61 / 375
第4章
第61話
しおりを挟む
「…………良かった」
魔力を目に集めて視力を強化し、噴火した山の方を見てケイは安堵の声を漏らした。
遠くに見えるケイが作った巨大な壁からこちら側には、溶岩が流れてきている様子がない。
噴火した時のために細工してきたことは、どうやら役に立っているようだ。
「大きな噴石も飛んで来ていないようだし、これなら大丈夫そうだな……」
この星の自転の影響なのか、噴火した煙はこちらに向かって来ているようだ。
つまり、火山灰もこちらに流れてくるだろう。
「レイ! この周辺に薄く魔力の壁を張るんだ!」
「分かった!」
噴火したことで沸き上がった小さな噴石が、ようやくケイたちの所にも落ちてきた。
ただ、この調子なら薄い魔力障壁で十分だ。
まだ噴火したばかりなので、ケイは異変が起きた時のために、念のため魔力は温存しておきたい。
なので、ケイは息子のレイナルドに、みんなの住宅を含めた範囲に魔力の障壁を張らせた。
山に作った壁のように、この周辺に土魔法で天井を作ろうかとも考えたのだが、積もった火山灰の重さで崩れ落ちようものなら、二次被害になりそうなのでやめておいた。
「どれだけ持つ?」
「……これくらいの規模なら半日近くかな?」
弱いと言っても範囲が広いため、まあまあの魔力を消費する。
それを普通に半日使えると言えるのだから、レイナルドの魔力もとんでもない量をしているのが分かる。
レイナルドの弟のカルロスも、同じように魔力の量がとんでもないので、自分も洞窟の外で手伝うと言っていたのだが、もうすぐ結婚を控えている身なので、外よりも中を守るようにケイたちが言いつけた。
「余裕を残して10時間ってところか…………ん?」
【しゅじん! キュウたち! てつだう!】
ケイとレイが交代で障壁を張れば大丈夫そうだが、疲労の蓄積を考えると2人だけだと少々不安が残る。
そんなケイの下に、従魔のキュウたちが近寄ってきた。
「そうか……じゃあ、みんなにも手伝ってもらおう」
【うん!】
キュウを筆頭に、魔法特化とは言ってもケイの従魔たちは強くなっている。
魔力も地道に増えていて、美花よりも魔力量だけなら上かもしれない。
「キュウ2時間、マル1時間、ガンとドンは2匹で1時間ずつ頼む」
【うん!】
キュウたちの魔力量を考えると、魔力障壁を張っていられるのは4匹で4時間くらいだろう。
それだけでもケイたちが休めるのであれば十分だ。
「レイが8時間で、残りは俺がやる」
「分かった」
噴火がどれくらいの期間続くか分からないので、全員の余裕を持った時間を考えると、これぐらいがちょうどいいだろう。
ケイが半日請け負うが、レイナルドとケイの魔力量の差を考えれば、当然といったところだ。
「「「「…………」」」」
キュウたちに協力してもらうようになると、子供のケセランパサランたちもケイの側にやってきた。
期待した目は、自分たちにも手伝わせてほしいといったところだろうか。
「……お前たちはみんなと中に入ってな」
““““……コクッ!””””
はっきり言って、彼らたちでは実力的に手伝ってもらう訳にはいかない。
なので、洞窟内に帰って貰った。
素直に頷いていたが、役に立てないと分かると悲しそうな表情をして洞窟に入って行った。
◆◆◆◆◆
「いつまで続くんだ……」
「だね……」
噴火が起こって1週間が経った。
キュウたちの協力で、余裕をとった時間割にしたのだが、動けずにじっとしているのは精神的に疲労が溜まる。
ジワジワ噴火の威力が治まっていっているようだが、小さい余震が続いているのを考えると、まだ予断は許さない状況だ。
洞窟内のみんなは何の問題もないようなので、それに関しては気が楽になる。
“ゴゴゴゴ…………”
「っ!? 余震か!?」
「何だっ!? 強いぞ!?」
地面が揺れ出したので、いつも通りの余震だと思っていたが、いつも以上の揺れに、ケイとレイナルドは慌てたような声を出した。
揺れの大きさからいったら、噴火した時と同じくらいの揺れをしているのだから仕方がない。
“ドカーーン!!”
