悪役令嬢として役を頂いたからには、最後まで演じきりたいです!

椎名さえら

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レオナルド・サットン侯爵子息の初恋

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レオナルド・サットンはそのお茶会で雷に打たれたかのような衝撃を感じた。いや、実際打たれたことはないので、これはあくまで比喩であるが。最近雷が電気であるということを調べた論文が貴族子息たちの間で話題だったので、比喩に取り上げてみたのである。

とにかく!それくらい衝撃だったのだ!

初恋の少女がそこで微笑んでいたのだ。微笑んでいたのは、まさにレオナルドがずっと探し求めていた少女だった。彼は彼女を探してずっとずっといろんなお茶会と夜会を渡り歩き、毎回出会えない悔しさと哀しみに苛まれていた。もういい加減諦めて違う令嬢と付き合おうかと焼けバチに思った時もあったが、やっぱり違うと何かが彼を押しとどめて、結果ずっと独り者だったのである。しかし!やっと見つけた、!レオナルドの執念…いいや、努力は報われた。

彼はそれから死ぬ物狂いで彼女の名前を聞き、鬱陶しがられながらも家に押しかけ、公園での偶然の出会いを経てなんとか…自分の家へ呼ぶことが出来て長年の思いを告げることが出来た。レオナルドはとにかく必死であった。必死でなんとか婚約までこぎ着けたのである。自分は見た目もそこまで悪くはないし、家柄だって恥ずかしいところも一切ない、なんなら潤沢な資金もある一家の出で、彼女ときたら、彼女ときたら…。

彼女のリボンを見せた後に、レオナルドの執着…いいや愛情をやっと受け取ってくれたオリヴィアは、愛らしい笑顔を彼に向けてくれるようになっていた。さらっさらの薄茶色の髪の毛と、ダークグレーの瞳、鼻筋が通っていて、ぷるんとした唇…完璧です、完璧。ほっそりした小柄の体躯も尋常じゃないほどに好みだ。どうして自分で地味な容姿だと言い張るのかがわからない。言い張る彼女も可愛い。結婚したら絶対に姿絵を絵師に描かせて持ち歩くと決めています。しかも外見だけでなく中身がめちゃくちゃに可愛い。オリヴィアという名前がつくものは、全部可愛いと思えるほど、今レオナルドは人生の絶頂期を迎えていた。

どの夜会に行っても彼女を公式にエスコートすることができる。自分がオリヴィアをエスコートしていると、男どもの羨んだ視線を感じた。やはり本人は気づいていないだけで、相当モテていたに違いない。時々夜会でオリヴィアの友達だというコーンウォール公爵令嬢の元へ行ってしまうことがあったが、女性の友達であればなんとかまだ我慢できた。自分の愛がちょっと尋常じゃないほど異常…いいや過多であることは自覚していて、束縛しすぎないように気をつけてはいる。そしてそうやって自分を律している中、ある夜会からの帰り道で事件は起きた。


馬車の中で彼女にちゅっとキスを落としたら、オリヴィアがふふっと恥じらって笑ったのである。しかし反応が軽かったので、あれ?と思って、もう一度今度は彼女にがっつりとしたキスをしてみたら、焦ることなく受け入れてくれたのである。

レオナルドはオリヴィアに出会ってからというもの、ベストセラーだった閨の指南書を片っ端ら手に入れて読み漁ってようやく心を決めてキスをしたというのに…。どうしてそんなにあっさり受け入れられるのか?

まさか…他の男としたことがあるのか⁉︎

嫉妬の炎が文字通りメラメラと燃え上がり…それからオリヴィアの中の誰かの影を消したくて彼女がぐったりするまで唇を奪い、歯列を舐め、咥内を犯したのである。オリヴィアが関わると自分が一本ネジが飛んでいくのは、強く自覚しているが止められなかった。

彼女がとろんした瞳で自分を見つめる。

「レオナルドさま、どうかされましたか?」

「いや…なんでもない」

さすがに他の誰かと経験があるのか!?と大っぴらに聞けるほどの勇気は持ち合わせていなかったので我慢した。どちらにせよ彼女以外と結婚するなんて考えられない。け、結婚したら、分かるからそれまで待つ…待つのは得意中の得意…なので待つ。
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