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エディス・コーンウォール嬢の婚活
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覇気がなくなった酔っ払いは這々の体でどこかへ逃げていき、私はとりあえず目の前のナイトウェル将軍に、お礼を言うことにした。
オスカー・ナイトウェル将軍はどちらと言えば細身のーーもちろんレオナルドなど普通の貴族に比べると十分鍛えた身体をしていたがーー若い男で、荒削りだが整った顔は男らしくて、好きな人はたまらなく好きだろう。自分が先陣をきっていくというよりは参謀役に近いのだろうか。
肩の三角筋と大胸筋はまぁ、まずまずかなと思うけど、上腕二頭筋と上腕三頭筋は私の好みほどに鍛え上げられていなかった。この4つのコラボレーションが私にとってのゴリラ率判断に大きく関わってくるので残念。
それからオリヴィアの話を思い出し、王からの覚えがめでたいというからやはり参謀役に近いのだろうと思った。ただの筋肉バカ(言いすぎ、反省している)を重用するとは思えない。
私は物語から解放されたかったので、今まではとにかく無事に完結させることに心血を注いでいたから、世情にちょっと疎く、ナイトウェル将軍という人のことをまったく知らなかった。もしかして国の英雄なのだろうか、それであればこんなしょうもない場面を見られて、かなり恥ずかしい。
とにかく筋肉と、彼の醸し出している雰囲気から推察されるゴリラ率は1%である、私はすっかり彼から興味を無くしていた。
「ありがとうございます、助かりましたわ」
オスカーはふふっと笑った。
なんでここで笑う?
感じは良くないねー。国の英雄だとしても感じは良くないねー。
「君だけでも十分乗りきれそうだったがな、乙女の危機に騎士が駆けつけるのは定石だろう?」
「はぁ…」
まったく興味がない、という私の表情を伺って、彼はますます笑った。
失礼なやつだな!まぁお礼は言ったので、さっさと退散するに限る。
「では失礼致しますわ、ごきげんよーー」
「君の名は?」
あ、そんなテレビドラマとアニメあったよねー。ていうか私が辞去の挨拶しているのにかぶせて来るの、良くないねー。名前か…言いたくないなぁー言いたくないけど、言わないとどっちみちメイドに聞くんだろうな。
「私はエディス・コーンウォールです」
「コーンウォール…公爵令嬢か?」
ああ、ご存知でしたのね。私が肯定するとオスカーがにやっと笑った。
「まさか今夜こんな出会いがあるとは…夜会も来てみるものだな。コーンウォール公爵令嬢、すぐにまた会おうーーその右腕は腫れるかもしれないから早く処置をすることだな」
は?
彼はそう言い置くと、さっと身を翻して大広間へと入っていった。さすがに足取りは軽く、軍人らしくきびきびしていた。
もう一度言おう…。
は?
な、なんか、嫌な予感しかしないんだけどーーー!!
オスカーに言われたからというわけではないが、右腕はとりあえず打ち身と判断して、十分に冷やしてから寝たから翌朝はあまり腫れていなかった。しかし無意識に庇って寝たせいか肩と背中が痛かったので、朝、僧帽筋を緩めるストレッチをしたら肩甲骨の痛みが大分良くなった。セルフケアって大事ですよね!
すっかり気を取り直して朝食に降りていくと、両親が生温い瞳で私を見つめていた。
「ナイトウェル将軍と知り合いだったんだね」
(あれっ、これって…オリヴィア様がレオナルド様にロックオンされた時の流れにめちゃくちゃ似ている出だしでは…!?)
この前の呑み会の時に、オリヴィアにレオナルドとの馴れ初めを聞いたのだ。彼女は頬を染めつつも最初から最後まで教えてくれて、うわぁレオナルドってそんなに積極的だったとは…と思って若干ひいていたから余計に印象にある!
「昨夜の夜会で、将軍直々に私に声をかけてくれてね、ぜひお前に会いに我が家に来たいと言うから」
「おおおおおおとうさま、勿論断りましたよね?」
父の顔に 愕然 といった表情が浮かんだ。
「お前、国の英雄と言ってもいいお方だぞ?そんな失礼なことができるか!勿論お受けしたに決まってるじゃないか」
この国の男たちは、こうやってぐいぐいくるのがデフォなのかぁーーーー!!!!
今までお互い乗り気ではない婚約者しかいなかったので私にはこれが普通なのかどうなのか判断しかねる。
「いいいいつ来られるのですか?」
「今日の午後」
「昨日の今日!?早くないですか!?」
「まぁ…でも略式の訪問だというし、私に直接話があったわけだから断りきれなくてね」
私ががっくり落ち込んでいると、頑張ってね~という両親からのなんとはなしに弱々しいエールを感じた。ナイトウェル将軍は話によると今は平民でおそらく爵位はないのだが王の覚えがめでたくていずれ侯爵位を貰うことになっていること、国の英雄という話が本当なら、彼に嫁ぐこと自体が名誉とされているので爵位は関係ないこともあって両親は応援モードのようだ。
「賢明なお前のことだから言わずとも分かっていると思うが、国の英雄だから失礼のないように!」
まったく乗り気ではなかったが部屋に戻って嫌々準備をした。一応公爵令嬢として恥ずかしくない装いをしたが、鏡を見たら顔は死んでいた。そこに私より6歳年下の、齢まだ15歳の弟ノーランがノックをしてから入ってきた。まだ社交界にはデビューしていない彼だが、数年後にはきっと貴族令嬢たちをうっとりさせるであろう外見の片鱗を見せている。その彼は今、とても興奮していた。
「エディス姉さん、今日ナイトウェル将軍がいらっしゃると聞いたんだが!本当!?」
「残念ながら本当よ」
「姉さん顔死んでるけど」
「…」
今自分でも鏡を見て思ったところなので否定はしない。しかしノーランはナイトウェル将軍について情報を持ってそうだということに気づき、敵を知るために彼について聞いてみることにした。
オスカー・ナイトウェル将軍はどちらと言えば細身のーーもちろんレオナルドなど普通の貴族に比べると十分鍛えた身体をしていたがーー若い男で、荒削りだが整った顔は男らしくて、好きな人はたまらなく好きだろう。自分が先陣をきっていくというよりは参謀役に近いのだろうか。
肩の三角筋と大胸筋はまぁ、まずまずかなと思うけど、上腕二頭筋と上腕三頭筋は私の好みほどに鍛え上げられていなかった。この4つのコラボレーションが私にとってのゴリラ率判断に大きく関わってくるので残念。
それからオリヴィアの話を思い出し、王からの覚えがめでたいというからやはり参謀役に近いのだろうと思った。ただの筋肉バカ(言いすぎ、反省している)を重用するとは思えない。
私は物語から解放されたかったので、今まではとにかく無事に完結させることに心血を注いでいたから、世情にちょっと疎く、ナイトウェル将軍という人のことをまったく知らなかった。もしかして国の英雄なのだろうか、それであればこんなしょうもない場面を見られて、かなり恥ずかしい。
とにかく筋肉と、彼の醸し出している雰囲気から推察されるゴリラ率は1%である、私はすっかり彼から興味を無くしていた。
「ありがとうございます、助かりましたわ」
オスカーはふふっと笑った。
なんでここで笑う?
感じは良くないねー。国の英雄だとしても感じは良くないねー。
「君だけでも十分乗りきれそうだったがな、乙女の危機に騎士が駆けつけるのは定石だろう?」
「はぁ…」
まったく興味がない、という私の表情を伺って、彼はますます笑った。
失礼なやつだな!まぁお礼は言ったので、さっさと退散するに限る。
「では失礼致しますわ、ごきげんよーー」
「君の名は?」
あ、そんなテレビドラマとアニメあったよねー。ていうか私が辞去の挨拶しているのにかぶせて来るの、良くないねー。名前か…言いたくないなぁー言いたくないけど、言わないとどっちみちメイドに聞くんだろうな。
「私はエディス・コーンウォールです」
「コーンウォール…公爵令嬢か?」
ああ、ご存知でしたのね。私が肯定するとオスカーがにやっと笑った。
「まさか今夜こんな出会いがあるとは…夜会も来てみるものだな。コーンウォール公爵令嬢、すぐにまた会おうーーその右腕は腫れるかもしれないから早く処置をすることだな」
は?
彼はそう言い置くと、さっと身を翻して大広間へと入っていった。さすがに足取りは軽く、軍人らしくきびきびしていた。
もう一度言おう…。
は?
な、なんか、嫌な予感しかしないんだけどーーー!!
オスカーに言われたからというわけではないが、右腕はとりあえず打ち身と判断して、十分に冷やしてから寝たから翌朝はあまり腫れていなかった。しかし無意識に庇って寝たせいか肩と背中が痛かったので、朝、僧帽筋を緩めるストレッチをしたら肩甲骨の痛みが大分良くなった。セルフケアって大事ですよね!
すっかり気を取り直して朝食に降りていくと、両親が生温い瞳で私を見つめていた。
「ナイトウェル将軍と知り合いだったんだね」
(あれっ、これって…オリヴィア様がレオナルド様にロックオンされた時の流れにめちゃくちゃ似ている出だしでは…!?)
この前の呑み会の時に、オリヴィアにレオナルドとの馴れ初めを聞いたのだ。彼女は頬を染めつつも最初から最後まで教えてくれて、うわぁレオナルドってそんなに積極的だったとは…と思って若干ひいていたから余計に印象にある!
「昨夜の夜会で、将軍直々に私に声をかけてくれてね、ぜひお前に会いに我が家に来たいと言うから」
「おおおおおおとうさま、勿論断りましたよね?」
父の顔に 愕然 といった表情が浮かんだ。
「お前、国の英雄と言ってもいいお方だぞ?そんな失礼なことができるか!勿論お受けしたに決まってるじゃないか」
この国の男たちは、こうやってぐいぐいくるのがデフォなのかぁーーーー!!!!
今までお互い乗り気ではない婚約者しかいなかったので私にはこれが普通なのかどうなのか判断しかねる。
「いいいいつ来られるのですか?」
「今日の午後」
「昨日の今日!?早くないですか!?」
「まぁ…でも略式の訪問だというし、私に直接話があったわけだから断りきれなくてね」
私ががっくり落ち込んでいると、頑張ってね~という両親からのなんとはなしに弱々しいエールを感じた。ナイトウェル将軍は話によると今は平民でおそらく爵位はないのだが王の覚えがめでたくていずれ侯爵位を貰うことになっていること、国の英雄という話が本当なら、彼に嫁ぐこと自体が名誉とされているので爵位は関係ないこともあって両親は応援モードのようだ。
「賢明なお前のことだから言わずとも分かっていると思うが、国の英雄だから失礼のないように!」
まったく乗り気ではなかったが部屋に戻って嫌々準備をした。一応公爵令嬢として恥ずかしくない装いをしたが、鏡を見たら顔は死んでいた。そこに私より6歳年下の、齢まだ15歳の弟ノーランがノックをしてから入ってきた。まだ社交界にはデビューしていない彼だが、数年後にはきっと貴族令嬢たちをうっとりさせるであろう外見の片鱗を見せている。その彼は今、とても興奮していた。
「エディス姉さん、今日ナイトウェル将軍がいらっしゃると聞いたんだが!本当!?」
「残念ながら本当よ」
「姉さん顔死んでるけど」
「…」
今自分でも鏡を見て思ったところなので否定はしない。しかしノーランはナイトウェル将軍について情報を持ってそうだということに気づき、敵を知るために彼について聞いてみることにした。
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