「なっ!?」
「おいおい! まじかよ!?」
山の方を見て、ケイとレイナルドは驚愕の表情をした。
これまで煙が出ていた場所とは違うところから、噴火が起こったからだ。
しかも、その噴火した場所が最悪なことに、ケイが作った壁のこちら側だ。
視力を強化しなくても、赤い液体が噴き出しているのが分かる。
「レイ! 家や畑はもういい! 洞窟周辺だけにしろ」
「わ、分かった!」
最悪なのは溶岩だけじゃない。
噴き出した岩や火山灰が、火砕流としてこちらに一直線に向かって来ているのが見える。
遠いのでゆっくりに見えるが、恐らくはかなりの速度で向かって来ているだろう。
こうなったら、火砕流、溶岩流、さらに巨大岩石の落石にと、全部に注意を向けなくてはならなくなる。
落石を防ぐだけでも、これまで以上の魔力が必要になる。
周辺の建物や畑を守るのは諦めるしかない。
ケイはレイナルドに、すぐに小規模で強固な魔力障壁に変えるように言う。
レイナルドもそのことを理解し、強固な障壁に作り変えた。
「ぐっ!? ヤバい! 岩石の量がきつい」
「レイ! 代われ!」
元々、障壁の役を、レイナルドからキュウたちに代わる時間帯だ。
これまでの疲労で、連続して落ちてくる巨大な岩石に、レイナルドは苦し気な声を漏らす。
このままではレイナルドも危険な状況なので、急遽ケイはレイナルドと障壁を張るのを交代した。
魔力を目に集めて視力を強化し、噴火した山の方を見てケイは安堵の声を漏らした。
遠くに見えるケイが作った巨大な壁からこちら側には、溶岩が流れてきている様子がない。
噴火した時のために細工してきたことは、どうやら役に立っているようだ。
「大きな噴石も飛んで来ていないようだし、これなら大丈夫そうだな……」
この星の自転の影響なのか、噴火した煙はこちらに向かって来ているようだ。
つまり、火山灰もこちらに流れてくるだろう。
「レイ! この周辺に薄く魔力の壁を張るんだ!」
「分かった!」
噴火したことで沸き上がった小さな噴石が、ようやくケイたちの所にも落ちてきた。
ただ、この調子なら薄い魔力障壁で十分だ。
まだ噴火したばかりなので、ケイは異変が起きた時のために、念のため魔力は温存しておきたい。
なので、ケイは息子のレイナルドに、みんなの住宅を含めた範囲に魔力の障壁を張らせた。
山に作った壁のように、この周辺に土魔法で天井を作ろうかとも考えたのだが、積もった火山灰の重さで崩れ落ちようものなら、二次被害になりそうなのでやめておいた。
「どれだけ持つ?」
「……これくらいの規模なら半日近くかな?」
弱いと言っても範囲が広いため、まあまあの魔力を消費する。
それを普通に半日使えると言えるのだから、レイナルドの魔力もとんでもない量をしているのが分かる。
レイナルドの弟のカルロスも、同じように魔力の量がとんでもないので、自分も洞窟の外で手伝うと言っていたのだが、もうすぐ結婚を控えている身なので、外よりも中を守るようにケイたちが言いつけた。
「余裕を残して10時間ってところか…………ん?」
【しゅじん! キュウたち! てつだう!】
ケイとレイが交代で障壁を張れば大丈夫そうだが、疲労の蓄積を考えると2人だけだと少々不安が残る。
そんなケイの下に、従魔のキュウたちが近寄ってきた。
「そうか……じゃあ、みんなにも手伝ってもらおう」
【うん!】
キュウを筆頭に、魔法特化とは言ってもケイの従魔たちは強くなっている。
魔力も地道に増えていて、美花よりも魔力量だけなら上かもしれない。
「キュウ2時間、マル1時間、ガンとドンは2匹で1時間ずつ頼む」
【うん!】
キュウたちの魔力量を考えると、魔力障壁を張っていられるのは4匹で4時間くらいだろう。
それだけでもケイたちが休めるのであれば十分だ。
「レイが8時間で、残りは俺がやる」
「分かった」
噴火がどれくらいの期間続くか分からないので、全員の余裕を持った時間を考えると、これぐらいがちょうどいいだろう。
ケイが半日請け負うが、レイナルドとケイの魔力量の差を考えれば、当然といったところだ。
「「「「…………」」」」
キュウたちに協力してもらうようになると、子供のケセランパサランたちもケイの側にやってきた。
期待した目は、自分たちにも手伝わせてほしいといったところだろうか。
「……お前たちはみんなと中に入ってな」
““““……コクッ!””””
はっきり言って、彼らたちでは実力的に手伝ってもらう訳にはいかない。
なので、洞窟内に帰って貰った。
素直に頷いていたが、役に立てないと分かると悲しそうな表情をして洞窟に入って行った。
◆◆◆◆◆
「いつまで続くんだ……」
「だね……」
噴火が起こって1週間が経った。
キュウたちの協力で、余裕をとった時間割にしたのだが、動けずにじっとしているのは精神的に疲労が溜まる。
ジワジワ噴火の威力が治まっていっているようだが、小さい余震が続いているのを考えると、まだ予断は許さない状況だ。
洞窟内のみんなは何の問題もないようなので、それに関しては気が楽になる。
“ゴゴゴゴ…………”
「っ!? 余震か!?」
「何だっ!? 強いぞ!?」
地面が揺れ出したので、いつも通りの余震だと思っていたが、いつも以上の揺れに、ケイとレイナルドは慌てたような声を出した。
揺れの大きさからいったら、噴火した時と同じくらいの揺れをしているのだから仕方がない。
“ドカーーン!!”
「なっ!?」
「おいおい! まじかよ!?」
山の方を見て、ケイとレイナルドは驚愕の表情をした。
これまで煙が出ていた場所とは違うところから、噴火が起こったからだ。
しかも、その噴火した場所が最悪なことに、ケイが作った壁のこちら側だ。
視力を強化しなくても、赤い液体が噴き出しているのが分かる。
「レイ! 家や畑はもういい! 洞窟周辺だけにしろ」
「わ、分かった!」
最悪なのは溶岩だけじゃない。
噴き出した岩や火山灰が、火砕流としてこちらに一直線に向かって来ているのが見える。
遠いのでゆっくりに見えるが、恐らくはかなりの速度で向かって来ているだろう。
こうなったら、火砕流、溶岩流、さらに巨大岩石の落石にと、全部に注意を向けなくてはならなくなる。
落石を防ぐだけでも、これまで以上の魔力が必要になる。
周辺の建物や畑を守るのは諦めるしかない。
ケイはレイナルドに、すぐに小規模で強固な魔力障壁に変えるように言う。
レイナルドもそのことを理解し、強固な障壁に作り変えた。
「ぐっ!? ヤバい! 岩石の量がきつい」
「レイ! 代われ!」
元々、障壁の役を、レイナルドからキュウたちに代わる時間帯だ。
これまでの疲労で、連続して落ちてくる巨大な岩石に、レイナルドは苦し気な声を漏らす。
このままではレイナルドも危険な状況なので、急遽ケイはレイナルドと障壁を張るのを交代した。
0
あなたにおすすめの小説
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる