エルティモエルフォ ―最後のエルフ―

ポリ 外丸

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第14章

第366話

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「とうとう来たか……」

 攻略を開始し、数か月経っている。
 どれだけ深くまで広がっているか想像もしていなかったが、100層までという情報を得て、それを目標に進んで来た。
 ようやくその100層の入り口まで来たことで、ケイは少しの間感慨にふけった。

「2匹は無理しない程度に援護を、出来る限り安全地帯にいてくれ」

【分かった!】「ワウッ!」

 これだけのダンジョンなのだから、その核の守護者はこれまで以上に危険な相手になるはず。
 本当は2匹の従魔には拠点で待っていて欲しいところなのだが、2匹はそれがとても嫌なようだ。
 2匹からすると、主人であるケイが負けるような相手がいるとは思っていない。
 それだけ自慢の主人だ。
 しかし、そんなケイでも負ける可能性はある。
 主人が危機に瀕している時に、拠点でおとなしくしていろというのは耐えがたい。
 それなら一緒に行って、自分が身代わりに死ぬ方がマシだ。
 そのため、2匹は頑として拠点待機を断ったのだ。
 置いてくるのが無理なので、ケイは2匹に妥協案を提案し、約束させた。
 それが安全地帯からの援護というわけだ。

「じゃあ、行こう」

【うん!】「ワウッ!」

 最後に約束を確認したケイは、2匹を引き連れて最後の階層へと入ることにした。



『……ここも広いな』

 100層内に入ったケイは周囲を見渡し、心の中で率直な感想を述べる。
 これまでのどの階層も結界内にしては広大だ。
 恐らく空間魔法を利用しているのかもしれない。
 他の階層ほどではないにしても、核を守るだけの階層にしてはここもかなり広い。

「あれか……」

 石畳の広がった部屋を進むと、祭壇のような物が見えてきた。
 どうやら、そこに核が置かれているのだろう。

「……これまたすごいのが守っているな」

【すごい……】

「ウゥ~……」

 祭壇に進むたび、足がドンドンと重くなるような錯覚を覚える。
 従魔のキュウとクウも同じらしく、2匹は警戒をマックスにしている。

「……亀? いや、玄武?」

 祭壇の前には巨大な生物が眠っている。
 その生物を見て、ケイは疑問符を頭に浮かべた。
 蛇の尻尾をした巨大な亀といった姿をしている。
 生前にゲームなどでよく見た、あの生物だと連想した。
 東西南北のうち、北方を守る四神の1つである霊獣玄武だ。

【まさかここまでくる者がいるとはな……】

 ケイたちが近付いてきていることに気付いたのか、目を覚まして体を起こした。

「お前がこのダンジョンの核を守る守護者か?」

【その通りだ】

「そうか……」

 やはりこの生物が守護者らしい。
 その魔力を探知してみると、かなりの苦戦を強いられるのは明白だ。
 出来れば戦わずに済ませたいケイは、玄武に目を向けながらダンジョン核を破壊する隙を窺う。
 しかし、そんな隙を見せる訳もなく、ケイはその考えを捨てることにした。

「さて、殺気を放ってきているということは、いつでもかかって来いってだろ?」

【フッ! その通りだ】

 隙をついての核の破壊という若干狡い手を考えたが、それをやめたのもこれが答えだ。
 本当は、寝てる間に一足飛びして破壊してやろうと思っていた。
 そのケイの欲に反応したのか、目を覚まして立ち上がり、殺気を放ってきたことで中止したというのが正確な理由だ。
 その殺気はかなりのもので、未熟な者ならこのさっきだけですぐさま戦闘不能にされていしまうだろう。

「キュウ! クウ!」

【うん!】「ワウッ!」

 この相手にキュウとクウは危険すぎる。
 入る前に約束したように、キュウとクウには離れてもらう。
 2匹もあまり近くにいるとケイの邪魔になると理解しているからか、すぐにその場から離れていった。 

【ハッ!!】

「っと!」

 キュウたちが距離を取り出したのを確認したケイに対し、玄武は攻撃を放ってきた。
 その尻尾の蛇による噛みつき攻撃を、ケイは横に跳ぶことで回避する。

「フッ!」

 横に跳んで攻撃を回避したケイは、腰のホルスターから銃を抜く。
 そして、亀の頭部分に向けて、一発の魔力弾を発射した。

“キンッ!!”

「……硬いな」

 ケイの弾丸が頭部に当たる前に、玄武は体をずらす。
 そうすることによって、魔力弾の軌道に甲羅が入り、高い音を立てて魔力弾を弾いた。
 見ても分かる通り、甲羅の防御力はかなり高いようだ。

【ハッ!!】

「よっ! っと!」

 ケイの攻撃を防いだ玄武は、すぐさま反撃に出る。
 またも尻尾の蛇を動かし、噛みつかせようとしてくる。
 その蛇の牙を見る限り、何かしらの毒が仕込まれているのだろう。
 訓練することで、ケイは魔物の毒に対する耐性をつけてきたため、たとえ噛まれても即死することはないだろう。
 しかし、それは即死をしないというだけのことで、全く効かないという訳ではない。
 この玄武相手に、少しでも動けない状態になれば、それこそ攻撃を受けて即死する可能性がある。
 そのため、ケイは蛇の牙による攻撃を回避し続けた。

【……かなり速いな】

「お前が遅いんだよ」

 玄武の攻撃は、尻尾によるものが主体らしい。
 一番素早く動く器官がそこだからなのだろう。
 たしかに速いが、躱すケイにとっては苦にならない速度だ。
 そのため、ケイは若干バカにしたように話した。

【そうだな、では……】

“ボンッ!!”

「っ!?」

 たしかにケイの相手にするのには速度が違い過ぎる。
 その速度差を解決するため、玄武は魔法を放ち煙が巻き上がる。 
 何をする気なのか分からず、ケイはその巻き上がった煙が治まるのを待った。

「フゥ~、これなら素早く動けるだろう」

「人型に変身した……」

 煙が治まると、そこには2m近い身長に鎧を装着した1人の人間が立っていた。
 しかし、見た目が人間なだけで、それがすぐに先jほどの玄武だということは分かる。
 何故なら、人間なのに尾が生えており、その尾が蛇の頭をしていたからだ。

「……なんとなくだが、魔王に似ているような……」

 その玄武の顔を見ると、ケイはどこか見たことがある気がした。
 少し考えるとすぐに答えが出た。
 不意打ちのように封印したため、いまいち確証がないが、この結界内に封印した魔王サカリアスに似ている気がしたのだ。

「ここのダンジョン核は、魔王サカリアスによって作られた。ゆえに、そのダンジョン核によって生み出された我が似ていてもおかしくはないだろ?」

「そりゃそうか」

 その姿を不思議に思っていたケイだったが、玄武の説明を受けて思わず納得してしまった。

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