105 / 209
騎士の魔法
しおりを挟む
「…分かりました。公女様の言葉を信じます。…出過ぎた真似を致しまして申し訳ございませんでした」
「…私も、悪かったわ」
いや本当は全部私が悪いんだけどね…アーグレンはただ純粋に気になって聞いただけなんだろうから。なんで逆ギレしてるのって話よね、ホント…。
恐らくだけど…私はリティシアとしての生活に慣れすぎてそれ以上の待遇を求めてしまっているんでしょうね。
人間というのは一つ手に入れるとまたその上を手に入れたくなるものだから。私みたいな悪役令嬢は望んじゃいけないって初めから分かっていたはずなのに。
アーグレンやアレクと関わっているとどうしても別の未来があるんじゃないかって…そう思えてきてしまう。
ないのよ。ここは小説なんだから。変な期待なんかしちゃダメ。アレクが不幸になって私だけが幸せになる未来なら絶対にいらない。
周りの人全員を不幸にして私一人が幸せになる未来もいらない。
だったら私一人が喜んで悪役を演じて不幸になってやるわよ。
悪役を倒せば主人公は幸せになれる。それが…物語というものなんだから。
「公女様…」
「気にしないで。さっき本当はこんなことを聞くつもりじゃなかったって言ってたけど…何か他に用があったの?」
「はい。公女様がご招待されたティーパーティが近日中に開かれるのであれば、ご一緒することができなくなりそうです。陛下からの呼び出しがありまして…騎士団の様子と溜まった業務をこなしてきますので数週間は確実に帰れなくなりそうだと…そうお伝えしに来たんです。」
なるほどね…アーグレンはそれを伝えに来たのね。
王様がわざわざ呼び出すなんて一体どんな用事なのかしら?まぁ彼は騎士団長だし直接呼び出しがあってもおかしくはないか。
「では失礼します。公女様、改めて…申し訳ございませんでした。」
言うや否やさっさと部屋を去ろうとするアーグレンを引き留める為に私は必死に頭を回転させる。
このまま帰したら一人反省会とかしていつまでも引きずりそうだからね。何か違う話題を振らなきゃ。
「待って。私からも一つ聞かせてよ」
「…はい」
彼は足を止め、振り返ると私の言葉を待っている。
よし、とりあえず引き留めるのには成功したわ。でも質問なんて考えてなかったわ…。私がアーグレンに聞きたいことねぇ…うーん…あぁ、これ、聞いてみようかな。
「アーグレン、貴方…貴方の属性は何?よく考えたら貴方が魔法を使うところなんて一度も見たことがないわ」
その言葉に彼は驚くと少し悩んだ様子を見せる。そして彼は衝撃の事実を口にする。
「…私の属性は炎ですが…生まれてから一度も魔法を使ったことがありません」
「へぇ使ったことがな…」
私は彼の言葉を繰り返しかけたが、驚いて目を見開く。
「えっ!?」
驚く私とはよそに彼はあくまでも平然としてその事実を語っていた。彼にとってはそれが当たり前で、別に驚くべきことではないのだろう。
だがこの世界では魔力の高さが重視されるはず…そんな世界で魔法が使えないと色々大変なのでは…?
「公女様は知らないのが当然だと思うのですが、実は平民は魔力の高い人の方が少ないんですよ。運良く魔力が高く生まれていればもうとっくに魔術師か何かになっているでしょう。なので魔力が極端に高くない限りは魔力が話題に登ることはありません。皆魔力が低いことを隠そうとしますからね。」
なるほどね…貴族や王族基準だと魔力が高い人が多いから余計に魔力が重視されているってことね。
「そうだったのね。でも…魔法を使ったことがないのに自分の属性が何か分かってるなんておかしいじゃない?」
そうよ。それに私と同じ炎属性なんて初めて聞いたわよ。
別に公爵家のみに与えられた属性ではないから同じ属性の人間がいてもおかしくはないけどまさかこんなに身近にいるとはね。
「私の両親もその先祖も皆炎属性でしたから…恐らく私も炎属性かと…」
アーグレンは自信がなさそうに言葉を紡いでいき、私から視線を逸らす。
…確信がないのね。まぁそりゃそうか。使ったことないんだから。
なんか…ついこの前まで魔法が使えなかった私と同じね。これは…ほっとけないわ。
「アーグレン。貴方の魔力、私が見てあげるわ」
「それは…魔道具ですか?」
私は部屋に置かれていた眼鏡を手に取るとアーグレンが興味深そうにそれを眺めてくる。
ひょっとしたら平民出身の彼は見たことすらないのかもしれない。魔道具というのは普通の道具よりもずっと価値のあるものだから。
「えぇ。アレクに貰ったの。これでその人の属性だけじゃなく魔力の強さも分かるのよ」
騎士団長と魔道具ってあんまり関係なさそうだしその立場になってからもなかなか目にしないものなのかしらね。
そこで私は素朴な疑問が浮かんだので彼に一つ問いかけてみる。
「…というかアレクが持ってるんだから聞けばすぐに分かったことじゃない。魔法だって教えてもらえたはずなのに…どうして聞かなかったの?」
「…私も、悪かったわ」
いや本当は全部私が悪いんだけどね…アーグレンはただ純粋に気になって聞いただけなんだろうから。なんで逆ギレしてるのって話よね、ホント…。
恐らくだけど…私はリティシアとしての生活に慣れすぎてそれ以上の待遇を求めてしまっているんでしょうね。
人間というのは一つ手に入れるとまたその上を手に入れたくなるものだから。私みたいな悪役令嬢は望んじゃいけないって初めから分かっていたはずなのに。
アーグレンやアレクと関わっているとどうしても別の未来があるんじゃないかって…そう思えてきてしまう。
ないのよ。ここは小説なんだから。変な期待なんかしちゃダメ。アレクが不幸になって私だけが幸せになる未来なら絶対にいらない。
周りの人全員を不幸にして私一人が幸せになる未来もいらない。
だったら私一人が喜んで悪役を演じて不幸になってやるわよ。
悪役を倒せば主人公は幸せになれる。それが…物語というものなんだから。
「公女様…」
「気にしないで。さっき本当はこんなことを聞くつもりじゃなかったって言ってたけど…何か他に用があったの?」
「はい。公女様がご招待されたティーパーティが近日中に開かれるのであれば、ご一緒することができなくなりそうです。陛下からの呼び出しがありまして…騎士団の様子と溜まった業務をこなしてきますので数週間は確実に帰れなくなりそうだと…そうお伝えしに来たんです。」
なるほどね…アーグレンはそれを伝えに来たのね。
王様がわざわざ呼び出すなんて一体どんな用事なのかしら?まぁ彼は騎士団長だし直接呼び出しがあってもおかしくはないか。
「では失礼します。公女様、改めて…申し訳ございませんでした。」
言うや否やさっさと部屋を去ろうとするアーグレンを引き留める為に私は必死に頭を回転させる。
このまま帰したら一人反省会とかしていつまでも引きずりそうだからね。何か違う話題を振らなきゃ。
「待って。私からも一つ聞かせてよ」
「…はい」
彼は足を止め、振り返ると私の言葉を待っている。
よし、とりあえず引き留めるのには成功したわ。でも質問なんて考えてなかったわ…。私がアーグレンに聞きたいことねぇ…うーん…あぁ、これ、聞いてみようかな。
「アーグレン、貴方…貴方の属性は何?よく考えたら貴方が魔法を使うところなんて一度も見たことがないわ」
その言葉に彼は驚くと少し悩んだ様子を見せる。そして彼は衝撃の事実を口にする。
「…私の属性は炎ですが…生まれてから一度も魔法を使ったことがありません」
「へぇ使ったことがな…」
私は彼の言葉を繰り返しかけたが、驚いて目を見開く。
「えっ!?」
驚く私とはよそに彼はあくまでも平然としてその事実を語っていた。彼にとってはそれが当たり前で、別に驚くべきことではないのだろう。
だがこの世界では魔力の高さが重視されるはず…そんな世界で魔法が使えないと色々大変なのでは…?
「公女様は知らないのが当然だと思うのですが、実は平民は魔力の高い人の方が少ないんですよ。運良く魔力が高く生まれていればもうとっくに魔術師か何かになっているでしょう。なので魔力が極端に高くない限りは魔力が話題に登ることはありません。皆魔力が低いことを隠そうとしますからね。」
なるほどね…貴族や王族基準だと魔力が高い人が多いから余計に魔力が重視されているってことね。
「そうだったのね。でも…魔法を使ったことがないのに自分の属性が何か分かってるなんておかしいじゃない?」
そうよ。それに私と同じ炎属性なんて初めて聞いたわよ。
別に公爵家のみに与えられた属性ではないから同じ属性の人間がいてもおかしくはないけどまさかこんなに身近にいるとはね。
「私の両親もその先祖も皆炎属性でしたから…恐らく私も炎属性かと…」
アーグレンは自信がなさそうに言葉を紡いでいき、私から視線を逸らす。
…確信がないのね。まぁそりゃそうか。使ったことないんだから。
なんか…ついこの前まで魔法が使えなかった私と同じね。これは…ほっとけないわ。
「アーグレン。貴方の魔力、私が見てあげるわ」
「それは…魔道具ですか?」
私は部屋に置かれていた眼鏡を手に取るとアーグレンが興味深そうにそれを眺めてくる。
ひょっとしたら平民出身の彼は見たことすらないのかもしれない。魔道具というのは普通の道具よりもずっと価値のあるものだから。
「えぇ。アレクに貰ったの。これでその人の属性だけじゃなく魔力の強さも分かるのよ」
騎士団長と魔道具ってあんまり関係なさそうだしその立場になってからもなかなか目にしないものなのかしらね。
そこで私は素朴な疑問が浮かんだので彼に一つ問いかけてみる。
「…というかアレクが持ってるんだから聞けばすぐに分かったことじゃない。魔法だって教えてもらえたはずなのに…どうして聞かなかったの?」
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる