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第3章
第47話
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夏は暑い。
当たり前のことである。
ここは海に囲まれ、いつでも入って涼むことができると思うが、実はそうでもない。
この世界には海の魔物もいるので入っていると襲われて怪我をする、という訳でもない。
もちろんその可能性もあるが、浅瀬に大怪我を負わせるような魔物はそうそう現れないし、現れても探知で近付いてくるのが分かるので危険ではない。
単純にこの島の人間は、みんな溺れて流れ着いた人間ということもあり、海が少し苦手になっている。
ケイや美花も泳ぐことはできるが、溺れた時の記憶がチラッとフラッシュバックするのであまり入りたくないというのが本心である。
「ここでいいかな?」
波がある海で泳ぎたくはないが、涼みたい気持ちはある。
獣人のみんなも、そんなところがあったら嬉しいと言っていた。
なので、作ることにした。
ケイたちが住む近くの海岸、その東は岩場になっている。
貝などを手に入れるにはいい岩場だが、他にも岩場はあるのでここがなくなっても食料的には問題ないだろう。
「ここでいいのですが、ケイ殿1人で大丈夫ですか?」
「たぶん大丈夫だよ」
ルイスは何か手伝えることがあるかもしれないからと、ケイに付いてきた。
はっきり言って、魔法を使えば出来るので手伝いとかいらないのだが、作ってから何か助言でもあったらしてもらおうと思っている。
「どれくらいの大きさが良いかな……」
ケイが今作ろうとしているのはプールだ。
魔法で岩を加工して、島のみんなが涼めるようにしたい。
それに、レイナルドに泳ぎを教えた時に困ったのが、まだ泳ぎに慣れていないのにもかかわらず足が付かないところに行った時だ。
親の気持ちからすると不安で仕方がなかった。
下の子のカルロスも、そろそろ泳げるように教えていきたい。
初心者・子供用に浅い所と、大人用の深い所を作る必要があるだろう。
「ハッ!」
岩場に穴を開け、明けた分の岩で防波堤のようなもので枠を作っていく。
「25mプールでいいだろ……」
錬金術で大工道具を作る時、メジャーを作ることに成功している。
ルイスに手伝ってもらって距離を測り、25mの目印を作っておいた。
それを目安に作り、浅い所2コース、深い所4コースの結構ちゃんとした枠ができた。
浅い所は小さい子供用と初心者用で、2段階の高さにしておいた。
これならまだ小さいカルロスでも足が付くだろう。
「………………とんでもない魔力量ですね?」
土を操るのはまだ難しくなく、魔力もあまり消費しない。
しかし、岩を変形させたリンなどは硬い分魔直を消耗しやすい。
なのにケイは、長さ25m、幅15mの綺麗なくぼみをあっという間に作り出してしまった。
獣人からしたら、考えられないような魔力量がないと作れないはずだ。
「エルフは魔法が命だからね」
驚かれるのは嬉しい。
なんとなく褒められている気分になるからだ。
獣人と違って魔力がなければ何もできないという欠点もあるが、その場合はルイスたちに任せればいい。
できることは自分でやって、できないことはできる人に任せればいい。
何でもかんでも自分1人でできるなんて考えるのは、おこがましいことだ。
家を建てるのにも色々な人間が関わって、作業を分担して作り上げていくものだ。
小さい頃から父に言われていた事だし、自分でもその通りだと思っている。
「中の水は海水の方が良いかな? それとも魔法で作った水の方が良いかな?」
「………………海水で良いのでは?」
プールの枠はできたが、水はまだ入っていない。
海にあまり入りたくない大人たちが涼むための意味もあるが、子供たちが海で泳げるように、泳ぎの練習のためのプールでもある。
大人たちのことを考えると、上がった時海水だとべたつくのが嫌だという人もいるかもしれない。
まぁ、魔法で作った水で軽く流してしまえばいいので大したことではないので、ルイスの言うように海水で溜めることにした。
「これで少しすれば溜まるでしょ?」
「そうですね」
ケイは、防波堤のような枠の一部に魔法で小さめの穴を開け、海水が流れてくるようにした。
もう一ヵ所反対側にも開け、これなら温泉のようにかけ流し状態になり、綺麗な状態を保てるだろう。
「さぁ! プール開きだ!」
1日経つとプールに水が溜まった。
それを見て、ケイはプール開きをみんなに伝えた。
「さぁ、カルロス。まずは顔をつける所から練習しよう」
「あい!」
ケイは作る前からの目的通り、カルロスへ泳ぎの練習を始めた。
美花はケイたちの隣のレーンでセレナの泳ぎをチャックしていて、その隣のレーンでアレシアとリリアナは優雅に泳いでいる。
「ヒャッハー!」
「うわっ!?」
「そ~れ! それ!」
イバンとレオナルドは、ルイスに放り投げられている。
それが面白いのか、何度もルイスにねだっていた。
思っていた通り、みんな波がなければ恐怖もないらしく楽し気だ。
ただ、残念なのは女性陣が水着出ないことだ。
男性陣は上半身裸で下はハーフパンツ。
女性陣は上半身はノースリーブで、下は短パンといった格好だ。
何はともあれ、みんなに楽しんでもらえたので、プールを作った甲斐があった。
当たり前のことである。
ここは海に囲まれ、いつでも入って涼むことができると思うが、実はそうでもない。
この世界には海の魔物もいるので入っていると襲われて怪我をする、という訳でもない。
もちろんその可能性もあるが、浅瀬に大怪我を負わせるような魔物はそうそう現れないし、現れても探知で近付いてくるのが分かるので危険ではない。
単純にこの島の人間は、みんな溺れて流れ着いた人間ということもあり、海が少し苦手になっている。
ケイや美花も泳ぐことはできるが、溺れた時の記憶がチラッとフラッシュバックするのであまり入りたくないというのが本心である。
「ここでいいかな?」
波がある海で泳ぎたくはないが、涼みたい気持ちはある。
獣人のみんなも、そんなところがあったら嬉しいと言っていた。
なので、作ることにした。
ケイたちが住む近くの海岸、その東は岩場になっている。
貝などを手に入れるにはいい岩場だが、他にも岩場はあるのでここがなくなっても食料的には問題ないだろう。
「ここでいいのですが、ケイ殿1人で大丈夫ですか?」
「たぶん大丈夫だよ」
ルイスは何か手伝えることがあるかもしれないからと、ケイに付いてきた。
はっきり言って、魔法を使えば出来るので手伝いとかいらないのだが、作ってから何か助言でもあったらしてもらおうと思っている。
「どれくらいの大きさが良いかな……」
ケイが今作ろうとしているのはプールだ。
魔法で岩を加工して、島のみんなが涼めるようにしたい。
それに、レイナルドに泳ぎを教えた時に困ったのが、まだ泳ぎに慣れていないのにもかかわらず足が付かないところに行った時だ。
親の気持ちからすると不安で仕方がなかった。
下の子のカルロスも、そろそろ泳げるように教えていきたい。
初心者・子供用に浅い所と、大人用の深い所を作る必要があるだろう。
「ハッ!」
岩場に穴を開け、明けた分の岩で防波堤のようなもので枠を作っていく。
「25mプールでいいだろ……」
錬金術で大工道具を作る時、メジャーを作ることに成功している。
ルイスに手伝ってもらって距離を測り、25mの目印を作っておいた。
それを目安に作り、浅い所2コース、深い所4コースの結構ちゃんとした枠ができた。
浅い所は小さい子供用と初心者用で、2段階の高さにしておいた。
これならまだ小さいカルロスでも足が付くだろう。
「………………とんでもない魔力量ですね?」
土を操るのはまだ難しくなく、魔力もあまり消費しない。
しかし、岩を変形させたリンなどは硬い分魔直を消耗しやすい。
なのにケイは、長さ25m、幅15mの綺麗なくぼみをあっという間に作り出してしまった。
獣人からしたら、考えられないような魔力量がないと作れないはずだ。
「エルフは魔法が命だからね」
驚かれるのは嬉しい。
なんとなく褒められている気分になるからだ。
獣人と違って魔力がなければ何もできないという欠点もあるが、その場合はルイスたちに任せればいい。
できることは自分でやって、できないことはできる人に任せればいい。
何でもかんでも自分1人でできるなんて考えるのは、おこがましいことだ。
家を建てるのにも色々な人間が関わって、作業を分担して作り上げていくものだ。
小さい頃から父に言われていた事だし、自分でもその通りだと思っている。
「中の水は海水の方が良いかな? それとも魔法で作った水の方が良いかな?」
「………………海水で良いのでは?」
プールの枠はできたが、水はまだ入っていない。
海にあまり入りたくない大人たちが涼むための意味もあるが、子供たちが海で泳げるように、泳ぎの練習のためのプールでもある。
大人たちのことを考えると、上がった時海水だとべたつくのが嫌だという人もいるかもしれない。
まぁ、魔法で作った水で軽く流してしまえばいいので大したことではないので、ルイスの言うように海水で溜めることにした。
「これで少しすれば溜まるでしょ?」
「そうですね」
ケイは、防波堤のような枠の一部に魔法で小さめの穴を開け、海水が流れてくるようにした。
もう一ヵ所反対側にも開け、これなら温泉のようにかけ流し状態になり、綺麗な状態を保てるだろう。
「さぁ! プール開きだ!」
1日経つとプールに水が溜まった。
それを見て、ケイはプール開きをみんなに伝えた。
「さぁ、カルロス。まずは顔をつける所から練習しよう」
「あい!」
ケイは作る前からの目的通り、カルロスへ泳ぎの練習を始めた。
美花はケイたちの隣のレーンでセレナの泳ぎをチャックしていて、その隣のレーンでアレシアとリリアナは優雅に泳いでいる。
「ヒャッハー!」
「うわっ!?」
「そ~れ! それ!」
イバンとレオナルドは、ルイスに放り投げられている。
それが面白いのか、何度もルイスにねだっていた。
思っていた通り、みんな波がなければ恐怖もないらしく楽し気だ。
ただ、残念なのは女性陣が水着出ないことだ。
男性陣は上半身裸で下はハーフパンツ。
女性陣は上半身はノースリーブで、下は短パンといった格好だ。
何はともあれ、みんなに楽しんでもらえたので、プールを作った甲斐があった。
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