45 / 375
第3章
第45話
しおりを挟む
ルイスとの立ち合いを終え、5人の獣人たちはこの島に残ることになった。
先々のことを考えれば、人が増えた方が良いと思うのでありがたい。
元々ケイにとっては有利な条件だったので、何だか申し訳なくすら思う。
もしもの時の事を考え、食料の貯蓄はしておいてはいるが、ケイたち家族4人分しか置いていない。
亡くなった人もいるので言いたくないが、彼らが流れ着いたのが夏前で良かった。
人数も増えたのだし畑を拡張する余裕がある。
とは言っても、土魔法を使えば土を耕す時間なんてあっという間だ。
「便利な魔法があるのですね……」
「あまりケイを普通に考えない方が良いわよ」
あっという間に魔法で畑を拡張したケイに、ルイスも呆気にとられたように呟いた。
側にいた美花も最初は驚いたので、その気持ちが分からなくもない。
魔法に愛された種族とでも言うのだろうか、ケイの魔力量は美花とは桁が違う。
成長するたびにその差がどんどん開いていくので、出会った頃の追いつこうという気持ちは完全に失せている。
その代わり、生身の状態の戦闘ではケイの方がパワーや速度は低く、美花には全然太刀打ちできない。
エルフは、魔闘術がなければどの種族にも勝てない弱い種族のようだ。
ハーフのレイナルドも似た感じの成長力のようだ。
だが、人族の美花の血もあってか、ケイよりかはパワーの付きはいいようだ。
レイナルドがそうなのだから、弟のカルロスもそんな感じで成長するのだろう。
「ダンジョンがあるんですか?」
ルイスやアレシアに島の説明をしていたら、近くにいたイバンが反応を示した。
イバンはこの世界では成人となる15歳らしく、レイナルドの訓練にも丁度いいいい相手になっている。
獣人の場合男性女性関係なく、魔物から身を守るために武術を学んでいるらしい。
大人し気なアレシアやリリアナも、基本はできていると言っていた。
ルイスと共に、レイナルドをダンジョンに初挑戦させようと話していたのだが、イバンの耳に入ったのだろう。
獣人は耳まで良いのだろうか。
「イバンも行きたいのか?」
「行きたいっす!」
成人になっていると言っても、ケイはイバンの実力の全てを把握していない。
稽古でよくルイスに転がされているのを目にしているし、年下のレイモンドにも負けていたように思える。
目をキラキラさせ、尻尾がブンブン振り回されている所を見ると物凄い行きたいという気持ちは伝わってくる。
しかし、ケイと美花によって、少しずつとは言っても年々ダンジョンは成長している。
連れて行くのは実力的に不安になって来る。
「ルイスはどう思う?」
自分よりも面倒をよく見ているルイスの方が、イバンの実力のことは分かるだろう。
なので、ケイはルイスに相談してみることにした。
「そのダンジョン内の魔物の強さが分からないので悩みますが、イバンは防御が得意です。大怪我を負うことはないかと思います」
それはなんとなく分かる。
ルイスが稽古で、鬼のような攻めをしていたのを何度か見た気がする。
何でも、防御の強化が優先だとかなんとか。
「そっか、じゃあ、行こうか?」
「やったー!」
ケイの許可に、イバンはガッツポーズしていた。
ルイスが許可するなら良いだろう。
自分もフォローするつもりだし、そもそも無茶はしないことが優先なのだ。
男なんだし、ちょっとの怪我までなら許容範囲内だろう。
「嬉しいのは分かるが、安全重視だからな」
「はい!」
ちょっと浮かれている気がするのは成人とは言っても15歳、子供なのは仕方ない。
とりあえず、忠告として釘を刺しておいた。
「は~……」
「……どうしたんですかね? レイは……」
ケイ、レイナルド、イバン、ルイスの順でダンジョンに向かう最中、レイモンドが少し元気がないように見えた。
それが気になったイバンは、ケイにそのことを尋ねてきた。
因みに、イバンはレイナルドのことをレイと呼んでいる。
実力は負けていても年齢的には上なのだから全然構わない。
むしろ、ルイスとアレシアがケイと美花より年上なのにもかかわらず、命の恩人だからという理由で敬語を続けているのがむず痒い。
本人たちがそう言うのだから、ケイたちも気にしないことにした。
「自分がいなくなるのに、カルロスが何とも思っていなかったのが答えたらしい」
「あ~……、カルロスは女性陣に人気が高いから……」
元々カルロスは母親から離れたくない年頃。
弟が可愛くて仕方ないレイナルドは、全く引き留められなかったことが気になっていたらしい。
小さな子というのは種族など関係ないらしく、女性陣はカルロスをよく面倒見てくれている。
ただ、カルロスも小さいながらに男。
女性にちやほやされているのが分かっているのか、しょっちゅう食べ物をもらいに近付いて行っている。
「カルロスが女たらしならないといいな……」
そんなことを話ながらダンジョンに着き、レイナルドとイバンのことを考えて上の層だけトライした。
ここなら外の魔物より少し強いだけなので、2人でも安全だ。
レオナルドとイバンの初ダンジョンは、突然の魔物の出現に慌てて躓いたイバンが膝を擦りむいただけで、無難に終了したのだった。
