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アーグレン
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王族の忠実なる騎士、アーグレン=ベルハルト。彼は騎士団の団長を任されている。
そして彼はアレクシスの幼馴染みであり、互いを愛称で呼び合うほど親密である。
アーグレンは幼い頃に両親を亡くし、途方に暮れていた際にたまたま町に遊びにきていたアレクシスと出会う。
彼は年頃の友達ができたと大層喜び、アーグレン本人の許可を得た後、なんと彼を王子の力で騎士見習いにし、城に住まわせてしまう。お城の騎士は勿論のこと、使用人も王も王妃も当時は皆驚いたという。
当たり前と言えば当たり前だ。この世界では明確な身分差別が存在する。その為、平民が騎士になるなどただの夢物語でしかなかったからだ。
平民が王子の友人になり、加えて騎士になるなど、世界がひっくり返ってもあり得ない出来事であったのだ。
しかしアレクシスはそんなことを微塵も気にしなかった。
彼は頻繁にアーグレンに会いに行き、食事を共にしたり、一緒に剣術を練習したりした。
更に城に住む為の口実として提示した「騎士になる」ということも、嫌だったらやめてもいい、それでもちゃんと城には住めるようにするからと常に彼を気にかけていたのだ。
それを見た使用人が王子ともあろう者がたかが平民に優しくしてはいけないと注意をすると、アレクシスは従うどころか怒ったという。彼は声を荒らげて言った。友達に優しくして何が悪い、と。
そんな事もあり、アレクシスは彼を心から信頼し、アーグレンも又、アレクシスを心から信頼している。二人は文字通り、唯一無二の親友なのだ。
先程剣術を共に練習したと述べたが、この国の王族に生まれた男子は風習として、剣術を必ず習わされる。
その為、騎士ではないアレクシスも、剣を握る事ができるのだ。アーグレンの腕には敵わないようだが、アレクシスも相当強い腕前だと聞いたことがある。
そして彼は、報われない騎士でもあった。
突如アレクシスが連れてきた主人公の存在に、最初は大変驚いたが、彼女と同じく平民出身であり、出自も似通っていたアーグレンは主人公に強い親近感を抱く。
明るく優しい主人公と過ごす内に次第に惹かれていき、アーグレンは主人公に恋をしてしまう。
しかし主人公とアレクシスが恋仲である事を知っていたので、その思いを一切告げる事なく生涯二人を護ることを誓うという…悲しいキャラクターでもあったのだ。
…そうだ、彼の事を考えるとただ主人公とアレクをくっつければ終わりという話ではなくなる。
小説で酷く辛い思いをした彼を、現実ここでも不幸にする訳にはいかない。もう少し今後の計画を考え直さなければ…。
それにしても主人公…ヒロインの名前も、アーグレンの名前すら私は覚えていなかったわ。
この小説以外にも色んな作品を読んだから当たり前と言えば当たり前だけど…こんなに名前が思い出せないなんてことあるかしら…。
もしかしたら転生者って事が関わってるのかも…いや私の記憶力がただないだけ…?
今ハッキリしてるのはその登場人物にさえ出会えれば明確に名前を思い出せるということ。どうせ主人公にはこれから会う事になるだろうから、その時のお楽しみにしていれば良いわよね。
「…公女様、いかがなさいましたか?」
突然考え込み、黙りこくってしまった私を心配そうにアーグレンが見上げてくる。
「公女…様?あぁ、私の事ね。そうか、私公女だったわね」
公女と呼ぶ人間は今まで一人もいなかったので少し困惑してしまったが、そう呼ばれることで改めて公爵令嬢である事を理解する。
小説のリティシアは貴族の中で最も高い位である公爵の娘であり、王子の婚約者であるという最強の後ろ盾を悪用して悪事を働いていたんだったわね。
「…?呼び方が気に入らないようでしたらすぐにでも直しますが」
「いいえ。それでいいわ。アーグレン=ベルハルト…貴方を私の護衛騎士にするわ」
アーグレンが護衛騎士になれば私が殺される可能性は格段に減るわ。それに王の命令に従った事にもなるしなんとか処刑は免れられそうだわ。
…まぁ命令を受けようが受けまいが私の評判なんて元からないに等しいから関係ないか。
ある程度の常識をわきまえてるけど王子には相応しくないと思わせないとだから…王様には適度に従うくらいになって丁度良かったわ。
アーグレンとはなんとしてでも仲良くならないと。味方になれば最強、でも敵にすれば…まず私の命はないでしょうから。
「リティ、彼は騎士団長でもある。だから騎士団の様子を見に戻らなければならない時もあるんだが、それ以外はリティの側にいてくれるようだ。…それでも構わないかい?」
お父様がこちらの様子を窺ってきたのに対し、私は笑顔で返事を返す。
「勿論構いませんわ。これからよろしくね。ベルハルト卿」
「護衛騎士にそのような呼び方は必要ありません。どうかアーグレンかベルハルトとお呼びください。公女様」
「分かったわ。じゃぁ…アーグレン。これからは私が貴方の主になるわ。それでも構わないわね?」
「はい。勿論構いません。公女様にお仕え出来る事…大変光栄に思います」
型にはまった返事というか…なんというか警戒心剥き出しの感じね。
まぁ最初は皆こうなるわよね、何しろ私は最悪の悪役令嬢なんだもの…。仕方ないわ。
アーグレンの紫色の瞳は常に私を観察し、主として相応しいかどうかを見極めているように思えた。
そして彼はアレクシスの幼馴染みであり、互いを愛称で呼び合うほど親密である。
アーグレンは幼い頃に両親を亡くし、途方に暮れていた際にたまたま町に遊びにきていたアレクシスと出会う。
彼は年頃の友達ができたと大層喜び、アーグレン本人の許可を得た後、なんと彼を王子の力で騎士見習いにし、城に住まわせてしまう。お城の騎士は勿論のこと、使用人も王も王妃も当時は皆驚いたという。
当たり前と言えば当たり前だ。この世界では明確な身分差別が存在する。その為、平民が騎士になるなどただの夢物語でしかなかったからだ。
平民が王子の友人になり、加えて騎士になるなど、世界がひっくり返ってもあり得ない出来事であったのだ。
しかしアレクシスはそんなことを微塵も気にしなかった。
彼は頻繁にアーグレンに会いに行き、食事を共にしたり、一緒に剣術を練習したりした。
更に城に住む為の口実として提示した「騎士になる」ということも、嫌だったらやめてもいい、それでもちゃんと城には住めるようにするからと常に彼を気にかけていたのだ。
それを見た使用人が王子ともあろう者がたかが平民に優しくしてはいけないと注意をすると、アレクシスは従うどころか怒ったという。彼は声を荒らげて言った。友達に優しくして何が悪い、と。
そんな事もあり、アレクシスは彼を心から信頼し、アーグレンも又、アレクシスを心から信頼している。二人は文字通り、唯一無二の親友なのだ。
先程剣術を共に練習したと述べたが、この国の王族に生まれた男子は風習として、剣術を必ず習わされる。
その為、騎士ではないアレクシスも、剣を握る事ができるのだ。アーグレンの腕には敵わないようだが、アレクシスも相当強い腕前だと聞いたことがある。
そして彼は、報われない騎士でもあった。
突如アレクシスが連れてきた主人公の存在に、最初は大変驚いたが、彼女と同じく平民出身であり、出自も似通っていたアーグレンは主人公に強い親近感を抱く。
明るく優しい主人公と過ごす内に次第に惹かれていき、アーグレンは主人公に恋をしてしまう。
しかし主人公とアレクシスが恋仲である事を知っていたので、その思いを一切告げる事なく生涯二人を護ることを誓うという…悲しいキャラクターでもあったのだ。
…そうだ、彼の事を考えるとただ主人公とアレクをくっつければ終わりという話ではなくなる。
小説で酷く辛い思いをした彼を、現実ここでも不幸にする訳にはいかない。もう少し今後の計画を考え直さなければ…。
それにしても主人公…ヒロインの名前も、アーグレンの名前すら私は覚えていなかったわ。
この小説以外にも色んな作品を読んだから当たり前と言えば当たり前だけど…こんなに名前が思い出せないなんてことあるかしら…。
もしかしたら転生者って事が関わってるのかも…いや私の記憶力がただないだけ…?
今ハッキリしてるのはその登場人物にさえ出会えれば明確に名前を思い出せるということ。どうせ主人公にはこれから会う事になるだろうから、その時のお楽しみにしていれば良いわよね。
「…公女様、いかがなさいましたか?」
突然考え込み、黙りこくってしまった私を心配そうにアーグレンが見上げてくる。
「公女…様?あぁ、私の事ね。そうか、私公女だったわね」
公女と呼ぶ人間は今まで一人もいなかったので少し困惑してしまったが、そう呼ばれることで改めて公爵令嬢である事を理解する。
小説のリティシアは貴族の中で最も高い位である公爵の娘であり、王子の婚約者であるという最強の後ろ盾を悪用して悪事を働いていたんだったわね。
「…?呼び方が気に入らないようでしたらすぐにでも直しますが」
「いいえ。それでいいわ。アーグレン=ベルハルト…貴方を私の護衛騎士にするわ」
アーグレンが護衛騎士になれば私が殺される可能性は格段に減るわ。それに王の命令に従った事にもなるしなんとか処刑は免れられそうだわ。
…まぁ命令を受けようが受けまいが私の評判なんて元からないに等しいから関係ないか。
ある程度の常識をわきまえてるけど王子には相応しくないと思わせないとだから…王様には適度に従うくらいになって丁度良かったわ。
アーグレンとはなんとしてでも仲良くならないと。味方になれば最強、でも敵にすれば…まず私の命はないでしょうから。
「リティ、彼は騎士団長でもある。だから騎士団の様子を見に戻らなければならない時もあるんだが、それ以外はリティの側にいてくれるようだ。…それでも構わないかい?」
お父様がこちらの様子を窺ってきたのに対し、私は笑顔で返事を返す。
「勿論構いませんわ。これからよろしくね。ベルハルト卿」
「護衛騎士にそのような呼び方は必要ありません。どうかアーグレンかベルハルトとお呼びください。公女様」
「分かったわ。じゃぁ…アーグレン。これからは私が貴方の主になるわ。それでも構わないわね?」
「はい。勿論構いません。公女様にお仕え出来る事…大変光栄に思います」
型にはまった返事というか…なんというか警戒心剥き出しの感じね。
まぁ最初は皆こうなるわよね、何しろ私は最悪の悪役令嬢なんだもの…。仕方ないわ。
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