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ティーパーティ編 終
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「殿下に…殿下に何か言われたんですか…?」
「いや、違うわ…」
わけも分からず流れ落ちる涙を必死にデイジー嬢が拭ってくれるが、なかなか止まってくれない。
悲しそうに表情を歪め、こちらを覗き込む彼女の姿すら涙でよく見ることができなかった。
「リティシア様、どうしよう、涙が止まりません…どうか泣かないで…」
「デイジー嬢…」
私は衝動的にデイジー嬢を強く抱きしめると彼女は驚いて両手を激しく動かす。
彼女は私よりも少し小さくて抱き心地がよく、何より安心できた。
「へっ!?あぁあの、リティシア様…」
焦ったような声が可愛くて思わず少し笑ってしまう。彼女は驚きながらも反射的に私のことを抱きしめ返していた。
「私…間違ってたのかな…」
「…リティシア様が間違えることなんて絶対ない!と言いたいところですけど…」
そこでデイジー嬢の言葉が一旦止まる。
そして彼女は私の頭を優しく撫でながらゆっくりと言葉を紡いでいく。
私はただその言葉をじっと待った。
「リティシア様のそのお顔が答えなんじゃないでしょうかね…」
私は彼女の言葉に驚き、目を見開く。
否定ができなかった。
そうか、私は間違えたのか。間違えたと思ってるから泣いているのね。
私の頭ではまだちゃんと理解していないけど身体が勝手に反応して泣いているんだわ。
「私、あんなことが言いたかったわけじゃないのに…」
「…そうですね。そんなこともありますよ。言いたくなかったことを言っちゃう時だってあります」
デイジー嬢の一つ一つの言葉が優しく、同い年の友達がいたらこんな感じだったのかなと思わされる。
前世の私には友達がいなかったから、私を尊敬し慕ってくれる彼女の存在は今でも不思議に思ってしまう。
「リティシア様は本当に殿下の事が大好きなんですね」
「いや…私は…」
「もうこれは誤魔化せませんよ。要は殿下に酷い事を言っちゃって泣いてるって事ですよね。ではどうして泣いているのか?理由は一つしかありません。リティシア様が殿下を愛しているからですよ」
違うのよデイジー嬢…。
私は確かにアレクが好きだけどそれは関係ないの…正直この気持ちは邪魔なのよ。
こんな気持ちさえなければ何の未練もなく主人公に引き渡せるのに。
いつもいつも私の感情が邪魔をする。彼を幸せにできるのは主人公…ヒロインただ一人だと誰よりも理解しているはずなのに。
私は返事をすることなく無言を貫いたが、彼女は気にせず言葉を続ける。
「ちゃんと謝れば殿下も許してくれますよ。殿下だってリティシア様を大切に想っているはずですから」
「…別に許してもらわなくても…」
「ダメですよちゃんと許してもらわなきゃ!今度お会いした時に謝って下さいね。私との約束ですよ」
許してもらわなくてもいいというのはその方が彼と別れやすいのではと考えたからだったのだが、彼女のあまりにも凄い剣幕に思わず吹き出してしまう。
「…ふふ、そうね。分かったわ。悪い事をしたら謝らないとね」
「それでこそリティシア様ですよ。リティシア様は…これからもずっと笑顔でいて下さい。殿下の隣でですよ?これも約束ですからね」
「…分かったわ」
ごめんなさいね、その約束はきっと近い内に破る事になるわ。
リティシアに転生したと気づいた時から環境は明らかに変わり始めている。
私とアレクの関係をよく思っていなかった者が、逆に祝福しようとしてくれたり、変わらず私を敵対視してくる者もいる。
だがいくら環境が変われど、変わらないものがただ一つある。
この世界が小説の世界であり、決められた幸せな結末があるということ。
私は彼を導かなければならない。
何があっても。私の感情など…いちいち気にしていられない。
この涙は墓場まで持っていこう。
きっと…アレクに知られたら心配されてしまうから。
なんなら謝るかもしれないわね。私が勝手に言って勝手に泣いてるだけなのに。
彼は…本当にどうしようもなく優しい人だから。
そしてデイジー嬢は少し違う話題を口にする。
「リティシア様、話は変わりますが…ヴィオラ嬢の事は今はマリーアイ嬢が説得してくれています。リティシア様や殿下に無礼な態度を取ったことは許されませんので私からも注意しておきましたからね」
「私の事はいいからアレクシスの事だけ謝らせて…」
「ダメです。どうしてリティシア様は自分はいいやって考えちゃうんですか。リティシア様を護りたい人は沢山いるんですよ?そんな人達の好意を踏みにじらないで下さい!」
踏みにじる、ねぇ…私みたいな悪役令嬢が誰かに愛される方が今までいじめられてきた人の思いを踏みにじる事になる気がするのよね。
「…私はいいわよ。だってそれだけのことをしてきたんだから」
「過去は関係ありません!私も皆も、今のリティシア様が大好きなんですから。今度ティーパーティを開き直したら真っ先に呼びますからね。いいですか?」
「丁重にお断りするわね」
「そんな、リティシア様がいないティーパーティなんてパーティじゃありません!」
「いや私がいなくてもパーティにはなるわよ…」
いつの間にか涙は止まっていた。
デイジー嬢が私の取れかけていた髪飾りをもう一度つけ直してくれる。
あまり乗り気ではなかったティーパーティであったが、結果として令嬢との仲が深まったように思う。
あの時助けた令嬢がデイジー嬢で良かったと私は心から感じたのであった。
…まぁ、デイジー嬢との仲が良くなった反面、アレクとの関係は悪化した気がするけどね…。
「いや、違うわ…」
わけも分からず流れ落ちる涙を必死にデイジー嬢が拭ってくれるが、なかなか止まってくれない。
悲しそうに表情を歪め、こちらを覗き込む彼女の姿すら涙でよく見ることができなかった。
「リティシア様、どうしよう、涙が止まりません…どうか泣かないで…」
「デイジー嬢…」
私は衝動的にデイジー嬢を強く抱きしめると彼女は驚いて両手を激しく動かす。
彼女は私よりも少し小さくて抱き心地がよく、何より安心できた。
「へっ!?あぁあの、リティシア様…」
焦ったような声が可愛くて思わず少し笑ってしまう。彼女は驚きながらも反射的に私のことを抱きしめ返していた。
「私…間違ってたのかな…」
「…リティシア様が間違えることなんて絶対ない!と言いたいところですけど…」
そこでデイジー嬢の言葉が一旦止まる。
そして彼女は私の頭を優しく撫でながらゆっくりと言葉を紡いでいく。
私はただその言葉をじっと待った。
「リティシア様のそのお顔が答えなんじゃないでしょうかね…」
私は彼女の言葉に驚き、目を見開く。
否定ができなかった。
そうか、私は間違えたのか。間違えたと思ってるから泣いているのね。
私の頭ではまだちゃんと理解していないけど身体が勝手に反応して泣いているんだわ。
「私、あんなことが言いたかったわけじゃないのに…」
「…そうですね。そんなこともありますよ。言いたくなかったことを言っちゃう時だってあります」
デイジー嬢の一つ一つの言葉が優しく、同い年の友達がいたらこんな感じだったのかなと思わされる。
前世の私には友達がいなかったから、私を尊敬し慕ってくれる彼女の存在は今でも不思議に思ってしまう。
「リティシア様は本当に殿下の事が大好きなんですね」
「いや…私は…」
「もうこれは誤魔化せませんよ。要は殿下に酷い事を言っちゃって泣いてるって事ですよね。ではどうして泣いているのか?理由は一つしかありません。リティシア様が殿下を愛しているからですよ」
違うのよデイジー嬢…。
私は確かにアレクが好きだけどそれは関係ないの…正直この気持ちは邪魔なのよ。
こんな気持ちさえなければ何の未練もなく主人公に引き渡せるのに。
いつもいつも私の感情が邪魔をする。彼を幸せにできるのは主人公…ヒロインただ一人だと誰よりも理解しているはずなのに。
私は返事をすることなく無言を貫いたが、彼女は気にせず言葉を続ける。
「ちゃんと謝れば殿下も許してくれますよ。殿下だってリティシア様を大切に想っているはずですから」
「…別に許してもらわなくても…」
「ダメですよちゃんと許してもらわなきゃ!今度お会いした時に謝って下さいね。私との約束ですよ」
許してもらわなくてもいいというのはその方が彼と別れやすいのではと考えたからだったのだが、彼女のあまりにも凄い剣幕に思わず吹き出してしまう。
「…ふふ、そうね。分かったわ。悪い事をしたら謝らないとね」
「それでこそリティシア様ですよ。リティシア様は…これからもずっと笑顔でいて下さい。殿下の隣でですよ?これも約束ですからね」
「…分かったわ」
ごめんなさいね、その約束はきっと近い内に破る事になるわ。
リティシアに転生したと気づいた時から環境は明らかに変わり始めている。
私とアレクの関係をよく思っていなかった者が、逆に祝福しようとしてくれたり、変わらず私を敵対視してくる者もいる。
だがいくら環境が変われど、変わらないものがただ一つある。
この世界が小説の世界であり、決められた幸せな結末があるということ。
私は彼を導かなければならない。
何があっても。私の感情など…いちいち気にしていられない。
この涙は墓場まで持っていこう。
きっと…アレクに知られたら心配されてしまうから。
なんなら謝るかもしれないわね。私が勝手に言って勝手に泣いてるだけなのに。
彼は…本当にどうしようもなく優しい人だから。
そしてデイジー嬢は少し違う話題を口にする。
「リティシア様、話は変わりますが…ヴィオラ嬢の事は今はマリーアイ嬢が説得してくれています。リティシア様や殿下に無礼な態度を取ったことは許されませんので私からも注意しておきましたからね」
「私の事はいいからアレクシスの事だけ謝らせて…」
「ダメです。どうしてリティシア様は自分はいいやって考えちゃうんですか。リティシア様を護りたい人は沢山いるんですよ?そんな人達の好意を踏みにじらないで下さい!」
踏みにじる、ねぇ…私みたいな悪役令嬢が誰かに愛される方が今までいじめられてきた人の思いを踏みにじる事になる気がするのよね。
「…私はいいわよ。だってそれだけのことをしてきたんだから」
「過去は関係ありません!私も皆も、今のリティシア様が大好きなんですから。今度ティーパーティを開き直したら真っ先に呼びますからね。いいですか?」
「丁重にお断りするわね」
「そんな、リティシア様がいないティーパーティなんてパーティじゃありません!」
「いや私がいなくてもパーティにはなるわよ…」
いつの間にか涙は止まっていた。
デイジー嬢が私の取れかけていた髪飾りをもう一度つけ直してくれる。
あまり乗り気ではなかったティーパーティであったが、結果として令嬢との仲が深まったように思う。
あの時助けた令嬢がデイジー嬢で良かったと私は心から感じたのであった。
…まぁ、デイジー嬢との仲が良くなった反面、アレクとの関係は悪化した気がするけどね…。
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