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1学年 前期
第31話
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「「「「「ギュッ!!」」」」」
「シッ!」
魔人のモグラ男の合図を受けて、配下である巨大モグラの魔物の大群が伸1人へと襲いかかった。
しかし、襲い掛かる魔物たちは、伸の刀によって頭を的確に斬り飛ばされてバタバタと倒れて物言わぬ骸へと変わっていく。
そして、あっという間に、魔物の死体が増えていった。
「……何…なんだ? あの少年は……」
「あの魔物の大群を苦もなく……」
洞窟内で見た井上たち以外の柊家の魔術師たちは、伸の実力を知らなかった。
そのため、目の前で繰り広げられる光景に誰もが度肝を抜かされていた。
巨大モグラは、自分たちでも倒せる魔物だ。
しかし、一刀のもとに斬り伏せられるような簡単な相手ではない。
それを、新田という少年は、一振り一殺と表現するような動きで倒していっている。
「あの身体強化……」
「本当にお嬢と同じ高校生なのか……?」
とんでもない速度で動き、そして巨大モグラの肉厚な筋肉に覆われた首を、何の抵抗も受けていないかのように斬り飛ばす威力。
どちらも、魔力を纏うことによる身体強化によってなされている。
身体強化は、纏う魔力の量によって変化する。
つまり、伸は自分たち以上の量の魔力を纏っているということを物語っている。
それが綾愛と同じ高校生であるというのが、尚のこと信じられない。
「……く、口だけではないようだが、それがいつまで続くかな?」
目の前の人間の子供によって、配下のモグラたちがバタバタ倒されていく。
その強さに面食らっているが、モグラ男はまだ冷静を保とうとしている。
倒されてはいるが、配下のモグラたちはまだまだいる。
その思いから、伸がそのうち疲労により動けなくなると踏んでいるのかもしれない。
モグラ男の言葉と共に、またも巨大モグラたちが出現してきた。
「なっ!?」
「まだこんなにいたというのか?」
「流石にあの少年でも……」
伸1人の周囲を、これまでで最大の数のモグラたちが取り囲む。
その数の多さに、柊家の魔術師たちは目を見開く。
伸がいなければ、自分たちはこれだけの数の相手をしなければならなかった。
そう考えると、少し前ま本当に絶望的な状態だったようだ。
そして、その絶望的な状況は、今や新田という少年1人に向かっている。
少年がとんでもない強さなのは分かった。
しかし、さすがにこの数に囲まれたら勝ち目がない。
そのため、魔術師たちは伸への援護をしようと、疲労困憊の体を無理やり動かし、武器を手に魔物へと立ち向かおうとした。
「外に出られたから、ようやく魔術も使える……」
「……? 何を……」
大量の魔物に囲まれ、伸の姿は埋もれたように隠れている。
そのため、モグラ男はしっかりとその呟きが聞き取れなかった。
しかも、伸が何をしているのか分からない。
「フンッ!!」
「っっっ!?」
伸の言葉と共に、異変が起きる。
地面から生えた無数の岩の棘によって、伸の周囲にいた魔物たち全てが体を貫かれて動けなくなる。
即死した者もいれば、辛うじて生き残りながら苦しみの声をあげる者までいる。
結果を見て分かる通り魔術によるものなのだろう。
しかし、これほどまでの土魔術を放つのには、大量の魔力を練り上げなければならない。
それが短時間でおこなわれたということが理解できず、モグラ男は口を開けて固まった。
「…………天才だ」
「……いや、そんな言葉じゃ全く足りない……」
驚きで固まったのは柊家の魔術師たちも同じだ。
高速・広範囲・高威力の魔術行使。
これほどの魔術は、当主である俊夫よりも上といえる。
綾愛があの少年に従うように言った意味が、魔術師たちには完全に理解できた。
「お嬢の言うように彼の邪魔をしてはならないのは分かった。しかし、せめて俺たちは邪魔な魔物の死体をどかすぞ!」
「あ、あぁ!!」「お、おう!」
土棘の魔術を解除し、魔物の死体の山を築かれる。
それを見て、自分たちは邪魔になると判断した魔術師たちは、伸が戦うのに邪魔になると魔物の死体をどかしていく。
「フッ!」
魔術師たちの収納魔術によって、周囲の魔物たちの死体は一掃される。
その援護に、伸は内心感謝しつつ笑みを浮かべた。
「そろそろお前がかかってくるか?」
「くっ!!」
魔術師たちの助けもあり、これで戦いやすくなった。
そのため、伸は刀をモグラ男へと向けて挑発した。
ずっと魔物に戦わせているだけで、モグラ男は自分が攻めてくるようなことをして来ない。
余裕をかましていたのだろうが、それもそろそろ終わりだ。
「地下にいるの全部出した方が良いんじゃないか? 残りも少ないんだし……」
「何っ!? ……き、貴様……」
伸は地面を指さしてモグラ男に問いかける。
その指さした位置を見て、モグラ男は焦ったような声をあげる。
指さされた場所は、伸とモグラ男の中間地点。
たしかにその場所の地下に、配下のモグラたちを配備している。
伸が不用意に近付いた時、不意打ちで攻めさせようとしていたのだが、それが看破されているということになる。
『このガキ。地下の伏兵に気付いたのだとしても、結構な深さまで探知の範囲を広げないと分からないはず。それが分かったということは、戦いながらも地下への探知を怠っていなかったということか? だとすれば、このガキは危険だ……』
伏兵を見抜かれたモグラ男は、内心で伸への評価を修正し始めた。
地下への探知は、土などによる抵抗を受けるために難しいというのに、戦闘と並行されていたとなると、魔力操作がとんでもなく上手いということだ。
これまで人間の子供と侮っていたが、どうやらそれが間違いだった。
そのことに気付いたモグラ男は、隠していた配下たちを地上へと出した。
「お前たち! 何としてもそのガキを殺れ!!」
「「「「「ギュッ!!」」」」」
これまでの油断を一切取り払うかのように、真剣になったモグラ男は魔物たちに指示を出す。
その指示に従い、魔物たちは伸への攻撃を開始した。
「……んっ? これまでと少し違うな……」
「当然だ! そいつらは俺が精鋭として鍛えたのだ!」
これまで倒した魔物たちは、ほとんどが一直線に向かって来るだけの攻撃だったのだが、この魔物たちは伸の意識を自分に向けてる間に死角から攻めるなど、連携をとった攻撃を仕掛けて来ている。
知能の低い魔物にしては、随分と様になっている。
その違いに気付いた伸に、モグラ男は自慢するかのように声をあげた。
「あっそ……」
魔物が連携をとって戦うなんて、確かに危険だ。
しかし、それが自分に通用するかは別ものといわんばかりに、伸はその精鋭の魔物たちの頭部をこれまで通りに斬り飛ばした。
「…………うん。もういないみたいだな」
「……き、貴様ぁ~!!」
地上の魔物を倒し終わり、伸はすぐに地下の探知をする。
それまで以上に広く、深く。
そして、モグラ男の配下となる巨大モグラたちの気配が地下にないことを確信し、首肯した。
モグラ男の方は、精鋭までもが倒されて配下の魔物が全滅してしまった。
これまでの苦労と、計画を完全に潰されたことによる怒りが沸き上がってきたのか、怒りの声と共に周囲にまき散らすかのように魔力を膨れ上がらせた。
「こ、これが魔人……、すごい魔力……」
本気を出した魔人の力に、綾愛が真っ青な顔をして呟く。
魔物ですら脅威の自分には到底相手のできる存在ではないと、完全に心が折られているような表情だ。
名門家の令嬢として、才もあるし努力もして来たであろうが、所詮は高校生。
この圧力に圧されてしまうのは仕方がないことだろう。
