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兄妹
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「謹んでお断りさせて頂きます。そもそもそんな重要なことは二人を抜きにして私一人の一存で決められるようなものではありません。そして我が国と貴国とは既に友好条約を結ばせて頂いておりますし、今更改正を願うほどでもないと思います。」
彼は至極丁寧に言葉を紡いでいきはっきりと否定の意を示したのだが、性根の腐ったエリック殿下は簡単には引き下がらなかった。
「…この国では宝石がよくとれる。お前が王になった暁に記念として好きなだけやろう。金銭の支援もいくらでもしてやる。その他にも支援を約束する。これでどうだ?素直になれ、王子。国の為にたった二人が犠牲になるだけで済むんだ。これほどいい話はもう二度とないぞ。」
どうしてもアレクにうんと言わせたいのね…。
彼がこの腹黒に負けるなんて絶対あり得ないけど…コイツ変な魔法とかかけないわよね?
言葉全てに頷く全肯定魔法みたいな…いやそんなのはないか。だって今くらいしか使うタイミングがないものね。
「よく聞けアレクシス。他人を気にしてばかりいては国を作ってはいけない…お前も本当はもう分かっているんだろ?隣国の王子の好意を…そんなに簡単に無駄にして良いのかな?」
てかコイツさっきからめっちゃタメ口じゃない?年下だからってなめてかかってるようにしか思えないわ…。
アレク…こんな奴に負けたら許さないからね。
アレクシスは彼の発言を受け、一旦目を瞑ったかと思うと深く息を吐く。そして目を見開き、自分より年上の王子を美しい瞳で鋭く見据えた。
「私の言い方が良くなかったのでしょうか。殿下、もう一度言わせて頂きますね。私は…条約のために親友と婚約者を売るような最低の人間ではありません。」
アレクシスの眼差しを一瞬興味深げに見つめ返したかと思うと、彼は再び不気味な笑い声をあげる。
相変わらず目は笑っておらず、空気が一瞬にして冷めるかのような冷たい笑いだ。
「…冗談だよ。本気にするなって。こんな女金を積まれてもいらないから安心しろ」
その言葉にアレクシスを纏う空気がぐらりと揺れた。確かに優しい空気であるはずなのに冷たく棘のある…そんな雰囲気だった。
「それはリティシア嬢に対する侮辱ですね。今すぐ彼女に謝罪して下さい。」
「嫌だね。事実を言って何が悪い」
「事実ではありません。殿下、謝罪して下さい」
「はぁ…しつこいなお前。諦めろよ。俺は隣国の王子だぞ?戦争でもしたいのか?」
「戦争など微塵も望んでいません。ただ謝罪を求めているだけです。彼女に謝って下さい」
このまま放っておけば不毛なやり取りを彼が謝罪するまで何時間でも続けそうだったので、私はアレクシスの袖を軽く引っ張って止める。
私のせいで隣国の王子に嫌われでもしたら大変だわ。この程度で終わらせておかないと。
こんな奴に負けないでって思ったけど…よく考えたら貴方が私のために何かをする必要なんて少しもないんだから…早く止めるべきだったわ。
「アレクシス、もういいわ」
「リティシア…」
「貴方もアーグレンも同じことをするのね。でも…私の為にそこまでしないで。私は少しも気にしてないのにすぐに庇おうとして…正直、迷惑よ。放っといて頂戴」
本当はその王子を地面に埋めてやりたいくらいには腹が立ってるんだけど…気にしない素振りをしないとコイツより大人だって見せつけられないもの。
それからこう言っておけばアレクシスも私を無理に庇おうとしなくなるし、私は自然と周囲から王子に嫌われてるんだって思われて婚約破棄に繋がる。これが正しい選択なんだわ。
…ごめんね、貴方が庇ってくれることはとっても嬉しいけど、その相手は私じゃない。主人公…ヒロインのためにとっておいて。
彼が何かを言おうと口を開いたその瞬間、甲高い声が辺りに響き渡る。
「殿下~お待たせしまし…あら!?お兄様?リックお兄様じゃありませんか!」
ハイヒールの音を無駄に響かせながらアルターニャはエリック殿下へと嬉しそうに駆け寄っていった。…兄妹の仲は良好らしい。
「ターニャ、会いたかったよ」
「あら、私もですわ!それよりお兄様…また背が伸びたんじゃありませんか?一体どこまで伸びるのかしら!?」
「さぁな。それよりお前も背が伸びたんじゃないか?昔はあんなに小さかったのに…俺の可愛いターニャはこれからもっと成長していくんだな」
成長期はほぼ終わりだと思うけどね。どこまで伸びる気よ。言っておくけどアルターニャは私よりも小さいわよ。その程度で背が伸びたことを褒められるんだったら私を先に褒めないとおかしいわよ。
そしてアルターニャは一通り喜んだ後に私とアーグレンの存在を見事にガン無視してアレクシスに向き直る。
「殿下、このドレスに決めましたわ。やっぱり思ったより時間がかかったので先に戻って頂いてよかったです。こうしてお兄様にも会えましたし丁度よかったですわ。…あ、ご紹介がまだでしたよね、この方は…」
どうやら彼女は時間がかかることを見越してアレクシスを先に戻したらしい。だから先に彼が帰ってきたのね。この王女、意外と気が利くんだ。
「その必要はないよ、ターニャ。殿下と私はたった今友人になったからね。勿論リティシア嬢とその護衛騎士さんもだよ」
え、いつから?説明しなさいよ。
私達が納得できるように。
どうしても友達になってほしいっていうのなら…友達料をしっかり払いなさい。友達にはならないけど友達料だけはちゃんと貰ってあげるから。
彼は至極丁寧に言葉を紡いでいきはっきりと否定の意を示したのだが、性根の腐ったエリック殿下は簡単には引き下がらなかった。
「…この国では宝石がよくとれる。お前が王になった暁に記念として好きなだけやろう。金銭の支援もいくらでもしてやる。その他にも支援を約束する。これでどうだ?素直になれ、王子。国の為にたった二人が犠牲になるだけで済むんだ。これほどいい話はもう二度とないぞ。」
どうしてもアレクにうんと言わせたいのね…。
彼がこの腹黒に負けるなんて絶対あり得ないけど…コイツ変な魔法とかかけないわよね?
