89 / 209
お詫び
しおりを挟む
「いいえ、殺されるのは勘弁ですのでここで引いておくことにしましょう。ですが一つだけ。先ほど私にプロポーズ致しましたよね?それについて言いたいことがあるので宜しいでしょうか?」
「その話はもう終わっ…」
「あんたなんかよりアレクシスの方がずっと素敵だわ。妹を甘やかし続けて弟を馬鹿にするような男と私は絶対に結婚しない。分かったらさっさと失せなさい」
年下の王子だからってアレクシスを下に見てるなんて許せない。彼は貴方と比べ物にならないくらい立派な王様になるんだからね。
それから…ここまで分かりやすく暴言を吐いておけば私への恨みでアレクシスへの恨みは多少なりともかき消されるはず。悪者は…悪役は私一人で良いんだから。
悪役は悪役らしく主役を引き立てればいいのよ。
「…失礼致しました。私は婚約者としてアレクシス殿下の名誉を守ろうとしただけです。どうか殿下の寛大なお心でお許しください」
そして私は仕方なく彼に対し頭を下げる。
どんな罵詈雑言を言っても最後にこの文章を言えば最強よ。
ここまで言っても尚怒るようであればエリック殿下が短気だと周囲に知らしめるだけだからね。私は可哀想な令嬢になるなけだもの。
…だがそれにしては言いすぎた気もしたので内心非常に焦りながらも私は頭を下げ続ける。
もしかしたらだけど…何かあればアレクシスが助けてくれるかもしれないし…なんとか殺されないといいな…。主人公に会わずして退場は流石に悲しいもの。
「…上手く逃げたな。そう言われてしまえば俺の負けだ。その度胸に免じて見逃してやろう。俺は寛大な心の持ち主だからな」
「有難きお言葉に感謝申し上げます」
ホントは微塵も感謝してないけどこいつのほうが身分が高いから仕方ない。…いつか廃位されることを期待しましょう。
そしてエリック殿下は軽く咳払いをするとアルターニャに向き直る。
…相変わらず弟のことは無視なのね。信じられないわ。
「見苦しいところをお見せしてしまったな。今のは全て冗談だ。どうか本気にしないで頂きたい。弟とのこともただの兄弟喧嘩みたいなものだからな。…さぁターニャ、彼らに何かお詫びしなさい」
妹にやらせるの?清々しいほどのクズね。
「お、お詫びですか?…私がお詫びしてほしいくらいなのにな…」
水ぶっかけられてお詫びにって何かをあげるのは確かに不本意よね。でもそれ以上に色々言われたんだからお城の一つや二つ私にあげるべきよ。…それは言いすぎかな。
もごもごと口ごもるアルターニャにエリック殿下は何かを耳打ちすると彼女は先ほどの兄と同様に軽く咳払いをする。
「でも確かにお見苦しいところをお見せしたのは事実ですものね。分かりましたわ。お詫びに本を一冊差し上げましょう」
偉そうに髪を軽く払いながら言い放つ彼女に私達は呆れざるを得ない。どれだけ呆れさせれば気が済むのよ。
お詫びとかよりも先に弟に謝りなさいよね…。
アレクシスはツヴァイト殿下をじっと見つめると「申し訳ございません、私の力が至らずに謝って頂く事ができないようです…」と不服そうに呟く。
貴方は何も…悪くないのに。
「いえ、僕は大丈夫ですよ。殿下が謝られる必要はございません」
「ツヴァイト殿下、貴方はいつもこのような扱いを…?」
「…いえ、僕のことは気になさらないでください。心配も無用です。アレクシス殿下のそのお気持ちだけで結構ですよ」
「そうですか…何も出来ずに申し訳ございません。何か私にできる事があればお教えください。すぐに駆けつけましょう」
「では、一つだけお願いさせてください。また…僕と会って頂けますか」
不安そうに揺れるツヴァイト殿下の瞳を驚いたようにアレクシスは見つめる。そして優しく微笑むと「勿論です。またお会いできる日を楽しみにしています」と答えた。
「殿下?何を話しているのです?」
「あぁ…いえ、なんでもございません。それから、お詫びをして頂く必要は…」
えっ、ちょっと待って折角くれるって言ってるのに断ろうとしてるの!?
そう思った瞬間私とアーグレンがほぼ同時にアレクシスの側に近寄り耳打ちをする。
「ちょっとアレクシス、お詫びをしてもらってもたりないくらいのことをしてるんだからここは大人しく受け取っておきなさい。受け取らないのはバカよ」
「アレク、貰えるものは貰っておけ。お前も散々酷い事を言われただろ。私だって色々我慢してたんだからな。」
この性悪兄妹が折角くれるって言ってるんだから絶対に貰っておくべきよね。
アレクの事も、私の事もアーグレンの事だって滅茶苦茶にバカにされたんだから。
地面に埋めて更にその上に国を作って二度と這い出てこれないようにするぐらいには腹が立ってるのよ。
「その話はもう終わっ…」
「あんたなんかよりアレクシスの方がずっと素敵だわ。妹を甘やかし続けて弟を馬鹿にするような男と私は絶対に結婚しない。分かったらさっさと失せなさい」
年下の王子だからってアレクシスを下に見てるなんて許せない。彼は貴方と比べ物にならないくらい立派な王様になるんだからね。
それから…ここまで分かりやすく暴言を吐いておけば私への恨みでアレクシスへの恨みは多少なりともかき消されるはず。悪者は…悪役は私一人で良いんだから。
悪役は悪役らしく主役を引き立てればいいのよ。
「…失礼致しました。私は婚約者としてアレクシス殿下の名誉を守ろうとしただけです。どうか殿下の寛大なお心でお許しください」
そして私は仕方なく彼に対し頭を下げる。
どんな罵詈雑言を言っても最後にこの文章を言えば最強よ。
ここまで言っても尚怒るようであればエリック殿下が短気だと周囲に知らしめるだけだからね。私は可哀想な令嬢になるなけだもの。
…だがそれにしては言いすぎた気もしたので内心非常に焦りながらも私は頭を下げ続ける。
もしかしたらだけど…何かあればアレクシスが助けてくれるかもしれないし…なんとか殺されないといいな…。主人公に会わずして退場は流石に悲しいもの。
「…上手く逃げたな。そう言われてしまえば俺の負けだ。その度胸に免じて見逃してやろう。俺は寛大な心の持ち主だからな」
「有難きお言葉に感謝申し上げます」
ホントは微塵も感謝してないけどこいつのほうが身分が高いから仕方ない。…いつか廃位されることを期待しましょう。
そしてエリック殿下は軽く咳払いをするとアルターニャに向き直る。
…相変わらず弟のことは無視なのね。信じられないわ。
「見苦しいところをお見せしてしまったな。今のは全て冗談だ。どうか本気にしないで頂きたい。弟とのこともただの兄弟喧嘩みたいなものだからな。…さぁターニャ、彼らに何かお詫びしなさい」
妹にやらせるの?清々しいほどのクズね。
「お、お詫びですか?…私がお詫びしてほしいくらいなのにな…」
水ぶっかけられてお詫びにって何かをあげるのは確かに不本意よね。でもそれ以上に色々言われたんだからお城の一つや二つ私にあげるべきよ。…それは言いすぎかな。
もごもごと口ごもるアルターニャにエリック殿下は何かを耳打ちすると彼女は先ほどの兄と同様に軽く咳払いをする。
「でも確かにお見苦しいところをお見せしたのは事実ですものね。分かりましたわ。お詫びに本を一冊差し上げましょう」
偉そうに髪を軽く払いながら言い放つ彼女に私達は呆れざるを得ない。どれだけ呆れさせれば気が済むのよ。
お詫びとかよりも先に弟に謝りなさいよね…。
アレクシスはツヴァイト殿下をじっと見つめると「申し訳ございません、私の力が至らずに謝って頂く事ができないようです…」と不服そうに呟く。
貴方は何も…悪くないのに。
「いえ、僕は大丈夫ですよ。殿下が謝られる必要はございません」
「ツヴァイト殿下、貴方はいつもこのような扱いを…?」
「…いえ、僕のことは気になさらないでください。心配も無用です。アレクシス殿下のそのお気持ちだけで結構ですよ」
「そうですか…何も出来ずに申し訳ございません。何か私にできる事があればお教えください。すぐに駆けつけましょう」
「では、一つだけお願いさせてください。また…僕と会って頂けますか」
不安そうに揺れるツヴァイト殿下の瞳を驚いたようにアレクシスは見つめる。そして優しく微笑むと「勿論です。またお会いできる日を楽しみにしています」と答えた。
「殿下?何を話しているのです?」
「あぁ…いえ、なんでもございません。それから、お詫びをして頂く必要は…」
えっ、ちょっと待って折角くれるって言ってるのに断ろうとしてるの!?
そう思った瞬間私とアーグレンがほぼ同時にアレクシスの側に近寄り耳打ちをする。
「ちょっとアレクシス、お詫びをしてもらってもたりないくらいのことをしてるんだからここは大人しく受け取っておきなさい。受け取らないのはバカよ」
「アレク、貰えるものは貰っておけ。お前も散々酷い事を言われただろ。私だって色々我慢してたんだからな。」
この性悪兄妹が折角くれるって言ってるんだから絶対に貰っておくべきよね。
アレクの事も、私の事もアーグレンの事だって滅茶苦茶にバカにされたんだから。
地面に埋めて更にその上に国を作って二度と這い出てこれないようにするぐらいには腹が立ってるのよ。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる