悪役令嬢リティシア

如月フウカ

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了承

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「今までなかなか買えなくてごめんなさい。これからはちゃんと買ってきますね」


「聞いたか、リリー、今の言葉…!なんていい子なんだこの子は…」


「あら、この子がいい子なのは随分前から分かってたことよ?今更ね、アーゼル」


 今はもう私が何言っても感動しそうだな。下手なことは言わないでおこう。あんまり両親を大切にしてる素振りを見せちゃうとリティシアらしくなくなっちゃうからね。


「本当はね、リティが出掛ける度に扉に張り付いて待ってようかと思うんだけど…それは流石にダメよねーと思って我慢してるのよ」


「それは流石にダメです。」


「そうよね~私もそう思う。だから基本は侍女か執事に任せてるのよね」


「基本というか全て使用人に任せて下さい。お母様とお父様にはやらなければいけない仕事があるでしょう」


「あらリティ何言ってるの?親が子供に会う以上に大事な仕事なんてないわ」


 それがさも当然であるかのように告げると、お母様はにこにこと微笑む。そして「まぁ、正確に言えば仕事じゃなくて義務だけどね」と笑った。


 私の前世の親だったら…こんなこと言ってくれたかな?もう全然思い出せないけど…でも少なくともリリーさんやアーゼルさんみたいな両親ではなかった気がする…。


 ホントにリティシアが羨ましいわ、ただの悪役令嬢のくせに…。


 って、そうだ、話さなきゃいけないことがあったんだわ。


「あの、お母様とお父様にご報告したいことがございまして…」


「なに?殿下と結婚するの?」


「それは気が早…じゃなくて、ちゃんと話を聞いてください!まだそれも分かりませんし!」


「ごめんごめん。で、何のお話?」


「勝手なことをしてしまったたことは分かっているんですけど…あの、新しく侍女を雇ってもいいですか?」


「それは構わないけど…突然どうして?今の侍女じゃ物足りなかった?」


 お母様は不思議そうに首を傾げる。


「あの時急に侍女の給料を一定期間だけ半額にしてくれって頼んできたし…本当にそれだけでよかったのかい?君に無礼な発言をしたのなら、首をはねることだってできるんだぞ?」


「ち、違います、その件は関係ありません。今の侍女じゃ物足りないとかではなく…」


 それにしても貴族ってなんでそんなに簡単に首をはねようとするのかしら…。


 首は一回離れたら繋がらないのよ!そんな物騒なこと言わないでよ!


 そして私は少し考えながら説得するように言葉を発する。


「…今日、殿下と出掛けた時に誘拐犯に襲われそうになっていた女の子を見つけたんです。その子を助けてあげたのですが、生憎帰る家もないらしいそうなので…侍女として雇ってあげようと思ったんです。」


 実はあの子は主人公だから男主人公のアレクシスと結ばれなきゃいけないんです。


 なんて言っても伝わらないし…これで納得してくれればいいんだけど。


 私のそんな心配をよそに、お母様は私の頭を撫で、お父様は心底嬉しそうに笑った。


「見ず知らずの女の子を助けてあげるなんて…リティは優しいのね。流石私とアーゼルの娘だわ」


「少しばかりお転婆だった頃のリティが懐かしいな。今ではこんなに立派になって…。こうやって人は大人になっていくんだな。」


 お父様は一人でうんうんと何度も頷くと「よし!」と声をあげて私を見つめた。


「もちろん許可しよう。でもその前に本人…その女の子をここに連れてきてくれるかい?」


「分かりました、今すぐ連れてきます」


 私は部屋を飛び出し、ルナとイサベルが消えた方角へと走り出した。


 途中ですれ違った使用人にルナと一緒に歩いていった可愛い女の子の行方を尋ねると、突き当たりの部屋だと教えてくれた。


 私は突然現れた私に驚いているイサベルを連れ出すとお父様とお母様の部屋へ向かった。


 扉を開けると、待っていた見知らぬ二人にイサベルは更に驚いていたようであったので、私は軽く説明をする。


 さぁイサベル、二人の気が変わらない内に早く!


「イサベル、突然連れてきてごめんなさい。この二人は私のお母様とお父様よ。」


「いえ、大丈夫です。こちらの方がブロンド公爵様と公爵夫人様なんですね…!初めまして、イサベル=シャルレッタと申します。許可も得ずにお屋敷に足を踏み入れた無礼をどうかお許し下さい」


 イサベルがそう言って深く頭を下げた後に可愛らしく微笑む。その可愛さは天使としか形容の仕様がなかった。


 これは最早罪というしかないわね…。


 案の定イサベルのこの世のものとは思えない可愛さにお母様とお父様は驚き、呆気に取られていた。


「びっくりした…こんなに可愛いお嬢さんだったのね」


 何度も瞬きをするお母様を横に、お父様はイサベルに話しかける。


「イサベルさん、リティシアから話は聞いているけど、君も納得していると考えて大丈夫かい?」


「はい、納得しております。公爵様、どうか私がここで働くことをお許し頂けないでしょうか…?」


 イサベルは輝く金色の瞳をお父様へと向ける。どう、お父様、こんなに可愛い子がお願いしてるのよ?断れないでしょ。


 許可するって言ってくれたし、大丈夫…よね?
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