言葉全てに頷く全肯定魔法みたいな…いやそんなのはないか。だって今くらいしか使うタイミングがないものね。
「よく聞けアレクシス。他人を気にしてばかりいては国を作ってはいけない…お前も本当はもう分かっているんだろ?隣国の王子の好意を…そんなに簡単に無駄にして良いのかな?」
てかコイツさっきからめっちゃタメ口じゃない?年下だからってなめてかかってるようにしか思えないわ…。
アレク…こんな奴に負けたら許さないからね。
アレクシスは彼の発言を受け、一旦目を瞑ったかと思うと深く息を吐く。そして目を見開き、自分より年上の王子を美しい瞳で鋭く見据えた。
「私の言い方が良くなかったのでしょうか。殿下、もう一度言わせて頂きますね。私は…条約のために親友と婚約者を売るような最低の人間ではありません。」
アレクシスの眼差しを一瞬興味深げに見つめ返したかと思うと、彼は再び不気味な笑い声をあげる。
相変わらず目は笑っておらず、空気が一瞬にして冷めるかのような冷たい笑いだ。
「…冗談だよ。本気にするなって。こんな女金を積まれてもいらないから安心しろ」
その言葉にアレクシスを纏う空気がぐらりと揺れた。確かに優しい空気であるはずなのに冷たく棘のある…そんな雰囲気だった。
「それはリティシア嬢に対する侮辱ですね。今すぐ彼女に謝罪して下さい。」
「嫌だね。事実を言って何が悪い」
「事実ではありません。殿下、謝罪して下さい」
「はぁ…しつこいなお前。諦めろよ。俺は隣国の王子だぞ?戦争でもしたいのか?」
「戦争など微塵も望んでいません。ただ謝罪を求めているだけです。彼女に謝って下さい」
このまま放っておけば不毛なやり取りを彼が謝罪するまで何時間でも続けそうだったので、私はアレクシスの袖を軽く引っ張って止める。
私のせいで隣国の王子に嫌われでもしたら大変だわ。この程度で終わらせておかないと。
こんな奴に負けないでって思ったけど…よく考えたら貴方が私のために何かをする必要なんて少しもないんだから…早く止めるべきだったわ。
「アレクシス、もういいわ」
「リティシア…」
「貴方もアーグレンも同じことをするのね。でも…私の為にそこまでしないで。私は少しも気にしてないのにすぐに庇おうとして…正直、迷惑よ。放っといて頂戴」
本当はその王子を地面に埋めてやりたいくらいには腹が立ってるんだけど…気にしない素振りをしないとコイツより大人だって見せつけられないもの。
それからこう言っておけばアレクシスも私を無理に庇おうとしなくなるし、私は自然と周囲から王子に嫌われてるんだって思われて婚約破棄に繋がる。これが正しい選択なんだわ。
…ごめんね、貴方が庇ってくれることはとっても嬉しいけど、その相手は私じゃない。主人公…ヒロインのためにとっておいて。
彼が何かを言おうと口を開いたその瞬間、甲高い声が辺りに響き渡る。
「殿下~お待たせしまし…あら!?お兄様?リックお兄様じゃありませんか!」
ハイヒールの音を無駄に響かせながらアルターニャはエリック殿下へと嬉しそうに駆け寄っていった。…兄妹の仲は良好らしい。
「ターニャ、会いたかったよ」
「あら、私もですわ!それよりお兄様…また背が伸びたんじゃありませんか?一体どこまで伸びるのかしら!?」
「さぁな。それよりお前も背が伸びたんじゃないか?昔はあんなに小さかったのに…俺の可愛いターニャはこれからもっと成長していくんだな」
成長期はほぼ終わりだと思うけどね。どこまで伸びる気よ。言っておくけどアルターニャは私よりも小さいわよ。その程度で背が伸びたことを褒められるんだったら私を先に褒めないとおかしいわよ。
そしてアルターニャは一通り喜んだ後に私とアーグレンの存在を見事にガン無視してアレクシスに向き直る。
「殿下、このドレスに決めましたわ。やっぱり思ったより時間がかかったので先に戻って頂いてよかったです。こうしてお兄様にも会えましたし丁度よかったですわ。…あ、ご紹介がまだでしたよね、この方は…」
どうやら彼女は時間がかかることを見越してアレクシスを先に戻したらしい。だから先に彼が帰ってきたのね。この王女、意外と気が利くんだ。
「その必要はないよ、ターニャ。殿下と私はたった今友人になったからね。勿論リティシア嬢とその護衛騎士さんもだよ」
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