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働こう
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「勿論構わないよ。じゃぁ君はこれからブロンド家の侍女として、明日早速働いてもらおう」
「いえ、本日からで構いません。掃除や洗濯などは日常的に行っていたので、今日はそちらを担当させて頂いても宜しいですか?」
お父様はまさかの今すぐ働きます宣言に驚き、戸惑いを見せる。
「あ、あぁ。分かった。リティも、それで構わないね?」
「はい。イサベルの好きなようにさせてあげて下さい」
私の返答を受け、お父様は頷いた。
「では、正式に君を雇う書類は後で部屋に持っていくからその時に署名してくれ」
「はい!有難うございます、公爵様!精一杯働かせて頂きます!」
イサベルは自分の要求が通り満面の笑みを見せると私に向き直る。真っ直ぐ私を見つめるその視線には信頼と尊敬の念が宿っている。
私にはその眼差しを受ける権利はないのだけどね…。
「ではリティシア様、また後ほどお会いさせて下さい。本当に、本当に有難うございました」
イサベルは再び可愛らしい笑みを浮かべると、そのまま部屋を後にした。
イサベルのすぐに働く宣言は私も驚いたけど恐らく働いて恩を返そうとしているんでしょうね。
私は貴女が主人公だから助けただけでイサベル自身を助けようと思っていたわけじゃないのに…。
ここまで感謝されると後ろめたい気分なるわね。
私は暫くイサベルの去っていった扉を黙って見つめていたのだが、突然お父様が口を開いた。
「…リティ、シャルレッタという名字は聞いたことがないのだが…」
「あぁ…イサベルは平民ですので…」
「平民!?なるほど、だから雑用ができるのか…。平民の使用人を雇うなんて初めてだよ。でもリティが望むなら身分は関係ないね。彼女が早くこの屋敷に慣れるよう手伝ってあげなさい」
「…!はい!お母様も、宜しいですか?」
「もちろんよ。リティが望むならどんな人だって雇ってあげるわ」
そんなこと絶対悪女に言っちゃダメですよ、お母様。本物のリティシアならいつかホントに変な人を連れてきますからね…。
でも凄いわ、お母様とお父様だって平民に対する差別観を植えつけられているはずなのに…娘のためなら本当に気にしないのね。
両親の鏡だわ。かと言って娘が連れてきた人なら誰でも雇うというのはよくないけど…。
…うん、やっぱり、ほどほどが一番ね。
部屋を出ると、実は私を待っていてくれたらしいイサベルが嬉しそうに私に話しかけてくる。
「あら、待っててくれたのね」
「はい。少し…お話したかったんです。リティシア様…あっ、お嬢様と呼んだ方が宜しいですか!?」
「いやリティシアでお願い…」
主人公にお嬢様って呼ばれるのはなんか嫌だわ…。
「分かりました。リティシア様は、ご両親にとても愛されているのですね」
イサベルの純粋な発言に胸がチクリと傷んだ。彼女は私の過去を知らないのだから当然で、悪気は一切ないことも分かっている。
だがそう言われるとなんと返していいか分からなくなってしまう。だってあの二人が愛しているのは私じゃなくてリティシアだから…。
でも今の私はリティシアなんだもんね。今は受け入れないと。
「そうね。貴女のご両親もきっと貴女を大切にしていたんでしょうね」
「…リティシア様、私、両親が亡くなったことをお話ししましたっけ…?」
「えっ」
待って、私過去形で言っちゃった…?やばい、昔からイサベルのことを知ってたことがバレたら狙って助けたことに気づかれちゃう…そしたらこの子の忠誠心が揺らいで逃げられる可能性も…!
「ちょっと言い間違えただけよ。そう…ご両親、亡くなっていたのね。」
「はい…つい最近亡くなりました」
「でもきっと…貴女のことをずっと見守っていると思うわ。」
「…はい。そうだと嬉しいです」
イサベルはなんとも寂しそうに微笑んだ。
【イサベル】
今日だけで自分の人生が一転してしまった。
お目にかかることすら難しい王子様に出会い、更に公爵令嬢様、王室騎士団長様にも一度にお会いしてしまったのである。
こんなに沢山の出来事がいっぺんに起こるなんて変な話だ。もしかしたら両親が、私に不思議な縁を与えてくれたのかもしれない。
とにかく私は恩人であるリティシア様に侍女として尽くそう。同じく助けてくれた王子殿下と騎士団長様にもいつかお礼をしなければ。
私が今無事に生きているのも、全て彼らのおかげなのだから。
それにしても、何故私を助けてくれたのだろう?
危険を顧みず、見ず知らずの私を必死に助けてくれた。
貴族の方は気まぐれで気性が荒く、平民には見向きもしないと両親から教わっていたが…それはきっと一部の貴族だけなのだろう。
少なくともリティシア様達は違う。
許されるのであれば、私は一生お側でお仕えしよう。
公爵様方の承諾が得られたので、リティシア様と別れた後、早速掃除をしていた使用人らしき男性に話しかける。
男性は私の姿を認めると、驚いてぽかんと口を開けていた。
「初めまして、本日からここで働くことになりました、イサベル=シャルレッタです。突然で申し訳ございませんが、箒の場所を教えて頂けますか?」
「…」
「あの…?」
「あぁ、すみません。初めまして、イサベルさん。僕はブロンド公爵家で二年ほど働かせて頂いている者です。箒の場所でしたらこちらの部屋に沢山ありますよ。あぁそれから、箒以外を使用する場合もこの部屋を利用して下さい。掃除用具は全てこの部屋に揃っていますので」
使用人の男性は何故か顔を赤らめながら丁寧に説明してくれる。
あの部屋が掃除用具のお部屋なのね。
掃除用具専用のお部屋があるなんて流石は貴族ね…。
私は使用人の男性に微笑むと、更に彼の顔の赤みが増した気がした。
「ご丁寧にありがとうございます。これからどうぞ宜しくお願い致します」
「こちらこそ…宜しくお願いします。」
良かった、侍女長のルナさんは少し怖そうだったけど、こちらの男性はとても優しそうね。他の人とも上手くやっていけますように。
「いえ、本日からで構いません。掃除や洗濯などは日常的に行っていたので、今日はそちらを担当させて頂いても宜しいですか?」
お父様はまさかの今すぐ働きます宣言に驚き、戸惑いを見せる。
「あ、あぁ。分かった。リティも、それで構わないね?」
「はい。イサベルの好きなようにさせてあげて下さい」
私の返答を受け、お父様は頷いた。
「では、正式に君を雇う書類は後で部屋に持っていくからその時に署名してくれ」
「はい!有難うございます、公爵様!精一杯働かせて頂きます!」
イサベルは自分の要求が通り満面の笑みを見せると私に向き直る。真っ直ぐ私を見つめるその視線には信頼と尊敬の念が宿っている。
私にはその眼差しを受ける権利はないのだけどね…。
「ではリティシア様、また後ほどお会いさせて下さい。本当に、本当に有難うございました」
イサベルは再び可愛らしい笑みを浮かべると、そのまま部屋を後にした。
イサベルのすぐに働く宣言は私も驚いたけど恐らく働いて恩を返そうとしているんでしょうね。
私は貴女が主人公だから助けただけでイサベル自身を助けようと思っていたわけじゃないのに…。
ここまで感謝されると後ろめたい気分なるわね。
私は暫くイサベルの去っていった扉を黙って見つめていたのだが、突然お父様が口を開いた。
「…リティ、シャルレッタという名字は聞いたことがないのだが…」
「あぁ…イサベルは平民ですので…」
「平民!?なるほど、だから雑用ができるのか…。平民の使用人を雇うなんて初めてだよ。でもリティが望むなら身分は関係ないね。彼女が早くこの屋敷に慣れるよう手伝ってあげなさい」
「…!はい!お母様も、宜しいですか?」
「もちろんよ。リティが望むならどんな人だって雇ってあげるわ」
そんなこと絶対悪女に言っちゃダメですよ、お母様。本物のリティシアならいつかホントに変な人を連れてきますからね…。
でも凄いわ、お母様とお父様だって平民に対する差別観を植えつけられているはずなのに…娘のためなら本当に気にしないのね。
両親の鏡だわ。かと言って娘が連れてきた人なら誰でも雇うというのはよくないけど…。
…うん、やっぱり、ほどほどが一番ね。
部屋を出ると、実は私を待っていてくれたらしいイサベルが嬉しそうに私に話しかけてくる。
「あら、待っててくれたのね」
「はい。少し…お話したかったんです。リティシア様…あっ、お嬢様と呼んだ方が宜しいですか!?」
「いやリティシアでお願い…」
主人公にお嬢様って呼ばれるのはなんか嫌だわ…。
「分かりました。リティシア様は、ご両親にとても愛されているのですね」
イサベルの純粋な発言に胸がチクリと傷んだ。彼女は私の過去を知らないのだから当然で、悪気は一切ないことも分かっている。
だがそう言われるとなんと返していいか分からなくなってしまう。だってあの二人が愛しているのは私じゃなくてリティシアだから…。
でも今の私はリティシアなんだもんね。今は受け入れないと。
「そうね。貴女のご両親もきっと貴女を大切にしていたんでしょうね」
「…リティシア様、私、両親が亡くなったことをお話ししましたっけ…?」
「えっ」
待って、私過去形で言っちゃった…?やばい、昔からイサベルのことを知ってたことがバレたら狙って助けたことに気づかれちゃう…そしたらこの子の忠誠心が揺らいで逃げられる可能性も…!
「ちょっと言い間違えただけよ。そう…ご両親、亡くなっていたのね。」
「はい…つい最近亡くなりました」
「でもきっと…貴女のことをずっと見守っていると思うわ。」
「…はい。そうだと嬉しいです」
イサベルはなんとも寂しそうに微笑んだ。
【イサベル】
今日だけで自分の人生が一転してしまった。
お目にかかることすら難しい王子様に出会い、更に公爵令嬢様、王室騎士団長様にも一度にお会いしてしまったのである。
こんなに沢山の出来事がいっぺんに起こるなんて変な話だ。もしかしたら両親が、私に不思議な縁を与えてくれたのかもしれない。
とにかく私は恩人であるリティシア様に侍女として尽くそう。同じく助けてくれた王子殿下と騎士団長様にもいつかお礼をしなければ。
私が今無事に生きているのも、全て彼らのおかげなのだから。
それにしても、何故私を助けてくれたのだろう?
危険を顧みず、見ず知らずの私を必死に助けてくれた。
貴族の方は気まぐれで気性が荒く、平民には見向きもしないと両親から教わっていたが…それはきっと一部の貴族だけなのだろう。
少なくともリティシア様達は違う。
許されるのであれば、私は一生お側でお仕えしよう。
公爵様方の承諾が得られたので、リティシア様と別れた後、早速掃除をしていた使用人らしき男性に話しかける。
男性は私の姿を認めると、驚いてぽかんと口を開けていた。
「初めまして、本日からここで働くことになりました、イサベル=シャルレッタです。突然で申し訳ございませんが、箒の場所を教えて頂けますか?」
「…」
「あの…?」
「あぁ、すみません。初めまして、イサベルさん。僕はブロンド公爵家で二年ほど働かせて頂いている者です。箒の場所でしたらこちらの部屋に沢山ありますよ。あぁそれから、箒以外を使用する場合もこの部屋を利用して下さい。掃除用具は全てこの部屋に揃っていますので」
使用人の男性は何故か顔を赤らめながら丁寧に説明してくれる。
あの部屋が掃除用具のお部屋なのね。
掃除用具専用のお部屋があるなんて流石は貴族ね…。
私は使用人の男性に微笑むと、更に彼の顔の赤みが増した気がした。
「ご丁寧にありがとうございます。これからどうぞ宜しくお願い致します」
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