『やっぱり、この程度か……』
同じ高校生でも、伸は違う。
モグラ男の魔力を見ても表情を変えるどころか、平然としたまま内心で評価していた。
「シッ!」
魔人のモグラ男の合図を受けて、配下である巨大モグラの魔物の大群が伸1人へと襲いかかった。
しかし、襲い掛かる魔物たちは、伸の刀によって頭を的確に斬り飛ばされてバタバタと倒れて物言わぬ骸へと変わっていく。
そして、あっという間に、魔物の死体が増えていった。
「……何…なんだ? あの少年は……」
「あの魔物の大群を苦もなく……」
洞窟内で見た井上たち以外の柊家の魔術師たちは、伸の実力を知らなかった。
そのため、目の前で繰り広げられる光景に誰もが度肝を抜かされていた。
巨大モグラは、自分たちでも倒せる魔物だ。
しかし、一刀のもとに斬り伏せられるような簡単な相手ではない。
それを、新田という少年は、一振り一殺と表現するような動きで倒していっている。
「あの身体強化……」
「本当にお嬢と同じ高校生なのか……?」
とんでもない速度で動き、そして巨大モグラの肉厚な筋肉に覆われた首を、何の抵抗も受けていないかのように斬り飛ばす威力。
どちらも、魔力を纏うことによる身体強化によってなされている。
身体強化は、纏う魔力の量によって変化する。
つまり、伸は自分たち以上の量の魔力を纏っているということを物語っている。
それが綾愛と同じ高校生であるというのが、尚のこと信じられない。
「……く、口だけではないようだが、それがいつまで続くかな?」
目の前の人間の子供によって、配下のモグラたちがバタバタ倒されていく。
その強さに面食らっているが、モグラ男はまだ冷静を保とうとしている。
倒されてはいるが、配下のモグラたちはまだまだいる。
その思いから、伸がそのうち疲労により動けなくなると踏んでいるのかもしれない。
モグラ男の言葉と共に、またも巨大モグラたちが出現してきた。
「なっ!?」
「まだこんなにいたというのか?」
「流石にあの少年でも……」
伸1人の周囲を、これまでで最大の数のモグラたちが取り囲む。
その数の多さに、柊家の魔術師たちは目を見開く。
伸がいなければ、自分たちはこれだけの数の相手をしなければならなかった。
そう考えると、少し前ま本当に絶望的な状態だったようだ。
そして、その絶望的な状況は、今や新田という少年1人に向かっている。
少年がとんでもない強さなのは分かった。
しかし、さすがにこの数に囲まれたら勝ち目がない。
そのため、魔術師たちは伸への援護をしようと、疲労困憊の体を無理やり動かし、武器を手に魔物へと立ち向かおうとした。
「外に出られたから、ようやく魔術も使える……」
「……? 何を……」
大量の魔物に囲まれ、伸の姿は埋もれたように隠れている。
そのため、モグラ男はしっかりとその呟きが聞き取れなかった。
しかも、伸が何をしているのか分からない。
「フンッ!!」
「っっっ!?」
伸の言葉と共に、異変が起きる。
地面から生えた無数の岩の棘によって、伸の周囲にいた魔物たち全てが体を貫かれて動けなくなる。
即死した者もいれば、辛うじて生き残りながら苦しみの声をあげる者までいる。
結果を見て分かる通り魔術によるものなのだろう。
しかし、これほどまでの土魔術を放つのには、大量の魔力を練り上げなければならない。
それが短時間でおこなわれたということが理解できず、モグラ男は口を開けて固まった。
「…………天才だ」
「……いや、そんな言葉じゃ全く足りない……」
驚きで固まったのは柊家の魔術師たちも同じだ。
高速・広範囲・高威力の魔術行使。
これほどの魔術は、当主である俊夫よりも上といえる。
綾愛があの少年に従うように言った意味が、魔術師たちには完全に理解できた。
「お嬢の言うように彼の邪魔をしてはならないのは分かった。しかし、せめて俺たちは邪魔な魔物の死体をどかすぞ!」
