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第3章
第42話
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「……………………」
ケイは並んだ墓の前で目を瞑り、手を合わせる。
生き残った5人の獣人たち、美花とレイナルド、理解しているのか怪しいが、カルロスも同様だ。
この世界の場合、人の死体を火葬するのが基本になっている。
死体がアンデットになったら面倒だからだ。
それは獣人族でも同じで、魔法の指輪から出した遺体を一人一人火葬していった。
近所に住んでいて仲が良かったのか、彼らは自分たちの家族だけでなく、他の人たちの火葬中も涙を流していた。
そして、土魔法で作った骨壺に遺骨をいれ、同じく魔法で作ったお墓の中に埋葬した。
「ここなら安らかに眠れるだろう……」
「ありがとうございます」
景色が良い所へ亡くなった人たちを埋葬してあげようと考えたら、ケイたちが住む島の北部になった。
海を一望できる場所なので、きっと亡くなった人たちも穏やかに過ごせるだろう。
西へ沈む夕暮れの海は、美しくも儚く感じるが、ルイスたちもこの場所を満足しているようだ。
なんとなくお墓の前から離れにくくいた5人を促し、ケイは彼らを家に招いた。
子供が生まれたことを期に、ケイが建てた平屋の一戸建てだ。
ケイたち一家は、ずっと使っていた近くの岩場の拠点から移り住んだのだ。
子供部屋も作っておいたが、まだ小さいので空き部屋になっている。
とりあえずそこに男女で別れて寝てもらうことにした。
「お風呂もあるから交代で入ってくれ、困ったことは女性は美花に、男性は俺に聞いてくれ」
「ありがとうございます」
なんとなく話しやすいからか、いつの間にかルイスが獣人たちのまとめ役になってきている。
他の者たちも、それで少しは気が楽になっているのか、大分落ち着いている
「夕食の用意ができたぞ」
女性陣が先にお風呂に入った後、男性陣も入り、少しして夕食の時間になった。
ケイと美花が作った料理がテーブルの上に置かれた。
「「「「いただきます」」」」
「「「「「?」」」」」
ケイたち親子が手を合わせて合唱する中、5人はきょとんとしていた。
「食事をする時の日向の挨拶だよ。食べ始める前に「いただきます」、食べ終わったら「ごちそうさまでした」って言うんだ」
「なるほど……」
獣人族にはそういった挨拶はなく、手を合わせてから食べ始めるだけなのだそうだ。
レイナルドが説明すると、ルイスたちは納得した表情をしていた。
ケイは単純に日本生まれだからやっていたのだが、人族にもこのような風習はないらしい。
日本と同じような風習のある日向出身のの美花がいるので、子供たちには日向の風習と教えておいた。
「魚と肉が中心だが、良かったか?」
「あぁ、助かります」
狼の獣人と聞いていたので、なるべく肉と魚を中心にした。
特に魚は、ケイたち家族は暇つぶしでよく釣りにいくので、余るくらいに備えてある。
大体干物にして食べたりしているが、余り過ぎた場合はキュウたちケセランパサランたちのおやつに変わっている。
思った通り、彼らの手は肉や魚料理によく伸びている。
「ここの赤米は普通のとは違い美味いですね」
「嬉しいね。頑張って育てたかいがあるよ」
赤米を見つけたのは本当にラッキーだった。
しかし、初期はパサパサした感じがしていまいちに思う所があった。
主食としてはジャガイモもあるので大丈夫なのだが、日本人ならやはり米がいい。
何とかして赤米を美味くできないかと思って試したのが、塩水選だ。
塩水に種もみをいれて、浮いた中身の少ない種もみを取り除く方法だ。
最初は少しの塩分濃度で選別していたのだが、とある番組で塩分強めの濃度で更に厳選した種もみで作った米は美味くなるというのを見たことがあった。
それをやるようになって、少しずつ赤米でも美味いのができるようになってきた。
とは言っても、前世の日本の白米と比べればまだまだ差がある。
日本の農家の方の努力には敬服するしかない。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「「「「ごちそうさまでした」」」」
意味を聞いて気に入ってくれたのか、獣人の皆もケイたちと同じように食後の挨拶をした。
それを見て、ケイたちも少し和んだ気分になった。
「美味しかったです」
「口に合ってよかったよ」
悲しい思いをした彼らは、気分的にそれほど喉を通らないのではないかと、ちょっと多めに作ってしまったのではないかと思っていたのだが、彼らはしっかりと食べ、料理はほとんど残らなかった。
話だと、避難する時食料は結構摘んでいたらしく、漂流中も食事はできていたらしい。
とはいっても、いつなくなるか分からなかったので、腹が膨れるほどは食べていなかったとのことだ。
道理であまり痩せていないように見える。
アンヘルが流れ着いた時とは雲泥の差だ。
「ルイスたちはこれからどうするんだ? 獣人大陸に戻りたいなら船を造るぞ」
「えっ?」
夜寝る前に男女の年長者であるルイスとアレシアだけ呼び止め、少しだけ話をすることにした。
彼らがここに流れ着いたのは偶々。
元居た村はともかく、大陸に戻るという選択もできる。
そう考えて聞いてみたのだが、話すのが早すぎただろうか、反応からすると彼らもまだ決めていないようだ。
「まぁ、ゆっくり考えてくれていいぞ」
「分かりました。皆で話し合ってみます」
アレシアも大分余裕ができてきたのだろうか、いつまでも年長の自分が泣いている訳にはいかないと思うようになった。
ルイスにばかり任せるのも申し訳ないので、ケイにしっかりとした口調で答えを返した。
「じゃあ、おやすみ」
「「おやすみなさい」」
軽く頭を下げた後、2人は寝室へと向かって行った。
