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誕生日パーティ編 その20
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「ふふふ。……それにしても、リティ様のネックレスはとても素敵ですね。殿下から頂いたんですか?」
「えぇ、そうよ。頼んでもいないのにくれたの」
凄く嬉しかったと言うのがなんだか恥ずかしくて私はまた棘のある発言をしてしまう。悪役令嬢の演技が身体に染み付いてしまったらしい。
「必要ないと思ったら捨てたり売ったりして構わないから、リティの好きなように使ってくれ」
ふと、アレクがそんなことを口にする。自分が一生懸命選んで買ったプレゼントなのにこんな風に言えてしまうなんて流石としか言いようがない。本当に私が捨ててしまったら悲しむでしょうに。
でも彼は私がしたいことを優先するのね。
「何言ってるのよ。例え公爵家が潰れてもこれだけは絶対に売らないわ。勿論、捨てもしないわよ」
「そうか?ありがとう」
折角貰った誕生日プレゼントだもの。これだけは本物のリティシアにだって渡さないわよ。
あ、本物……そっか、この二人はまだ私が本物のリティシアだと思っているのよね。彼らにも話さなきゃ、真実を。
「……そうだ二人共、聞いてほしいことがあるの」
私がそう真剣な眼差しで呟くと、アーグレンとイサベルは不思議そうな顔をする。いざ話すとなると少し緊張する。
どう話そうか、果たして受け入れられるのか……私が自分で切り出しておきながら不安に駆られていると、突然アレクが私の手を握った。驚いてそちらを見ると、彼は優しく微笑む。
「大丈夫、何も心配する必要はないよ」
その笑顔で私の不安は一瞬にして吹き飛ばされた。
アレク、貴方は……いつも私の勇気になってくれる。
私は深呼吸をした後に、先程アレクに話したのと同じように私が異世界から来た人間であること、ここが小説の世界であることを伝える。そして私が何故冷たい態度を取っていたのか、その理由も全て話した。
「そう、だったのですね……リティ様の考えも知らずにあんなことを言ってしまって申し訳ございません。リティ様はわざと殿下を突き放していたのですね……」
「魔力が反発して眠りにつくだなんて話は聞いたことがありませんが……公女様の話が本当なのであれば恐らく公女様とアレクだけに適用される設定……なのでしょうね。よくも公女様とアレクにそんな仕打ちを……もし私の目の前に作者がいたら切り刻んでいたところですよ」
イサベルは悲しそうに睫毛を伏せ、アーグレンは怒りに肩を震わせる。私はそんな二人を見ていらぬ心配だったなと思い、笑ってしまう。
「二人も、アレクと同じように簡単に信じてくれるのね。」
「だから言っただろ。何も心配する必要はないって。もし二人が納得しなくても、分かってくれるまで延々と説得するつもりだったよ」
「それは説得というよりは強要という言葉に近い気がするわ……」
アレクといい、この二人といい重大すぎる事実をいとも簡単に受け入れてくれたし、私がリティシアでないことを知っても変わらずに接してくれた。なんと良い人達なのだろうか。
小説を呼んでいた時はただのキャラクターだった彼らが、今では私のかけがえのない友人になっていることに今更ながら気づいた。
「今特に何も解決する手立てがないのであれば、リティ様と殿下が一緒にいられる方法をこれから色々模索していけばいいですね。」
「いつでもどんな時でも力をお貸ししますので、どうか私にも協力させて下さい、公女様、殿下。」
どうして皆こんなに楽観的なのか疑問に思ってしまうが……こう言われるとなんだかそう思えてきてしまう。アレクも、イサベルも、アーグレンも、皆私よりもずっとずっと前を見ている。
「……ありがとう。二人共、お願いね」
「ありがとう、グレン、イサベル。よろしく頼むよ」
私に次いでアレクが礼を述べると、イサベルが私の目を真っ直ぐ見つめてきた。
「きっと見つかりますよ。リティ様と殿下なら、どんな悲しい未来だって変えられます。」
彼女は私の手を優しく取ると、可愛らしい笑みを見せる。
「リティ様が皇后になられた暁には、あの薔薇よりももっと大きなものをご用意致しますね」
「……薔薇?」
「だからイサベル、それじゃプロポーズみたいだって何度も言ってるじゃないの。」
プレゼントの内容を知らないアレクだけが話についていけていなかったのだが、困惑してるのも面白いからこのままにしておく。
「ふふっ、そうですね。リティ様と殿下の未来にプロポーズ致しますね」
「どういうことなのよそれは一体……」
そう問いかけても彼女は意味深に微笑むだけであった。
……そろそろ会場に戻らなければお母様とお父様も心配するかもしれない。主役のいないパーティってのは随分寂しいしね。ようやく今正にパーティが行われていることを思い出し、私はアレクを見つめる。
「ねぇアレク。特大ケーキがあるんだけど貴方も食べるでしょ?」
「……特大ケーキ?」
「公女様、アレクは甘いものは……」
アーグレンがそう呟いたが、アレクが申し訳無さそうに口を開く。
「……グレン、俺実は甘いもの食べれるんだよな」
「……え?いや、冗談だろ?」
「えぇ、そうよ。頼んでもいないのにくれたの」
凄く嬉しかったと言うのがなんだか恥ずかしくて私はまた棘のある発言をしてしまう。悪役令嬢の演技が身体に染み付いてしまったらしい。
「必要ないと思ったら捨てたり売ったりして構わないから、リティの好きなように使ってくれ」
ふと、アレクがそんなことを口にする。自分が一生懸命選んで買ったプレゼントなのにこんな風に言えてしまうなんて流石としか言いようがない。本当に私が捨ててしまったら悲しむでしょうに。
でも彼は私がしたいことを優先するのね。
「何言ってるのよ。例え公爵家が潰れてもこれだけは絶対に売らないわ。勿論、捨てもしないわよ」
「そうか?ありがとう」
折角貰った誕生日プレゼントだもの。これだけは本物のリティシアにだって渡さないわよ。
あ、本物……そっか、この二人はまだ私が本物のリティシアだと思っているのよね。彼らにも話さなきゃ、真実を。
「……そうだ二人共、聞いてほしいことがあるの」
私がそう真剣な眼差しで呟くと、アーグレンとイサベルは不思議そうな顔をする。いざ話すとなると少し緊張する。
どう話そうか、果たして受け入れられるのか……私が自分で切り出しておきながら不安に駆られていると、突然アレクが私の手を握った。驚いてそちらを見ると、彼は優しく微笑む。
「大丈夫、何も心配する必要はないよ」
その笑顔で私の不安は一瞬にして吹き飛ばされた。
アレク、貴方は……いつも私の勇気になってくれる。
私は深呼吸をした後に、先程アレクに話したのと同じように私が異世界から来た人間であること、ここが小説の世界であることを伝える。そして私が何故冷たい態度を取っていたのか、その理由も全て話した。
「そう、だったのですね……リティ様の考えも知らずにあんなことを言ってしまって申し訳ございません。リティ様はわざと殿下を突き放していたのですね……」
「魔力が反発して眠りにつくだなんて話は聞いたことがありませんが……公女様の話が本当なのであれば恐らく公女様とアレクだけに適用される設定……なのでしょうね。よくも公女様とアレクにそんな仕打ちを……もし私の目の前に作者がいたら切り刻んでいたところですよ」
イサベルは悲しそうに睫毛を伏せ、アーグレンは怒りに肩を震わせる。私はそんな二人を見ていらぬ心配だったなと思い、笑ってしまう。
「二人も、アレクと同じように簡単に信じてくれるのね。」
「だから言っただろ。何も心配する必要はないって。もし二人が納得しなくても、分かってくれるまで延々と説得するつもりだったよ」
「それは説得というよりは強要という言葉に近い気がするわ……」
アレクといい、この二人といい重大すぎる事実をいとも簡単に受け入れてくれたし、私がリティシアでないことを知っても変わらずに接してくれた。なんと良い人達なのだろうか。
小説を呼んでいた時はただのキャラクターだった彼らが、今では私のかけがえのない友人になっていることに今更ながら気づいた。
「今特に何も解決する手立てがないのであれば、リティ様と殿下が一緒にいられる方法をこれから色々模索していけばいいですね。」
「いつでもどんな時でも力をお貸ししますので、どうか私にも協力させて下さい、公女様、殿下。」
どうして皆こんなに楽観的なのか疑問に思ってしまうが……こう言われるとなんだかそう思えてきてしまう。アレクも、イサベルも、アーグレンも、皆私よりもずっとずっと前を見ている。
「……ありがとう。二人共、お願いね」
「ありがとう、グレン、イサベル。よろしく頼むよ」
私に次いでアレクが礼を述べると、イサベルが私の目を真っ直ぐ見つめてきた。
「きっと見つかりますよ。リティ様と殿下なら、どんな悲しい未来だって変えられます。」
彼女は私の手を優しく取ると、可愛らしい笑みを見せる。
「リティ様が皇后になられた暁には、あの薔薇よりももっと大きなものをご用意致しますね」
「……薔薇?」
「だからイサベル、それじゃプロポーズみたいだって何度も言ってるじゃないの。」
プレゼントの内容を知らないアレクだけが話についていけていなかったのだが、困惑してるのも面白いからこのままにしておく。
「ふふっ、そうですね。リティ様と殿下の未来にプロポーズ致しますね」
「どういうことなのよそれは一体……」
そう問いかけても彼女は意味深に微笑むだけであった。
……そろそろ会場に戻らなければお母様とお父様も心配するかもしれない。主役のいないパーティってのは随分寂しいしね。ようやく今正にパーティが行われていることを思い出し、私はアレクを見つめる。
「ねぇアレク。特大ケーキがあるんだけど貴方も食べるでしょ?」
「……特大ケーキ?」
「公女様、アレクは甘いものは……」
アーグレンがそう呟いたが、アレクが申し訳無さそうに口を開く。
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「……え?いや、冗談だろ?」
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