「……どうした?」

 これまでの戦いで手に入れていることから、ラトバラは敷島兵の使う強化薬になんて今更興味がなかった。
 リンドンも同じ思いのはずにもかかわらず戸惑いの声を上げたため、気になったラトバラはその理由を問いかける。

「奴らがこれまで使用していた薬と違います!」

「何っ!?」

 説明を受け、ラトバラはリンドンの側へ駆け寄る。
 そして、リンドンから受け取ったビンに入る強化薬を見比べた。

「本当だ! 微妙に違う……」

 左右に持ったビンの中に入っている薬を何度も往復するように見比べたラトバラは、先程のリンドンの言葉を肯定する。
 薬の色は同じだが、僅かに形が違うように見えるからだ。

「もしかしたら薬の効能が上がっているのでは?」

「そうか! だからこれまで以上にしぶといのか……」

 形が違う理由。
 それは恐らく、これまでの強化薬と区別をするためで、理由は効能が違うからだろう。

「おのれ! あのくそ女!!」

 敵側には、オリアーナというマッドサイエンティストがいるということは掴んでいる。
 アデマス王国が乗っ取られる前、隣国の帝国へと攻め込んだことがあった。
 その時は帝国側にいたが、その後、どういった経緯からか敷島側に寝返ったという話だ。
 その女が、またも厄介なことにしてくれたようだ。
 そのため、ラトバラは怒りを我慢できず、この場にいないオリアーナへの雑言を口にした。

「あの女も確実に殺すが、今はそれどころではない!」

 怒りから顔を真っ赤にしつつも、現状を考えればオリアーナのことは後回しにするしかない。
 そのため、ラトバラは地団駄を踏みつつも意識を切り替えた。

「そうですね。しかし、どうしたら……」

 敵のしぶとい理由は、新薬によることだと分かった。
 しかし、それが分かったからと言って、現状を変えるための方策が見つかった訳ではない。
 そのため、リンドンは現状打破への思考を巡らせる。

「……そうだ! あれ・・を使おう!」

あれ・・? ……あぁっ! なるほど!」

 少しの沈黙があった後、ラトバラが何かを思いだしたかのように声を上げる。
 最初、何を意味するのか分からなかったリンドンだったか、すぐにラトバラが何を言いたいのかを理解した。

「すぐに行動に移します!」

 意図を理解し、リンドンはすぐに動く。
 指示を出すため一礼して、ラトバラの側から立ち去っていった。





◆◆◆◆◆

「ヒャッハー!! こんな雑魚ども相手じゃ、数の脅威なんて無いも同然だぜ!」

「がっ!!」

 アデマス兵を殺す近藤家の敷島兵は、自身の力に酔っていた。
 ワラワラと次から次に覆い掛かってくるアデマス軍の兵を、まるで紙でも斬るかのように葬っているからだ。
 それが新薬の効能による力だということは、頭からすっぽりと抜け落ちているようだ。

「次はどいつだ!?」

 周囲はアデマス兵に囲まれ、自分以外の仲間がどうなっているかなんて分からない。
 しかし、自分と同様に敵兵を屠っているに違いない。
 そう思いながら、その敷島兵は迫り来る敵を煽った。

“シュッ!!”

「がっ!?」

 いくら敷島兵でも、数の力には屈するしかない。
 しかし、新薬の助けもあって、これまで掠り傷程度しか付けられておらず、このまま自分や仲間たちがアデマス軍を倒すのが先か、それとも自分たちが力尽きるのが先かという状況に持ち込むことができた。
 そう思っていた自分に、痛手を与える人間がいるなんて思いもしていなかったため、その敷島兵は不意の一撃を躱すことができず直撃した。

「くっ!!」

 倒れたら敵の攻撃の的になる。
 そうならないために、その敷島兵はなんとか体勢を立て直す。

「っ!! お、お前ら……」

 自分に一撃を入れた人間。
 それが何者かを確認する為に視線を向けた敷島兵は、その人間を見て驚きの声を漏らす。

「フッ! 驚いたか?」

 望遠の魔道具を使用して、その敷島兵を眺めていたラトバラは、驚きの表情を見て、自分の策が成功したことに笑みを浮かべて呟く。

「目には目を、敷島の者には敷島の者を……だ」

 敷島兵に攻撃を加えることに成功した者。
 それは、ラトバラの言葉からも分かるように、捕まえていた敷島の人間たちだ。
 この王都には多くの敷島人がいたが、アデマス軍の侵攻によって捕縛された。
 敷島人と言っても、兵になることができなかった者たちだ。
 そうは言っても、アデマス軍の兵よりも実力が上の者もいたため、その捕まえた敷島人を奴隷化して、敷島兵にぶつけることにしたのだ。

「予定外だったが、考えておいて正解だったな……」

 万が一のことも考えての策だったが、まさかこんなすぐに使うことになるとは思ってもいなかった。
 しかし、これでアデマス軍の兵が減る勢いを抑えることに成功した。
 そのことにひとまず満足し、ラトバラは安堵の言葉を呟いたのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

処理中です...