それを見て、ケイも寝室に向かって行ったのだった。
ケイは並んだ墓の前で目を瞑り、手を合わせる。
生き残った5人の獣人たち、美花とレイナルド、理解しているのか怪しいが、カルロスも同様だ。
この世界の場合、人の死体を火葬するのが基本になっている。
死体がアンデットになったら面倒だからだ。
それは獣人族でも同じで、魔法の指輪から出した遺体を一人一人火葬していった。
近所に住んでいて仲が良かったのか、彼らは自分たちの家族だけでなく、他の人たちの火葬中も涙を流していた。
そして、土魔法で作った骨壺に遺骨をいれ、同じく魔法で作ったお墓の中に埋葬した。
「ここなら安らかに眠れるだろう……」
「ありがとうございます」
景色が良い所へ亡くなった人たちを埋葬してあげようと考えたら、ケイたちが住む島の北部になった。
海を一望できる場所なので、きっと亡くなった人たちも穏やかに過ごせるだろう。
西へ沈む夕暮れの海は、美しくも儚く感じるが、ルイスたちもこの場所を満足しているようだ。
なんとなくお墓の前から離れにくくいた5人を促し、ケイは彼らを家に招いた。
子供が生まれたことを期に、ケイが建てた平屋の一戸建てだ。
ケイたち一家は、ずっと使っていた近くの岩場の拠点から移り住んだのだ。
子供部屋も作っておいたが、まだ小さいので空き部屋になっている。
とりあえずそこに男女で別れて寝てもらうことにした。
「お風呂もあるから交代で入ってくれ、困ったことは女性は美花に、男性は俺に聞いてくれ」
「ありがとうございます」
なんとなく話しやすいからか、いつの間にかルイスが獣人たちのまとめ役になってきている。
他の者たちも、それで少しは気が楽になっているのか、大分落ち着いている
「夕食の用意ができたぞ」
女性陣が先にお風呂に入った後、男性陣も入り、少しして夕食の時間になった。
ケイと美花が作った料理がテーブルの上に置かれた。
「「「「いただきます」」」」
「「「「「?」」」」」
ケイたち親子が手を合わせて合唱する中、5人はきょとんとしていた。
「食事をする時の日向の挨拶だよ。食べ始める前に「いただきます」、食べ終わったら「ごちそうさまでした」って言うんだ」
「なるほど……」
獣人族にはそういった挨拶はなく、手を合わせてから食べ始めるだけなのだそうだ。
レイナルドが説明すると、ルイスたちは納得した表情をしていた。
ケイは単純に日本生まれだからやっていたのだが、人族にもこのような風習はないらしい。
日本と同じような風習のある日向出身のの美花がいるので、子供たちには日向の風習と教えておいた。
「魚と肉が中心だが、良かったか?」
「あぁ、助かります」
狼の獣人と聞いていたので、なるべく肉と魚を中心にした。
特に魚は、ケイたち家族は暇つぶしでよく釣りにいくので、余るくらいに備えてある。
大体干物にして食べたりしているが、余り過ぎた場合はキュウたちケセランパサランたちのおやつに変わっている。
思った通り、彼らの手は肉や魚料理によく伸びている。
「ここの赤米は普通のとは違い美味いですね」
「嬉しいね。頑張って育てたかいがあるよ」
赤米を見つけたのは本当にラッキーだった。
しかし、初期はパサパサした感じがしていまいちに思う所があった。
主食としてはジャガイモもあるので大丈夫なのだが、日本人ならやはり米がいい。
何とかして赤米を美味くできないかと思って試したのが、塩水選だ。
塩水に種もみをいれて、浮いた中身の少ない種もみを取り除く方法だ。
最初は少しの塩分濃度で選別していたのだが、とある番組で塩分強めの濃度で更に厳選した種もみで作った米は美味くなるというのを見たことがあった。
それをやるようになって、少しずつ赤米でも美味いのができるようになってきた。
とは言っても、前世の日本の白米と比べればまだまだ差がある。
日本の農家の方の努力には敬服するしかない。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「「「「ごちそうさまでした」」」」
意味を聞いて気に入ってくれたのか、獣人の皆もケイたちと同じように食後の挨拶をした。
それを見て、ケイたちも少し和んだ気分になった。
「美味しかったです」
「口に合ってよかったよ」
悲しい思いをした彼らは、気分的にそれほど喉を通らないのではないかと、ちょっと多めに作ってしまったのではないかと思っていたのだが、彼らはしっかりと食べ、料理はほとんど残らなかった。
話だと、避難する時食料は結構摘んでいたらしく、漂流中も食事はできていたらしい。
とはいっても、いつなくなるか分からなかったので、腹が膨れるほどは食べていなかったとのことだ。
道理であまり痩せていないように見える。
アンヘルが流れ着いた時とは雲泥の差だ。
「ルイスたちはこれからどうするんだ? 獣人大陸に戻りたいなら船を造るぞ」
「えっ?」
夜寝る前に男女の年長者であるルイスとアレシアだけ呼び止め、少しだけ話をすることにした。
彼らがここに流れ着いたのは偶々。
元居た村はともかく、大陸に戻るという選択もできる。
そう考えて聞いてみたのだが、話すのが早すぎただろうか、反応からすると彼らもまだ決めていないようだ。
「まぁ、ゆっくり考えてくれていいぞ」
「分かりました。皆で話し合ってみます」
アレシアも大分余裕ができてきたのだろうか、いつまでも年長の自分が泣いている訳にはいかないと思うようになった。
ルイスにばかり任せるのも申し訳ないので、ケイにしっかりとした口調で答えを返した。
「じゃあ、おやすみ」
「「おやすみなさい」」
軽く頭を下げた後、2人は寝室へと向かって行った。
それを見て、ケイも寝室に向かって行ったのだった。
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