「あ、あぁ!!」「お、おう!」
土棘の魔術を解除し、魔物の死体の山を築かれる。
それを見て、自分たちは邪魔になると判断した魔術師たちは、伸が戦うのに邪魔になると魔物の死体をどかしていく。
「フッ!」
魔術師たちの収納魔術によって、周囲の魔物たちの死体は一掃される。
その援護に、伸は内心感謝しつつ笑みを浮かべた。
「そろそろお前がかかってくるか?」
「くっ!!」
魔術師たちの助けもあり、これで戦いやすくなった。
そのため、伸は刀をモグラ男へと向けて挑発した。
ずっと魔物に戦わせているだけで、モグラ男は自分が攻めてくるようなことをして来ない。
余裕をかましていたのだろうが、それもそろそろ終わりだ。
「地下にいるの全部出した方が良いんじゃないか? 残りも少ないんだし……」
「何っ!? ……き、貴様……」
伸は地面を指さしてモグラ男に問いかける。
その指さした位置を見て、モグラ男は焦ったような声をあげる。
指さされた場所は、伸とモグラ男の中間地点。
たしかにその場所の地下に、配下のモグラたちを配備している。
伸が不用意に近付いた時、不意打ちで攻めさせようとしていたのだが、それが看破されているということになる。
『このガキ。地下の伏兵に気付いたのだとしても、結構な深さまで探知の範囲を広げないと分からないはず。それが分かったということは、戦いながらも地下への探知を怠っていなかったということか? だとすれば、このガキは危険だ……』
伏兵を見抜かれたモグラ男は、内心で伸への評価を修正し始めた。
地下への探知は、土などによる抵抗を受けるために難しいというのに、戦闘と並行されていたとなると、魔力操作がとんでもなく上手いということだ。
これまで人間の子供と侮っていたが、どうやらそれが間違いだった。
そのことに気付いたモグラ男は、隠していた配下たちを地上へと出した。
「お前たち! 何としてもそのガキを殺れ!!」
「「「「「ギュッ!!」」」」」
これまでの油断を一切取り払うかのように、真剣になったモグラ男は魔物たちに指示を出す。
その指示に従い、魔物たちは伸への攻撃を開始した。
「……んっ? これまでと少し違うな……」
「当然だ! そいつらは俺が精鋭として鍛えたのだ!」
これまで倒した魔物たちは、ほとんどが一直線に向かって来るだけの攻撃だったのだが、この魔物たちは伸の意識を自分に向けてる間に死角から攻めるなど、連携をとった攻撃を仕掛けて来ている。
知能の低い魔物にしては、随分と様になっている。
その違いに気付いた伸に、モグラ男は自慢するかのように声をあげた。
「あっそ……」
魔物が連携をとって戦うなんて、確かに危険だ。
しかし、それが自分に通用するかは別ものといわんばかりに、伸はその精鋭の魔物たちの頭部をこれまで通りに斬り飛ばした。
「…………うん。もういないみたいだな」
「……き、貴様ぁ~!!」
地上の魔物を倒し終わり、伸はすぐに地下の探知をする。
それまで以上に広く、深く。
そして、モグラ男の配下となる巨大モグラたちの気配が地下にないことを確信し、首肯した。
モグラ男の方は、精鋭までもが倒されて配下の魔物が全滅してしまった。
これまでの苦労と、計画を完全に潰されたことによる怒りが沸き上がってきたのか、怒りの声と共に周囲にまき散らすかのように魔力を膨れ上がらせた。
「こ、これが魔人……、すごい魔力……」
本気を出した魔人の力に、綾愛が真っ青な顔をして呟く。
魔物ですら脅威の自分には到底相手のできる存在ではないと、完全に心が折られているような表情だ。
名門家の令嬢として、才もあるし努力もして来たであろうが、所詮は高校生。
この圧力に圧されてしまうのは仕方がないことだろう。
『やっぱり、この程度か……』
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