先々のことを考えれば、人が増えた方が良いと思うのでありがたい。
元々ケイにとっては有利な条件だったので、何だか申し訳なくすら思う。
もしもの時の事を考え、食料の貯蓄はしておいてはいるが、ケイたち家族4人分しか置いていない。
亡くなった人もいるので言いたくないが、彼らが流れ着いたのが夏前で良かった。
人数も増えたのだし畑を拡張する余裕がある。
とは言っても、土魔法を使えば土を耕す時間なんてあっという間だ。
「便利な魔法があるのですね……」
「あまりケイを普通に考えない方が良いわよ」
あっという間に魔法で畑を拡張したケイに、ルイスも呆気にとられたように呟いた。
側にいた美花も最初は驚いたので、その気持ちが分からなくもない。
魔法に愛された種族とでも言うのだろうか、ケイの魔力量は美花とは桁が違う。
成長するたびにその差がどんどん開いていくので、出会った頃の追いつこうという気持ちは完全に失せている。
その代わり、生身の状態の戦闘ではケイの方がパワーや速度は低く、美花には全然太刀打ちできない。
エルフは、魔闘術がなければどの種族にも勝てない弱い種族のようだ。
ハーフのレイナルドも似た感じの成長力のようだ。
だが、人族の美花の血もあってか、ケイよりかはパワーの付きはいいようだ。
レイナルドがそうなのだから、弟のカルロスもそんな感じで成長するのだろう。
「ダンジョンがあるんですか?」
ルイスやアレシアに島の説明をしていたら、近くにいたイバンが反応を示した。
イバンはこの世界では成人となる15歳らしく、レイナルドの訓練にも丁度いいいい相手になっている。
獣人の場合男性女性関係なく、魔物から身を守るために武術を学んでいるらしい。
大人し気なアレシアやリリアナも、基本はできていると言っていた。
ルイスと共に、レイナルドをダンジョンに初挑戦させようと話していたのだが、イバンの耳に入ったのだろう。
獣人は耳まで良いのだろうか。
「イバンも行きたいのか?」
「行きたいっす!」
成人になっていると言っても、ケイはイバンの実力の全てを把握していない。
稽古でよくルイスに転がされているのを目にしているし、年下のレイモンドにも負けていたように思える。
目をキラキラさせ、尻尾がブンブン振り回されている所を見ると物凄い行きたいという気持ちは伝わってくる。
しかし、ケイと美花によって、少しずつとは言っても年々ダンジョンは成長している。
連れて行くのは実力的に不安になって来る。
「ルイスはどう思う?」
自分よりも面倒をよく見ているルイスの方が、イバンの実力のことは分かるだろう。
なので、ケイはルイスに相談してみることにした。
「そのダンジョン内の魔物の強さが分からないので悩みますが、イバンは防御が得意です。大怪我を負うことはないかと思います」
それはなんとなく分かる。
ルイスが稽古で、鬼のような攻めをしていたのを何度か見た気がする。
何でも、防御の強化が優先だとかなんとか。
「そっか、じゃあ、行こうか?」
「やったー!」
ケイの許可に、イバンはガッツポーズしていた。
ルイスが許可するなら良いだろう。
自分もフォローするつもりだし、そもそも無茶はしないことが優先なのだ。
男なんだし、ちょっとの怪我までなら許容範囲内だろう。
「嬉しいのは分かるが、安全重視だからな」
「はい!」
ちょっと浮かれている気がするのは成人とは言っても15歳、子供なのは仕方ない。
とりあえず、忠告として釘を刺しておいた。
「は~……」
「……どうしたんですかね? レイは……」
ケイ、レイナルド、イバン、ルイスの順でダンジョンに向かう最中、レイモンドが少し元気がないように見えた。
それが気になったイバンは、ケイにそのことを尋ねてきた。
因みに、イバンはレイナルドのことをレイと呼んでいる。
実力は負けていても年齢的には上なのだから全然構わない。
むしろ、ルイスとアレシアがケイと美花より年上なのにもかかわらず、命の恩人だからという理由で敬語を続けているのがむず痒い。
本人たちがそう言うのだから、ケイたちも気にしないことにした。
「自分がいなくなるのに、カルロスが何とも思っていなかったのが答えたらしい」
「あ~……、カルロスは女性陣に人気が高いから……」
元々カルロスは母親から離れたくない年頃。
弟が可愛くて仕方ないレイナルドは、全く引き留められなかったことが気になっていたらしい。
小さな子というのは種族など関係ないらしく、女性陣はカルロスをよく面倒見てくれている。
ただ、カルロスも小さいながらに男。
女性にちやほやされているのが分かっているのか、しょっちゅう食べ物をもらいに近付いて行っている。
「カルロスが女たらしならないといいな……」
そんなことを話ながらダンジョンに着き、レイナルドとイバンのことを考えて上の層だけトライした。
ここなら外の魔物より少し強いだけなので、2人でも安全だ。
レオナルドとイバンの初ダンジョンは、突然の魔物の出現に慌てて躓いたイバンが膝を擦りむいただけで、無難に終了したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる