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第4話 第二王子とお茶会
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王城に住み込み始めて八日。
フリード殿下とお茶会という名の面会が行われた。
庭園で香り高い紅茶が注がれる。
「懐かしいだろ?」
「昔はこちらでよく遊びましたね」
案内されたのは来賓用エントランスから近い庭園ではなく、あまり使われないが落ち着いて会話の出来る裏庭と呼ばれる場所で、二人にとって所縁のあるスポットだった。
小さい頃に大人の和に入れない時に王子達とシャルロットはよくここで過ごした。
「お忙しい中、時間を作っていただきありがとうございます」
「むしろ来てくれたのに何日も都合がつかなくて申し訳ないよ。昨日久しぶりに王城に戻ってきてね」
「そうだったのですね」
「ヴェロニカとも面会して、雑務を終わらせたらまた南方に向かうよ」
随分忙しそうだ。
確かにガーデンパーティもフリードは顔すら出さなかった。
フリードの主催という話だったはずだが。
「今は南方で水害が酷くてね、あちこち見て回ったり物資を届けたりしているよ」
シャルロットはフリードの知らない一面に驚いた。
第二王子であるフリード自らそれほど活発に支援に動いてるなど全く知らなかったからだ。
フリードが紅茶を一口飲むとシャルロットに謝罪を口にした。
「……すまないね、婚約者候補なんてなりたくなかっただろ?」
シャルロットは肯定も否定もせずに、微笑みながら紅茶を口に含む。
ここで否定しても、嘘だとすぐにバレてしまうからだ。
昔馴染みであるからこそ、不必要なお世辞はフリードに通用しない。
「母上と俺が南方に訪問に行ってる間にヤードルが勝手に決めてさ、本当に困ったやつだよ」
「王太子殿下はフリード殿下にそろそろ身を固めて欲しいのかもしれませんね」
「母上も私もそんなこと望んでいないのに」
「あら、そうなのですね」
「あと少しの辛抱だ。母上が戻られたらこんな茶番は終わるだろう」
フリードの口ぶりにシャルロットは思わず言い返す。
「茶番だなんて……。ヴェロニカ様も私も真剣に取り組んでいますわ」
「もちろんそれは感謝してるよ。ただ今のところ結婚する気はないんだ」
「そうなのですね……あの、お忙しい中恐縮なのですが、宜しければ今度の社交パーティーではヴェロニカ様と踊ってほしいのです」
「ああ、婚約者候補として来てもらっている以上、都合をつけてエスコートはさせてもらうよ」
「ええ!ぜひ!」
ヴェロニカの頑張りが報われるかもしれないと、シャルロットは目を輝かせた。
「シャルロットは?俺とは踊りたくない?」
「そう言うわけではありませんが、ヴェロニカ様がとてもお上手なので、ぜひ二人が踊るところを拝見したいのです」
「君もダンスが上手じゃないか。まあいいか。ところで、アランはどうだい?相変わらず仏頂面かい?」
フリード殿下が離れた所で待機しているアランを一瞥する。
釣られて、シャルロットもアランを視る。
じっと動かずに後ろで手を組んでいる。
「ふふふ、仏頂面なんて。よくしてくれていますわ」
「実は俺の近衛騎士を君に付けたんだよ」
「それは大切な騎士様をありがとうございます」
「ああ、預かっている君達には真に信頼のおける騎士を、と思ってね」
バチンとウインクをするフリードのなんと様になることか。
これで、たくさんの女性を虜にしているのだろう。
忙しさを思うと噂は本当ではないかもしれないけれど。
たわいもない話が続く。
昔馴染みのフリード殿下との会話に、シャルロットはほんの少し心が休まった。
フリード殿下とお茶会という名の面会が行われた。
庭園で香り高い紅茶が注がれる。
「懐かしいだろ?」
「昔はこちらでよく遊びましたね」
案内されたのは来賓用エントランスから近い庭園ではなく、あまり使われないが落ち着いて会話の出来る裏庭と呼ばれる場所で、二人にとって所縁のあるスポットだった。
小さい頃に大人の和に入れない時に王子達とシャルロットはよくここで過ごした。
「お忙しい中、時間を作っていただきありがとうございます」
「むしろ来てくれたのに何日も都合がつかなくて申し訳ないよ。昨日久しぶりに王城に戻ってきてね」
「そうだったのですね」
「ヴェロニカとも面会して、雑務を終わらせたらまた南方に向かうよ」
随分忙しそうだ。
確かにガーデンパーティもフリードは顔すら出さなかった。
フリードの主催という話だったはずだが。
「今は南方で水害が酷くてね、あちこち見て回ったり物資を届けたりしているよ」
シャルロットはフリードの知らない一面に驚いた。
第二王子であるフリード自らそれほど活発に支援に動いてるなど全く知らなかったからだ。
フリードが紅茶を一口飲むとシャルロットに謝罪を口にした。
「……すまないね、婚約者候補なんてなりたくなかっただろ?」
シャルロットは肯定も否定もせずに、微笑みながら紅茶を口に含む。
ここで否定しても、嘘だとすぐにバレてしまうからだ。
昔馴染みであるからこそ、不必要なお世辞はフリードに通用しない。
「母上と俺が南方に訪問に行ってる間にヤードルが勝手に決めてさ、本当に困ったやつだよ」
「王太子殿下はフリード殿下にそろそろ身を固めて欲しいのかもしれませんね」
「母上も私もそんなこと望んでいないのに」
「あら、そうなのですね」
「あと少しの辛抱だ。母上が戻られたらこんな茶番は終わるだろう」
フリードの口ぶりにシャルロットは思わず言い返す。
「茶番だなんて……。ヴェロニカ様も私も真剣に取り組んでいますわ」
「もちろんそれは感謝してるよ。ただ今のところ結婚する気はないんだ」
「そうなのですね……あの、お忙しい中恐縮なのですが、宜しければ今度の社交パーティーではヴェロニカ様と踊ってほしいのです」
「ああ、婚約者候補として来てもらっている以上、都合をつけてエスコートはさせてもらうよ」
「ええ!ぜひ!」
ヴェロニカの頑張りが報われるかもしれないと、シャルロットは目を輝かせた。
「シャルロットは?俺とは踊りたくない?」
「そう言うわけではありませんが、ヴェロニカ様がとてもお上手なので、ぜひ二人が踊るところを拝見したいのです」
「君もダンスが上手じゃないか。まあいいか。ところで、アランはどうだい?相変わらず仏頂面かい?」
フリード殿下が離れた所で待機しているアランを一瞥する。
釣られて、シャルロットもアランを視る。
じっと動かずに後ろで手を組んでいる。
「ふふふ、仏頂面なんて。よくしてくれていますわ」
「実は俺の近衛騎士を君に付けたんだよ」
「それは大切な騎士様をありがとうございます」
「ああ、預かっている君達には真に信頼のおける騎士を、と思ってね」
バチンとウインクをするフリードのなんと様になることか。
これで、たくさんの女性を虜にしているのだろう。
忙しさを思うと噂は本当ではないかもしれないけれど。
たわいもない話が続く。
昔馴染みのフリード殿下との会話に、シャルロットはほんの少し心が休まった。
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