271 / 281
3学年 後期
第270話
しおりを挟む
「……勝つ? お前が? 私に?」
「その通りだ!」
伸から発せられた言葉に、バルタサールは首を傾げつつ問いかける。
言っている意味は分かるが、とてもではないが現実的な話ではないため、受け入れることに少しの間が必要のようだ。
そんなバルタサールの問いかけに、伸は力強く返事をした。
「ハハッ、冗談が過ぎるな……」
人型の姿での勝負なら、もしかしたら伸が勝利する可能性はあるだろう。
しかし、魔人としての本性を現したことで力の差が生まれてしまったため、伸が自分に勝利できることはありえない。
それでも、自分の攻撃に対応する伸との戦いは面白い。
それなのに、伸のハッタリを受けて折角の気分が台無しになり、バルタサールは乾いた笑いと共に呟く。
「冗談じゃないさ」
“ピキッ!!”
ハッタリにしてはつまらない。
そんな様子のバルタサールの呟きに、伸は自信満々に返答する。
その言葉を受け、バルタサールのこめかみに血管が浮き上がった。
「なおさら不愉快だ!」
少し前までの笑みは完全に消え去り、バルタサールは怒りと共に一気に殺気を撒き散らす。
相当お冠のようだ。
「勝てるわけがないだろ!? 逃げ回っているだけのくせに!」
接近戦に持ち込んでもパワーが違う。
距離をとっても、強力な魔力弾の攻撃に晒される。
自分よりも僅かに上回るスピードを駆使し、逃げ回っているだけに過ぎない。
そんな伸が、どうして勝てると言えるのか。
不愉快なバルタサールは、語気を強めて伸に問いかける。
「あぁ、ここまではな!」
バルタサールの問いかけに対し、伸は強気の返答をする。
その表情は、真剣そのものだ。
「……そこまで言うなら、やってみろよ!」
「っっっ!?」
伸のハッタリが気にくわないが、その表情も気にくわない。
何か策でもあるのか、本当に勝つつもりでいるような表情だからだ。
気に入らないが、伸がどう動くのか興味がわく。
その思いから、バルタサールは伸に向かって左手を向ける。
「ハーーッ!!」
「くっ!!」
バルタサールの左手から巨大魔力球を放たれる。
その攻撃を躱すため、伸は横に跳んで躱す。
躱された巨大魔力球は、穴が開いた部分を通り抜け、隣の会場の観客席にぶつかって場大爆発を起こす。
「予想通りだな!」
「っっっ!!」
巨大魔力球を躱した伸を先回りするように、バルタサールが距離を詰めてきた。
わざと躱しやすいようにすることで、伸の避ける方向を限定したのかもしれない。
もう振りかぶった状態のバルタサールは、伸を袈裟斬りにするように刀を振り下ろした。
“フッ!!”
「っっっ!? 消えたっ!?」
袈裟斬りにする瞬間、伸の姿が一瞬にして消える。
何が起きたのか分からず、バルタサールは戸惑いの声を上げる。
「っ!! まさか……転移魔術かっ!?」
周囲を見渡したバルタサールは、伸が少し離れた背後にいることに気が付く。
目にもとまらぬ速さで移動したという訳ではない。
そうなると、思い浮かぶ魔術がある。
使用できる魔闘師は世界でも数え切れるほどしかいない、オレガリオが得意としている転移魔術だ。
「オレガリオ以外にも転移魔術が使える者がいるなんてな……」
転移魔術が使えるため、バルタサールはオレガリオを重宝していた。
今後の世界征服のことを考えると、伸も使えるというのは喜ばしい。
バルタサールとしては、何としても伸を配下に加えたいと思い始めた。
そのためにも、伸に少し痛い思いをしてもらわなければと、伸に向かって刀を構えた。
「っっっ!? な、なんだ……?」
刀を構えるために一歩踏み出した瞬間、バルタサールは自分に起きた異変に気が付く。
「う、動け……」
足が張りつけられたかのように動かない。
どんなに力を込めても動けないため、バルタサールは戸惑いの声を上げる。
「貴様だな!? 伸っ!! 何をした!?」
何が起きているのか分からないが、自分にこんなことができるのは伸以外いない。
そのため、バルタサールは伸に答えを求める。
「そこだよ。そこに来るのを待ってたんだ」
「魔法陣っ!? 魔力を隠蔽していたか!?」
問いに答えるように、伸は種明かしをする。
バルタサールを中心として、魔法陣が浮かび上がったのだ。
片膝をついて両手を地面につけている伸が用意していたことは明白。
しかも、魔法陣を描く魔力を見えづらくしていたため、自分が気付かなかったのだとバルタサールは気付く。
「ただ逃げ回っていただけじゃないってわけさ!」
伸が勝機を見出した理由。
それは、バルタサールが細かいことに意識を向けないという癖を感じ取ったからだ。
どんな攻撃を受けようとも、自分に致命傷を負わせるだけの攻撃を加えられる生物が存在しているなんて毛頭になかったのだろう
自分が魔力を隠蔽していることなんて、全く注意を向けていなかった。
それを利用し、逃げ回りながら密かに準備を進めてきた。
バルタサールの動きを止め、全力攻撃を加えるチャンスを作り出すことを。
「くらえ!!」
魔法陣にて動けなくなったバルタサール。
そのチャンスを利用し、伸は自身の全魔力を使用してバルタサールへと攻撃を計る。
“ズドーーーンッ!!”
「グッ、グアーーー!!」
伸の発言の後、巨大な火柱が上がり爆発を起こす。
魔法陣による大爆発だ。
その直撃を受けたバルタサールは、大きな悲鳴を上げた。
「その通りだ!」
伸から発せられた言葉に、バルタサールは首を傾げつつ問いかける。
言っている意味は分かるが、とてもではないが現実的な話ではないため、受け入れることに少しの間が必要のようだ。
そんなバルタサールの問いかけに、伸は力強く返事をした。
「ハハッ、冗談が過ぎるな……」
人型の姿での勝負なら、もしかしたら伸が勝利する可能性はあるだろう。
しかし、魔人としての本性を現したことで力の差が生まれてしまったため、伸が自分に勝利できることはありえない。
それでも、自分の攻撃に対応する伸との戦いは面白い。
それなのに、伸のハッタリを受けて折角の気分が台無しになり、バルタサールは乾いた笑いと共に呟く。
「冗談じゃないさ」
“ピキッ!!”
ハッタリにしてはつまらない。
そんな様子のバルタサールの呟きに、伸は自信満々に返答する。
その言葉を受け、バルタサールのこめかみに血管が浮き上がった。
「なおさら不愉快だ!」
少し前までの笑みは完全に消え去り、バルタサールは怒りと共に一気に殺気を撒き散らす。
相当お冠のようだ。
「勝てるわけがないだろ!? 逃げ回っているだけのくせに!」
接近戦に持ち込んでもパワーが違う。
距離をとっても、強力な魔力弾の攻撃に晒される。
自分よりも僅かに上回るスピードを駆使し、逃げ回っているだけに過ぎない。
そんな伸が、どうして勝てると言えるのか。
不愉快なバルタサールは、語気を強めて伸に問いかける。
「あぁ、ここまではな!」
バルタサールの問いかけに対し、伸は強気の返答をする。
その表情は、真剣そのものだ。
「……そこまで言うなら、やってみろよ!」
「っっっ!?」
伸のハッタリが気にくわないが、その表情も気にくわない。
何か策でもあるのか、本当に勝つつもりでいるような表情だからだ。
気に入らないが、伸がどう動くのか興味がわく。
その思いから、バルタサールは伸に向かって左手を向ける。
「ハーーッ!!」
「くっ!!」
バルタサールの左手から巨大魔力球を放たれる。
その攻撃を躱すため、伸は横に跳んで躱す。
躱された巨大魔力球は、穴が開いた部分を通り抜け、隣の会場の観客席にぶつかって場大爆発を起こす。
「予想通りだな!」
「っっっ!!」
巨大魔力球を躱した伸を先回りするように、バルタサールが距離を詰めてきた。
わざと躱しやすいようにすることで、伸の避ける方向を限定したのかもしれない。
もう振りかぶった状態のバルタサールは、伸を袈裟斬りにするように刀を振り下ろした。
“フッ!!”
「っっっ!? 消えたっ!?」
袈裟斬りにする瞬間、伸の姿が一瞬にして消える。
何が起きたのか分からず、バルタサールは戸惑いの声を上げる。
「っ!! まさか……転移魔術かっ!?」
周囲を見渡したバルタサールは、伸が少し離れた背後にいることに気が付く。
目にもとまらぬ速さで移動したという訳ではない。
そうなると、思い浮かぶ魔術がある。
使用できる魔闘師は世界でも数え切れるほどしかいない、オレガリオが得意としている転移魔術だ。
「オレガリオ以外にも転移魔術が使える者がいるなんてな……」
転移魔術が使えるため、バルタサールはオレガリオを重宝していた。
今後の世界征服のことを考えると、伸も使えるというのは喜ばしい。
バルタサールとしては、何としても伸を配下に加えたいと思い始めた。
そのためにも、伸に少し痛い思いをしてもらわなければと、伸に向かって刀を構えた。
「っっっ!? な、なんだ……?」
刀を構えるために一歩踏み出した瞬間、バルタサールは自分に起きた異変に気が付く。
「う、動け……」
足が張りつけられたかのように動かない。
どんなに力を込めても動けないため、バルタサールは戸惑いの声を上げる。
「貴様だな!? 伸っ!! 何をした!?」
何が起きているのか分からないが、自分にこんなことができるのは伸以外いない。
そのため、バルタサールは伸に答えを求める。
「そこだよ。そこに来るのを待ってたんだ」
「魔法陣っ!? 魔力を隠蔽していたか!?」
問いに答えるように、伸は種明かしをする。
バルタサールを中心として、魔法陣が浮かび上がったのだ。
片膝をついて両手を地面につけている伸が用意していたことは明白。
しかも、魔法陣を描く魔力を見えづらくしていたため、自分が気付かなかったのだとバルタサールは気付く。
「ただ逃げ回っていただけじゃないってわけさ!」
伸が勝機を見出した理由。
それは、バルタサールが細かいことに意識を向けないという癖を感じ取ったからだ。
どんな攻撃を受けようとも、自分に致命傷を負わせるだけの攻撃を加えられる生物が存在しているなんて毛頭になかったのだろう
自分が魔力を隠蔽していることなんて、全く注意を向けていなかった。
それを利用し、逃げ回りながら密かに準備を進めてきた。
バルタサールの動きを止め、全力攻撃を加えるチャンスを作り出すことを。
「くらえ!!」
魔法陣にて動けなくなったバルタサール。
そのチャンスを利用し、伸は自身の全魔力を使用してバルタサールへと攻撃を計る。
“ズドーーーンッ!!”
「グッ、グアーーー!!」
伸の発言の後、巨大な火柱が上がり爆発を起こす。
魔法陣による大爆発だ。
その直撃を受けたバルタサールは、大きな悲鳴を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
プライベート・スペクタル
点一
ファンタジー
【星】(スターズ)。それは山河を変えるほどの膂力、千里を駆ける脚力、そして異形の術や能力を有する超人・怪人達。
この物語はそんな連中のひどく…ひどく個人的な物語群。
その中の一部、『龍王』と呼ばれた一人の男に焦点を当てたお話。
(※基本 隔週土曜日に更新予定)
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる