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令嬢
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「私が使用人に直接リティシア様がお変わりになられたとお伝えしてもよろしいのですが…何故だかリティシア様はそれを望んでいないように思えましたので、それは遠慮しておきますね」
執事が何気なく呟いた一言に私は言葉を失う。
この人を敵にしたらアーグレンとは別の意味で終わるわ。私の望んでいないことが分かるということは…私の望んでいないことを進んでやる可能性もあるということ。
敵にしたら私の嫌がることばかりされるということね…それだけは避けなきゃ。
…アーグレンや執事のような…能力の高い人に嫌われたら私は文字通り一瞬で終わるわね。
私の悪役令嬢人生、本当に生きるか死ぬかの二択なのね…。例え好かれていても好意的な噂を広められたら困るだなんて…本当に大変だわ。
私は適当に誤魔化した後に執事と別れると、深くため息をつく。自分の部屋に辿り着くと内心ホッとしている自分に気がついた。
結局ここが一番落ち着くのよね。
この扉を見るのが悪役令嬢人生で一番安心できる瞬間だわ。
そして扉を開けたその瞬間、今正に掃除をしていたルナと目が合う。彼女は私を見るや否や表情を明るくさせる。
「お嬢様、お帰りなさいませ!またお嬢様にお手紙が届いていますよ」
その言葉に私は嬉しそうなルナとは対象的に顔を引きつらせて嫌悪感を顕にする。
「アルターニャからならもういいわ…もうこりごり…」
「違いますよ、王女様からではありません。シーランテ伯爵家からのお手紙です」
その口から飛び出した意外な言葉に、私は何度も瞬きをする。
「シーランテ?聞いたことないわね」
まぁ小説の主要人物以外はその存在すら覚えてないんだけどね。
それにしてもこの私にわざわざ手紙を出すなんて…宣戦布告か殺害予告のどちらかね。
よし、覚悟して見るわよ。
「リティシア様!私です、あのパーティの時に助けて頂いたデイジー=シーランテと申します。」
…あのパーティの時?
名前に聞き覚えは全くなかったが、私はその一言でこの令嬢の正体に気がついた。
「あの時は気が動転していて名を名乗ることもできず、大変無礼なことを致しました。申し訳ございません。リティシア様がワインをかけた男…えっと私につきまとっていた方ですが、あれからつきまとうのをやめるだけでなく猛反省して私に毎日ドレスを送ってくるんです。もういらないと言っても何度も送ってくるのでいつかワインをかけてお返ししてやろうかと思ってます。でもそれじゃ折角のドレスが勿体ないですよね。やめておきます。服にワインをかけても許されるのはリティシア様だけですからね。あの時のリティシア様のかっこよさはもう…あぁ、この手紙だけでは語りきれませんのでなくなく割愛させてもらいますね。」
さも当然といった様子で綴られたその一文を思わず読み飛ばしかけたが私はなんとか違和感に気づいた。
いや私でも許されないと思うけど…?それにワインを人にかけただけの私のかっこよさとは…?
それにしても可愛らしい文字で随分と長文を書くのね。…それ程嬉しかったということかしら。
敵ばかりの社交界でこんなに分かりやすく好意を伝えられると嬉しいものね。
私は別に社交界で生きていくつもりなんてないけど…アレクと婚約するしないに関係なく令嬢でいる限りは関わらなきゃいけない世界だからね。
一人心強い味方が出来たと考えれば喜び以外の何者でもないわ。
ただ一つ問題があるとすれば私と仲良くすることでこの…デイジーさん…がいじめられないといいんだけど…。なんかこの文を見る限りそんなの全然気にしてなさそうなのよね。
「あぁ、すみません。一番お伝えしたいことを書き忘れていました。私、リティシア様がどれだけ素晴らしいかを伝えるためのティーパーティを開こうと思っているんです。リティシア様には最高のおもてなしを致しますので、どうか参加を考えては頂けないでしょうか?年の近い令嬢だけに招待状を送るつもりなのでリティシア様も話しやすいかと思われます。あとこれは私の我儘なのですが…もう一度、もう一度だけリティシア様のお姿を拝見したいんです!あの美しいお姿を…!」
え、どうしよう。読んでるだけで恥ずかしいんだけど。
「公女様はこの令嬢にとても好かれているみたいですね」
「そうみたいね…。アーグレンどこまで読んだ?」
「あの美しいお姿…」
「あぁ、私と同じところね。読み上げないでくれる?」
「すみません…」
今の理不尽極まりなかったな…ごめんねアーグレン。でも読み上げられたくはないのよ。恥ずかしいから。
「手紙をお送りするのが遅くなり申し訳ありません。これまで100通は書き直しました。101通目にしてようやくちゃんと書けたのでこれをお送りさせて頂きます。」
書き直しすぎよ…。
「勿論、今すぐお返事が欲しいなどとは言いません。招待状ができ次第お送り致しますので、その時にでもお返事を下さい。」
まだできてもいないのに送ってきたのね…。
この書き方にこの長文…さっきアーグレンに言われた通り私は相当好かれているみたいね。
それはとても嬉しいんだけど…ティーパーティなんて令嬢の戦場みたいなところに行く気はないのよね…。特に私が行ったら空気が悪くなること間違いなしだし。
かといって断ったらどういう反応をされるかは目に見えてるわ。さてどうしましょうか…。
執事が何気なく呟いた一言に私は言葉を失う。
この人を敵にしたらアーグレンとは別の意味で終わるわ。私の望んでいないことが分かるということは…私の望んでいないことを進んでやる可能性もあるということ。
敵にしたら私の嫌がることばかりされるということね…それだけは避けなきゃ。
…アーグレンや執事のような…能力の高い人に嫌われたら私は文字通り一瞬で終わるわね。
私の悪役令嬢人生、本当に生きるか死ぬかの二択なのね…。例え好かれていても好意的な噂を広められたら困るだなんて…本当に大変だわ。
私は適当に誤魔化した後に執事と別れると、深くため息をつく。自分の部屋に辿り着くと内心ホッとしている自分に気がついた。
結局ここが一番落ち着くのよね。
この扉を見るのが悪役令嬢人生で一番安心できる瞬間だわ。
そして扉を開けたその瞬間、今正に掃除をしていたルナと目が合う。彼女は私を見るや否や表情を明るくさせる。
「お嬢様、お帰りなさいませ!またお嬢様にお手紙が届いていますよ」
その言葉に私は嬉しそうなルナとは対象的に顔を引きつらせて嫌悪感を顕にする。
「アルターニャからならもういいわ…もうこりごり…」
「違いますよ、王女様からではありません。シーランテ伯爵家からのお手紙です」
その口から飛び出した意外な言葉に、私は何度も瞬きをする。
「シーランテ?聞いたことないわね」
まぁ小説の主要人物以外はその存在すら覚えてないんだけどね。
それにしてもこの私にわざわざ手紙を出すなんて…宣戦布告か殺害予告のどちらかね。
よし、覚悟して見るわよ。
「リティシア様!私です、あのパーティの時に助けて頂いたデイジー=シーランテと申します。」
…あのパーティの時?
名前に聞き覚えは全くなかったが、私はその一言でこの令嬢の正体に気がついた。
「あの時は気が動転していて名を名乗ることもできず、大変無礼なことを致しました。申し訳ございません。リティシア様がワインをかけた男…えっと私につきまとっていた方ですが、あれからつきまとうのをやめるだけでなく猛反省して私に毎日ドレスを送ってくるんです。もういらないと言っても何度も送ってくるのでいつかワインをかけてお返ししてやろうかと思ってます。でもそれじゃ折角のドレスが勿体ないですよね。やめておきます。服にワインをかけても許されるのはリティシア様だけですからね。あの時のリティシア様のかっこよさはもう…あぁ、この手紙だけでは語りきれませんのでなくなく割愛させてもらいますね。」
さも当然といった様子で綴られたその一文を思わず読み飛ばしかけたが私はなんとか違和感に気づいた。
いや私でも許されないと思うけど…?それにワインを人にかけただけの私のかっこよさとは…?
それにしても可愛らしい文字で随分と長文を書くのね。…それ程嬉しかったということかしら。
敵ばかりの社交界でこんなに分かりやすく好意を伝えられると嬉しいものね。
私は別に社交界で生きていくつもりなんてないけど…アレクと婚約するしないに関係なく令嬢でいる限りは関わらなきゃいけない世界だからね。
一人心強い味方が出来たと考えれば喜び以外の何者でもないわ。
ただ一つ問題があるとすれば私と仲良くすることでこの…デイジーさん…がいじめられないといいんだけど…。なんかこの文を見る限りそんなの全然気にしてなさそうなのよね。
「あぁ、すみません。一番お伝えしたいことを書き忘れていました。私、リティシア様がどれだけ素晴らしいかを伝えるためのティーパーティを開こうと思っているんです。リティシア様には最高のおもてなしを致しますので、どうか参加を考えては頂けないでしょうか?年の近い令嬢だけに招待状を送るつもりなのでリティシア様も話しやすいかと思われます。あとこれは私の我儘なのですが…もう一度、もう一度だけリティシア様のお姿を拝見したいんです!あの美しいお姿を…!」
え、どうしよう。読んでるだけで恥ずかしいんだけど。
「公女様はこの令嬢にとても好かれているみたいですね」
「そうみたいね…。アーグレンどこまで読んだ?」
「あの美しいお姿…」
「あぁ、私と同じところね。読み上げないでくれる?」
「すみません…」
今の理不尽極まりなかったな…ごめんねアーグレン。でも読み上げられたくはないのよ。恥ずかしいから。
「手紙をお送りするのが遅くなり申し訳ありません。これまで100通は書き直しました。101通目にしてようやくちゃんと書けたのでこれをお送りさせて頂きます。」
書き直しすぎよ…。
「勿論、今すぐお返事が欲しいなどとは言いません。招待状ができ次第お送り致しますので、その時にでもお返事を下さい。」
まだできてもいないのに送ってきたのね…。
この書き方にこの長文…さっきアーグレンに言われた通り私は相当好かれているみたいね。
それはとても嬉しいんだけど…ティーパーティなんて令嬢の戦場みたいなところに行く気はないのよね…。特に私が行ったら空気が悪くなること間違いなしだし。
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