66 / 375
第4章
第66話
しおりを挟む
「みんな出てもいいぞ!」
噴火から5日も経つと、噴煙はかなり小さくなった。
余震もなくなったことで、数日前には大人たちの外での活動を許可した。
さらに治まったことで、今日からは子供たちの外出も許可することにした。
「マスクをちゃんとするんだぞ!」
「はい……」
この島には獣人が多い。
ケイの孫たちも獣人のハーフだ。
嗅覚が高いので、外の空気が悪くてきつい。
なので、みんなにはマスクを着用させることにした。
久々の外で子供たちは嬉しいのだろうが、マルたちが亡くなったことがあるので、いまいち元気がない。
レイナルドの次男で、いつもニコニコ元気なラウルも大人しくなっている。
「……まずはみんなでマルたちを弔ってやろうか?」
「……うん」
壊れた家の修理などに当たっていたが、大人たちもみんなどことなく暗い。
誰もが、キュウたちケセランパサランがいることに、少なからず癒されていたからかもしれない。
ケイ自身も吹っ切れないでいるのは確か。
なので、みんなが先を見据えて進んでいくためにも、ケイはまず、マルたちの弔いを行うことを提案した。
ケイたちが住む住居の北側には墓地がある。
そこには、ルイスたちと流れていた時に亡くなった、仲間の獣人たちが眠っている。
ここにも噴火により岩石が落ちてきたらしく、墓標などが壊れていたりした。
そのため、ケイたちは転がっている岩石や、積もっていた火山灰を魔法で海に落とし、綺麗に元と同じように作り直した。
そして、みんなが見守る中、ケセランパサランでもゾンビ化するのか分からないが、小さな棺に入ったマルたちを火葬してあげた。
「……!?」
ケイの右肩にはキュウが乗っている。
キュウにとってみれば、マルとドンは子供で、ガンは孫に当たる。
肩に違和感を覚えてキュウを見てみると、燃え上がる子や孫の姿に、ポロポロと涙を流していた。
「……やっぱりキュウも悲しいのか?」
【……かなしい! でも、マルたち、ながいきできた! しゅじんとみんなのおかげ!】
マルたちが溶岩流を止めにいった時、危険なのにもかかわらず、キュウは全く止めなかった。
子や孫に対してあまり愛情がないのかとも思っていたのだが、今の様子を見る限りそうでもないらしい。
キュウが言うように、ケセランパサランのマルたちは長生きした方だろう。
別名を魔物の餌と呼ばれる彼らが、何年も生きて子供を産むほどまで成長した。
それだけでも、キュウたちからしたら嬉しいことなのかもしれない。
【おせわになったみんなのやくにたった! マルたちえらい! だからかなしくない!】
「…………」
そう言いながらもキュウの涙は止まらない。
人間でも魔物でも、やっぱり悲しいことには変わりないようだ。
泣き続けるキュウを、ケイはただ黙って撫でてあげることしかできなかった。
まだ小さいケセランパサランのアルとカルは美花の両肩に、サルとタルはレイナルドの両肩に乗って、キュと同じく涙を流している。
島のみんなも、その様子に落ち込んでいるように見える。
「やっぱり、キュウたちにも死んでほしくないよ。従魔だからって……」
体が小さいためマルたちの火葬はすぐに終わった。
燃えた後には、小さな骨数本と小さい魔石が転がっているだけだった。
それをそれぞれ骨壺に入れて、土の中に埋めてあげて墓標を作ってあげた。
その墓標を目の前にしても、ケイはやっぱり気持ちは変わらなかった。
「……でも、俺にはこれからはこんなことが続くんだろうな……」
エルフのケイは寿命が長い。
レイナルドたちもきっと長生きするのだろうが、単純に考えるとケイより短いかもしれない。
今この島にいる人間が寿命で亡くなっていくのを、きっとケイは見送らなければならないはずだ。
「寿命のことを考えたら、明らかに私が先に死ぬけどいいの?」
これはケイが美花にプロポーズした時に言われた言葉だ。
その時はいっぱいいっぱいだったので、頭では分かっていても深く考えないで返事をしてしまった気がする。
それが今になって思い知ることになった。
みんなが段々いなくなっていくのを、自分だけは見送らなければならない。
想像しただけで気分が暗くなる。
「長生きするのも良いことだけじゃないってことか……」
エルフに転生した時は、長生きできて好き勝手に生きられると思っていたが、そう考えると考え物だ。
「悩み過ぎても仕方がない。その時はその時で乗り越えていくしかない!」
マルたちの死は悲しい。
しかし、キュウが言うように、マルたちはみんなを救ったのだ。
救われた側は、彼らのためにも精いっぱい生きていくしかない。
そんな風に思い、ケイは傍から見れば分かりやすいカラ元気を出し、壊れたみんなの住宅を再建しに向かった。
やっぱり魔法の存在はありがたい。
壊れた家屋や、火山灰が積もって使い物にならなくなった畑も、ケイを含めた魔力の多い者たちの土魔法によって数日中に元に戻すことができ、また村には平和な日常が戻ってきた。
突如起こった噴火だったが、そのまま噴火は治まり、島の住人に悲しみと島の拡大をもたらしただけだった。
噴火から5日も経つと、噴煙はかなり小さくなった。
余震もなくなったことで、数日前には大人たちの外での活動を許可した。
さらに治まったことで、今日からは子供たちの外出も許可することにした。
「マスクをちゃんとするんだぞ!」
「はい……」
この島には獣人が多い。
ケイの孫たちも獣人のハーフだ。
嗅覚が高いので、外の空気が悪くてきつい。
なので、みんなにはマスクを着用させることにした。
久々の外で子供たちは嬉しいのだろうが、マルたちが亡くなったことがあるので、いまいち元気がない。
レイナルドの次男で、いつもニコニコ元気なラウルも大人しくなっている。
「……まずはみんなでマルたちを弔ってやろうか?」
「……うん」
壊れた家の修理などに当たっていたが、大人たちもみんなどことなく暗い。
誰もが、キュウたちケセランパサランがいることに、少なからず癒されていたからかもしれない。
ケイ自身も吹っ切れないでいるのは確か。
なので、みんなが先を見据えて進んでいくためにも、ケイはまず、マルたちの弔いを行うことを提案した。
ケイたちが住む住居の北側には墓地がある。
そこには、ルイスたちと流れていた時に亡くなった、仲間の獣人たちが眠っている。
ここにも噴火により岩石が落ちてきたらしく、墓標などが壊れていたりした。
そのため、ケイたちは転がっている岩石や、積もっていた火山灰を魔法で海に落とし、綺麗に元と同じように作り直した。
そして、みんなが見守る中、ケセランパサランでもゾンビ化するのか分からないが、小さな棺に入ったマルたちを火葬してあげた。
「……!?」
ケイの右肩にはキュウが乗っている。
キュウにとってみれば、マルとドンは子供で、ガンは孫に当たる。
肩に違和感を覚えてキュウを見てみると、燃え上がる子や孫の姿に、ポロポロと涙を流していた。
「……やっぱりキュウも悲しいのか?」
【……かなしい! でも、マルたち、ながいきできた! しゅじんとみんなのおかげ!】
マルたちが溶岩流を止めにいった時、危険なのにもかかわらず、キュウは全く止めなかった。
子や孫に対してあまり愛情がないのかとも思っていたのだが、今の様子を見る限りそうでもないらしい。
キュウが言うように、ケセランパサランのマルたちは長生きした方だろう。
別名を魔物の餌と呼ばれる彼らが、何年も生きて子供を産むほどまで成長した。
それだけでも、キュウたちからしたら嬉しいことなのかもしれない。
【おせわになったみんなのやくにたった! マルたちえらい! だからかなしくない!】
「…………」
そう言いながらもキュウの涙は止まらない。
人間でも魔物でも、やっぱり悲しいことには変わりないようだ。
泣き続けるキュウを、ケイはただ黙って撫でてあげることしかできなかった。
まだ小さいケセランパサランのアルとカルは美花の両肩に、サルとタルはレイナルドの両肩に乗って、キュと同じく涙を流している。
島のみんなも、その様子に落ち込んでいるように見える。
「やっぱり、キュウたちにも死んでほしくないよ。従魔だからって……」
体が小さいためマルたちの火葬はすぐに終わった。
燃えた後には、小さな骨数本と小さい魔石が転がっているだけだった。
それをそれぞれ骨壺に入れて、土の中に埋めてあげて墓標を作ってあげた。
その墓標を目の前にしても、ケイはやっぱり気持ちは変わらなかった。
「……でも、俺にはこれからはこんなことが続くんだろうな……」
エルフのケイは寿命が長い。
レイナルドたちもきっと長生きするのだろうが、単純に考えるとケイより短いかもしれない。
今この島にいる人間が寿命で亡くなっていくのを、きっとケイは見送らなければならないはずだ。
「寿命のことを考えたら、明らかに私が先に死ぬけどいいの?」
これはケイが美花にプロポーズした時に言われた言葉だ。
その時はいっぱいいっぱいだったので、頭では分かっていても深く考えないで返事をしてしまった気がする。
それが今になって思い知ることになった。
みんなが段々いなくなっていくのを、自分だけは見送らなければならない。
想像しただけで気分が暗くなる。
「長生きするのも良いことだけじゃないってことか……」
エルフに転生した時は、長生きできて好き勝手に生きられると思っていたが、そう考えると考え物だ。
「悩み過ぎても仕方がない。その時はその時で乗り越えていくしかない!」
マルたちの死は悲しい。
しかし、キュウが言うように、マルたちはみんなを救ったのだ。
救われた側は、彼らのためにも精いっぱい生きていくしかない。
そんな風に思い、ケイは傍から見れば分かりやすいカラ元気を出し、壊れたみんなの住宅を再建しに向かった。
やっぱり魔法の存在はありがたい。
壊れた家屋や、火山灰が積もって使い物にならなくなった畑も、ケイを含めた魔力の多い者たちの土魔法によって数日中に元に戻すことができ、また村には平和な日常が戻ってきた。
突如起こった噴火だったが、そのまま噴火は治まり、島の住人に悲しみと島の拡大をもたらしただけだった。
0
あなたにおすすめの小説
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる