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焦り
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「すみません、公女様…。実は昔、私のイメージに全然合わないと…盛大に笑われたことがありまして…。幼かった私はとても傷ついたんです。アレクは一切笑いませんでしたが、未だに恐れているんです。誰かに…笑われることを」
つまりアーグレンは…好きな物が自分のイメージと合わないからという理由だけで笑われたってことね。
全く…バカバカしい。どうしてそれだけで彼を傷つけるのかしら。
「…アーグレン。何かを好きでいることはとても素敵なことよ。」
私の言葉に、彼はゆっくりと顔を上げた。
恐らく貴方は騎士ともあろう者がそんなことを恐れるなんて情けないと思ってるんでしょう。
でもね、そんなの誰だって怖いに決まってるわ。私だって…誰かにバカにされて笑われるのは怖いもの。
「私なんてね…特別好きな物はおろか、嫌いな物だってない。全部普通。つまらないわよ。」
私は出来る限り優しく微笑むとアーグレンの表情が少し和らいだように感じた。悪役顔だから優しく笑ってるように見えてるかは分からないけど…ちゃんと伝えないとね。
「だからね、私が言いたいのは…何かを好きでいることを恥じる必要なんてないってこと。貴方がどんなものを好きでいようと、貴方自身は何も変わらないんだから。」
「…有難うございます…公女様。公女様はやはりアレクとよく似ていますね」
私が言い終わると彼の表情が明らかに和らぎ、軽く口元に笑みを浮かべる。そして私の目を真っ直ぐ見つめてきた。
「…一つ、お聞きしてもよろしいですか?」
「えぇ…。」
「公女様には…好きな者がありますよね?」
「…え?好きな物なんてないけど?」
「…そうですよね、すみません」
一体何を言ってるの?
さっきそう言ったじゃない。
彼の意図が全く分からずに一人で混乱していると、完全に存在を忘れていたアルターニャの声が耳に入ってくる。
「殿下、どれをお食べになりますか?」
「そうですね、こんなに沢山あるととても選べません。…アルターニャ王女様の好きなスイーツはどれですか?」
「私は断然これです。可愛くて美味しいマカロン!これだけはシェフに作らせずにこの国で一番売れているお店から取り寄せましたの。味はこの私が保証いたしますわ。」
てことは…死ぬほど甘いって訳ね。急に約束させられて急に呼ばれたと思ったら自分の苦手なものを食べさせられるだなんて可哀想すぎる。
私の魔法で全部燃やしてやりたいところだけどそれは勿体ないよね。
さてどうするか…。
とその時、突如強い風が吹き荒れたかと思うと、アルターニャの関心がスイーツから思い切り逸れたのであった。
「痛っ…」
「どうしましたか?」
「今の風で目にゴミが入ったようです。すぐに取りますわ…」
「あぁ、無理に擦ってはいけません。よろしければ私が見てみましょうか?」
「申し訳ございません殿下……お願いします」
初めに言っておこう。この会話が聞こえていれば私が焦る理由は何一つなかった。
近距離にいた彼ら同士はかろうじて聞こえたが、強風の影響で、少し離れたところにいた私達にはまるで声が届かなかったのだ。
その結果私とアーグレンの目には突然アレクシスがアルターニャに急接近したようにしか見えなかったのである。
え何よあれなんでそんなに急接近してるの!?
ダメダメ、そんなに急接近していいのは主人公だけなんだから!というかアレクの方から近づくって…アルターニャは一体どんな禁忌魔法を使ったのよ!
私もそれくらい接近しちゃったことあるけどあれはちょっとぼーっとしてて…いやいやそんなことどうでもいいのよ。
止めなきゃ。どうやって?
アレク!目の前にいるのは主人公じゃないのよ!目を覚まして!
「公女様…!」
アーグレンの焦ったような声に反応する暇すら最早ない。どうする?ここから炎の魔法を使うしかない。早くしなきゃ。
…あれ?
私はそこであの胡散臭い名前のアイテムを手に持っていないことにようやく気がついた。
そしてアーグレンが焦っていた理由も同時に理解する。
慌てて地面に転がっていたそれを拾おうとしたのだが、彼らは突然植木が人に変身したその光景を見逃す程、バカではなかった。
私は呆気なく見つかり、二人はこちらの姿を認めると同時に驚いた表情をする。
アレクはびっくりだろうけど貴女は知ってるでしょ、アルターニャ。
「…リティシア?」
「やっぱり来たわね、リティシア!どうりで作った覚えのない場所に植木があるはずだわ!」
…気づかれたわ…。まぁどうせ最終的にはバレるとは思ってたけどさ。
それにしてもアルターニャ、貴女あんなところに植木があるの変だなって思ってたのに何も言わなかったのね…。ちょっと面白くて笑っちゃうわ。
私が気づかれたことにより隣の植木にも視線が集中し、彼は諦めて植木変身セットを地面に置く。
そういえば説明し忘れていたけど植木変身セットを持っている者同士と、植木に変身する瞬間を見られてしまった人には本人の姿のままで見えるのだ。
そして姿が露わになったアーグレンを見てアレクシスは更に目を丸くして驚き、その隣のアルターニャは怪訝そうな表情を浮かべていた。
「…え?隣の人は…誰?」
つまりアーグレンは…好きな物が自分のイメージと合わないからという理由だけで笑われたってことね。
全く…バカバカしい。どうしてそれだけで彼を傷つけるのかしら。
「…アーグレン。何かを好きでいることはとても素敵なことよ。」
私の言葉に、彼はゆっくりと顔を上げた。
恐らく貴方は騎士ともあろう者がそんなことを恐れるなんて情けないと思ってるんでしょう。
でもね、そんなの誰だって怖いに決まってるわ。私だって…誰かにバカにされて笑われるのは怖いもの。
「私なんてね…特別好きな物はおろか、嫌いな物だってない。全部普通。つまらないわよ。」
私は出来る限り優しく微笑むとアーグレンの表情が少し和らいだように感じた。悪役顔だから優しく笑ってるように見えてるかは分からないけど…ちゃんと伝えないとね。
「だからね、私が言いたいのは…何かを好きでいることを恥じる必要なんてないってこと。貴方がどんなものを好きでいようと、貴方自身は何も変わらないんだから。」
「…有難うございます…公女様。公女様はやはりアレクとよく似ていますね」
私が言い終わると彼の表情が明らかに和らぎ、軽く口元に笑みを浮かべる。そして私の目を真っ直ぐ見つめてきた。
「…一つ、お聞きしてもよろしいですか?」
「えぇ…。」
「公女様には…好きな者がありますよね?」
「…え?好きな物なんてないけど?」
「…そうですよね、すみません」
一体何を言ってるの?
さっきそう言ったじゃない。
彼の意図が全く分からずに一人で混乱していると、完全に存在を忘れていたアルターニャの声が耳に入ってくる。
「殿下、どれをお食べになりますか?」
「そうですね、こんなに沢山あるととても選べません。…アルターニャ王女様の好きなスイーツはどれですか?」
「私は断然これです。可愛くて美味しいマカロン!これだけはシェフに作らせずにこの国で一番売れているお店から取り寄せましたの。味はこの私が保証いたしますわ。」
てことは…死ぬほど甘いって訳ね。急に約束させられて急に呼ばれたと思ったら自分の苦手なものを食べさせられるだなんて可哀想すぎる。
私の魔法で全部燃やしてやりたいところだけどそれは勿体ないよね。
さてどうするか…。
とその時、突如強い風が吹き荒れたかと思うと、アルターニャの関心がスイーツから思い切り逸れたのであった。
「痛っ…」
「どうしましたか?」
「今の風で目にゴミが入ったようです。すぐに取りますわ…」
「あぁ、無理に擦ってはいけません。よろしければ私が見てみましょうか?」
「申し訳ございません殿下……お願いします」
初めに言っておこう。この会話が聞こえていれば私が焦る理由は何一つなかった。
近距離にいた彼ら同士はかろうじて聞こえたが、強風の影響で、少し離れたところにいた私達にはまるで声が届かなかったのだ。
その結果私とアーグレンの目には突然アレクシスがアルターニャに急接近したようにしか見えなかったのである。
え何よあれなんでそんなに急接近してるの!?
ダメダメ、そんなに急接近していいのは主人公だけなんだから!というかアレクの方から近づくって…アルターニャは一体どんな禁忌魔法を使ったのよ!
私もそれくらい接近しちゃったことあるけどあれはちょっとぼーっとしてて…いやいやそんなことどうでもいいのよ。
止めなきゃ。どうやって?
アレク!目の前にいるのは主人公じゃないのよ!目を覚まして!
「公女様…!」
アーグレンの焦ったような声に反応する暇すら最早ない。どうする?ここから炎の魔法を使うしかない。早くしなきゃ。
…あれ?
私はそこであの胡散臭い名前のアイテムを手に持っていないことにようやく気がついた。
そしてアーグレンが焦っていた理由も同時に理解する。
慌てて地面に転がっていたそれを拾おうとしたのだが、彼らは突然植木が人に変身したその光景を見逃す程、バカではなかった。
私は呆気なく見つかり、二人はこちらの姿を認めると同時に驚いた表情をする。
アレクはびっくりだろうけど貴女は知ってるでしょ、アルターニャ。
「…リティシア?」
「やっぱり来たわね、リティシア!どうりで作った覚えのない場所に植木があるはずだわ!」
…気づかれたわ…。まぁどうせ最終的にはバレるとは思ってたけどさ。
それにしてもアルターニャ、貴女あんなところに植木があるの変だなって思ってたのに何も言わなかったのね…。ちょっと面白くて笑っちゃうわ。
私が気づかれたことにより隣の植木にも視線が集中し、彼は諦めて植木変身セットを地面に置く。
そういえば説明し忘れていたけど植木変身セットを持っている者同士と、植木に変身する瞬間を見られてしまった人には本人の姿のままで見えるのだ。
そして姿が露わになったアーグレンを見てアレクシスは更に目を丸くして驚き、その隣のアルターニャは怪訝そうな表情を浮かべていた。
「…え?隣の人は…誰?」
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