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彼女は私達には目もくれず扉に鍵を差し込むとカチャリと音を立てて解除する。
アルターニャが手に持つ鍵には可愛らしいうさぎのキーホルダーがつけられていた。
本当にうさぎが好きなのね…ってちょっとまって、ここは貴女の書斎なの?
「リティシア…私には分かるわよ。なんで私が鍵を持っているのか疑問に思ってるみたいね。」
何故か得意気に胸を張るアルターニャに私は呆れた視線を送る。
「はい…ここはアルターニャ王女様の書斎なんですか?」
「えぇそうよ。使ったことないけど」
いや使えよ。
思わず心の中でツッコむだけでなく言葉にしそうになり、慌てて口を噤む。
全く…典型的な宝の持ち腐れじゃないの…。鍵だけ可愛くして部屋自体は使わないってどういうことなのよ…。
「王女様はご自分の書斎をお持ちなんですね」
「えぇ、そうなんですよ!でも他国のお客様どころか私も一回しか入ったことがなくて中にどんな本があるかすらあんまり把握できていないんです。どれも使わない本ばかりなのでいくらでもお持ちして構いませんわ。」
いくつあるか把握できていないのに使うか使わないか分かるってどういうことなの…?
要するに本を読むのが嫌いってことね。
それとほぼ同じ事を言ったのに私とアレクシスでここまで反応があからさまに変わるのはどうなのよ…。
別に良いけどさ。アルターニャに目を輝かされても普通に困るんだけどさぁ…。
まるで少女漫画のヒロインかのように瞳をキラキラと輝かせる彼女に私とアーグレンはただただ呆れるしかない。
アレクシスはというとその視線の示す意味に全く気づいておらず、なんでほぼ同じ事を言ったのにリティシアと違う反応をするんだろう…という疑問を顔に浮かべていた。
その疑問、私にも分かるわよ。でもその理由はどう見ても明白なのよアレク…。
貴方は誰かに好意を与えるのは上手なのに誰かの好意には鈍感なのよね、ホント。主人公から向けられる好意にもなかなか気づかなかったし。
まぁそこが可愛いところでもあるんだけど…。
折角小説の世界に入ったからには早めに主人公の好意に気づかせてくっつけてあげようと思ったけど…気づかないできょとんとしてるのを見て楽しむのもアリよね…。
はっ、ダメダメ、ここは私が楽しむための世界じゃないんだから。それに、そんなことしてたらいつまでたってもアレクが幸せになれないもんね。
「殿下は何冊でも構いませんわ。殿下にはいつもお世話になっておりますので私からのお礼です。好きな本をいくつでもお持ち下さい」
「殿下は」ってところを凄く強調したわね…私には一冊しかやらないぞってことよね。でも一冊で十分よ。今後に役立ちそうな…でなければ面白そうな本を貰っていきましょう。
アルターニャはアレクシスの返事を待たずに強引に扉の前へと立たせると中に入るように急かし始める。
「さぁ殿下、お入り下さい。私は邪魔にならないように外でお待ちしていますね」
「大変有難いですが…本当に宜しいのですか?私ではなく彼らにお詫びをして下されば私は満足なのですが…」
「構いませんわ。殿下だけでなく彼らにもお詫びをしますのでご安心を」
最終的に私とアーグレンの視線に押し切られアレクシスは中へと入っていく。
アルターニャは私に早く入れと目で合図してきたので彼に続いて扉の向こうへ足を踏み入れる。
そして最後に入ろうとしたアーグレンだけアルターニャの反応が大幅に違った。
「あら、平民に渡す本はないわよ。」
その言葉にアーグレンは足を止め振り返る。あくまでも平静を装っているが、アルターニャの発言に多少苛立っているようだ。
…初めからアーグレンに渡す気なんてなかったのね。さっきアレクシスに「彼ら」にあげると言っていたけどそれはただの流れるようについた嘘…ホントとんでもないわこの王女。
「…分かっております。ですが二人の護衛につきたいのですが」
「それも結構。ここは王族の書斎なのよ?何か起こる方が珍しいわ」
アーグレンの意見をいとも簡単に却下したが、確かにアルターニャの言い分はよく分かる。
この世に城の中ほど安全な場所はない。
だが(アルターニャのいる)城の中ほど危険な場所もないだろうとも同時に思う。
「アルターニャ王女様、私は結構ですので彼に…」
「いや私はいい。確かにアルターニャ王女様の言う通りですね。私はここでお待ちしています」
言いかけたアレクシスを制し、アーグレンは素直に引き下がった。
アーグレンが我慢する必要なんてどこにもないのに…。
だが所有者であるアルターニャが言い切ってしまった以上彼に本が与えられることはないだろう。
こうなれば私とアレクシスで彼が好きそうな本を見つけてあげるしかない。騎士の心得とかそういう本があったら貰ってあげよう。
…そんな本読む必要すらない気がするけどね。
「聞き分けがいいじゃない。初めからそうしていればいいのよ」
悪びれる様子もなく口元に笑みを浮かべてみせる彼女を見て私は思う。
こいつ…もしかして悪役令嬢リティシアに次ぐ悪女なんじゃないの?
アルターニャが手に持つ鍵には可愛らしいうさぎのキーホルダーがつけられていた。
本当にうさぎが好きなのね…ってちょっとまって、ここは貴女の書斎なの?
「リティシア…私には分かるわよ。なんで私が鍵を持っているのか疑問に思ってるみたいね。」
何故か得意気に胸を張るアルターニャに私は呆れた視線を送る。
「はい…ここはアルターニャ王女様の書斎なんですか?」
「えぇそうよ。使ったことないけど」
いや使えよ。
思わず心の中でツッコむだけでなく言葉にしそうになり、慌てて口を噤む。
全く…典型的な宝の持ち腐れじゃないの…。鍵だけ可愛くして部屋自体は使わないってどういうことなのよ…。
「王女様はご自分の書斎をお持ちなんですね」
「えぇ、そうなんですよ!でも他国のお客様どころか私も一回しか入ったことがなくて中にどんな本があるかすらあんまり把握できていないんです。どれも使わない本ばかりなのでいくらでもお持ちして構いませんわ。」
いくつあるか把握できていないのに使うか使わないか分かるってどういうことなの…?
要するに本を読むのが嫌いってことね。
それとほぼ同じ事を言ったのに私とアレクシスでここまで反応があからさまに変わるのはどうなのよ…。
別に良いけどさ。アルターニャに目を輝かされても普通に困るんだけどさぁ…。
まるで少女漫画のヒロインかのように瞳をキラキラと輝かせる彼女に私とアーグレンはただただ呆れるしかない。
アレクシスはというとその視線の示す意味に全く気づいておらず、なんでほぼ同じ事を言ったのにリティシアと違う反応をするんだろう…という疑問を顔に浮かべていた。
その疑問、私にも分かるわよ。でもその理由はどう見ても明白なのよアレク…。
貴方は誰かに好意を与えるのは上手なのに誰かの好意には鈍感なのよね、ホント。主人公から向けられる好意にもなかなか気づかなかったし。
まぁそこが可愛いところでもあるんだけど…。
折角小説の世界に入ったからには早めに主人公の好意に気づかせてくっつけてあげようと思ったけど…気づかないできょとんとしてるのを見て楽しむのもアリよね…。
はっ、ダメダメ、ここは私が楽しむための世界じゃないんだから。それに、そんなことしてたらいつまでたってもアレクが幸せになれないもんね。
「殿下は何冊でも構いませんわ。殿下にはいつもお世話になっておりますので私からのお礼です。好きな本をいくつでもお持ち下さい」
「殿下は」ってところを凄く強調したわね…私には一冊しかやらないぞってことよね。でも一冊で十分よ。今後に役立ちそうな…でなければ面白そうな本を貰っていきましょう。
アルターニャはアレクシスの返事を待たずに強引に扉の前へと立たせると中に入るように急かし始める。
「さぁ殿下、お入り下さい。私は邪魔にならないように外でお待ちしていますね」
「大変有難いですが…本当に宜しいのですか?私ではなく彼らにお詫びをして下されば私は満足なのですが…」
「構いませんわ。殿下だけでなく彼らにもお詫びをしますのでご安心を」
最終的に私とアーグレンの視線に押し切られアレクシスは中へと入っていく。
アルターニャは私に早く入れと目で合図してきたので彼に続いて扉の向こうへ足を踏み入れる。
そして最後に入ろうとしたアーグレンだけアルターニャの反応が大幅に違った。
「あら、平民に渡す本はないわよ。」
その言葉にアーグレンは足を止め振り返る。あくまでも平静を装っているが、アルターニャの発言に多少苛立っているようだ。
…初めからアーグレンに渡す気なんてなかったのね。さっきアレクシスに「彼ら」にあげると言っていたけどそれはただの流れるようについた嘘…ホントとんでもないわこの王女。
「…分かっております。ですが二人の護衛につきたいのですが」
「それも結構。ここは王族の書斎なのよ?何か起こる方が珍しいわ」
アーグレンの意見をいとも簡単に却下したが、確かにアルターニャの言い分はよく分かる。
この世に城の中ほど安全な場所はない。
だが(アルターニャのいる)城の中ほど危険な場所もないだろうとも同時に思う。
「アルターニャ王女様、私は結構ですので彼に…」
「いや私はいい。確かにアルターニャ王女様の言う通りですね。私はここでお待ちしています」
言いかけたアレクシスを制し、アーグレンは素直に引き下がった。
アーグレンが我慢する必要なんてどこにもないのに…。
だが所有者であるアルターニャが言い切ってしまった以上彼に本が与えられることはないだろう。
こうなれば私とアレクシスで彼が好きそうな本を見つけてあげるしかない。騎士の心得とかそういう本があったら貰ってあげよう。
…そんな本読む必要すらない気がするけどね。
「聞き分けがいいじゃない。初めからそうしていればいいのよ」
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こいつ…もしかして悪役令嬢リティシアに次ぐ悪女なんじゃないの?
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