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青の村にて 事故と誰かの笑い声
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「ヒャッホーー!!」
「私が最速よ!!」
「なるほど……、体重移動をうまく使えば最短で曲がれるみたいだね」
「水の上を走るのは不思議な感じがします」
兄さん達は飽きる事なく緑葉船を走らせて楽しそうだ。ただ今のところは風吹き花に負担がかからないように加減してくれてるけど、いつ我を忘れて爆走を始めるかわからないから不安だ。
僕はいつでも何かあった時に対応できるように準備をして見てるわけだけど、こうやって観察してたら湖面を走っている兄さん達はやってる事の違いで三組に分ける事ができた。
一組目はリンリーと青の子供一人で、緑葉船をゆっくり動かして湖面を散歩している感じだね。陸地とは違う感覚を楽しんでて一番平和的で見ていて安心感がある。
二組目はイリュキンと青の子供二人で、緑葉船の動かし方を自分なりに極めようとしている。ここも見ていて安心感があるけど、職人的な感性が爆発して自分の理想の動かし方を追求しすぎて暴走しないかだけが心配だ。それに初めて乗った緑葉船の動かし方を極めようとするのは、ちょっと理解できない。普通は初めてだったら、それなりに動かせれば満足するものじゃないの?
そして最後の僕が見ていて最も心配している兄さんと姉さんに残りの青の子供達の三組目だ。この組は何をしているかといえば、誰が一番緑葉船を速く動かせるか競っている。一見、二組目のイリュキン達に似てるけど、イリュキン達はあくまで個人的に理想を追求してて他者とは比べていないから思考の方向が内向きで、兄さん達は周りの奴より速く走りたいっていう考えだから思考が外向きだ。
まあ、ただの外向きの考えだったら何も問題はないんだけど、そこに極度の負けず嫌いっていう要素が加わると本当に暴走する確率が上がってしまう。
僕がハラハラしながら兄さん達を見てたら視線を感じて振り向くと、ラカムタさんやタキタさん達大人が僕をチラチラ見ていた。何だろうって思っていたら、ラカムタさん達は緑葉船に熱中してる兄さん達と僕を交互に見ているのに気付く。……あー、たぶん、そういう事かな。
「ラカムタさん」
「お、おう。ヤート、どうした?」
「緑葉船自体はともかく、風吹き花の種が足りないからラカムタさん達の分まで用意できない。だから、乗るのは兄さん達が降りてから、僕が緑葉船と風吹き花の状態確認を終わらせるまで待って」
「…………そうか、わかった」
ラカムタさんがものすごく残念そうに返事をして、他の大人達もがっくりと肩を落としていた。……そこまで乗りたかったんだって、僕がラカムタさん達の意外な一面に少し驚いてると事件が起こる。
「バッ!! マイネ、どけっ!!」
「えっ? きゃあ!!」
兄さんと姉さんの叫び声の後にドカンっていう衝突音が聞こえて僕が急いで見たら、兄さんと姉さんと二人の乗っていた緑葉船が空中を吹き飛んでいた。当たってほしくなかったけど、本当に何で嫌な事や起こってほしくない事ほど予想が当たるのかな。それはそれとして二人を助けよう。僕はあらかじめ僕の足もとに埋めていた種に魔力を通して魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・樹根触腕」
僕の足もとから樹の根が伸びていき、湖面に叩きつけられる寸前の兄さんと姉さんに巻き付く。ふー、けっこうギリギリだったね。樹根触腕越しに兄さんと姉さんに同調して無事を確認した後、樹根触腕に二人を広場まで運んでもらう。
「「…………」」
広場に下ろされた兄さんと姉さんは呆然としたまま動かない。僕は二人の様子を見つつ樹根触腕に二人が動かしていた緑葉船の回収をお願いしていたら、みんなが集まってきた。
「ガル!! マイネ!! 大丈夫か!?」
「二人とも大丈夫ですか!?」
「タキタ!! 二人を見てくれ!!」
「わかりました!!」
みんなに声をかけられたり身体を確認されてると、兄さんと姉さんがゆっくりと動き出す。そして二人がお互いを見たら魔力の爆発的に放たれ、さっきの衝突音以上のズガンッていう打撃音が辺りに響いた。
「マイネ!! てめえ、下手くそな動きで俺の邪魔するんじゃねえ!!」
「邪魔なのはガルよ!! どう考えてもあそこは私の通る場所だったでしょ!!」
あまりの事態の変化に逆にみんなを呆然とさせたまま、兄さんと姉さんは大声で言い合い強化魔法を発動させて殴り合っている。……うん、同調でも確認してるけど二人の動きにおかしいところはない。何かしらで張り合い衝突して最後には殴り合いになるっていう、いつもの兄さんと姉さんだね。
「フフ……」
ほら、誰かが兄さんと姉さんのやりとりを見て笑ってる。まあ、笑いたくなる気持ちはわかるよ。僕もあれだけの事故を起こした後で、すぐに殴り合いになるんだから本当に兄さんと姉さんはしょうがないなって苦笑したくなる。
「え? ヤート君……?」
「ヤート……」
「嘘でしょ……」
「まさか……」
あれ? なんかみんなが僕を見てるし、兄さんと姉さんもケンカを止めて僕を見てる。どうかしたのかな?
「みんな、どうかした?」
「ヤート、お前……」
「僕が何?」
「お前今、わら「ガアア!!」」
「ブオオ!!」
……今度はあっちか。この感じは、すぐにでも止めないと絶対にまずいな。
「ラカムタさん、三体のところに行くから兄さんと姉さんの事をお願い」
「……」
「ラカムタさん?」
「ま、任せておけ!! ぶちのめして説教しておくから気にするな!!」
「えっと……、ほどほどでお願い。それじゃあね」
僕は着々と雰囲気が張り詰めていく三体のところへ向かう。
「ヤートが笑ってた」
僕は三体に意識を向けてたからよく聞こえなかったけど、兄さんが何かつぶやいた気がした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「私が最速よ!!」
「なるほど……、体重移動をうまく使えば最短で曲がれるみたいだね」
「水の上を走るのは不思議な感じがします」
兄さん達は飽きる事なく緑葉船を走らせて楽しそうだ。ただ今のところは風吹き花に負担がかからないように加減してくれてるけど、いつ我を忘れて爆走を始めるかわからないから不安だ。
僕はいつでも何かあった時に対応できるように準備をして見てるわけだけど、こうやって観察してたら湖面を走っている兄さん達はやってる事の違いで三組に分ける事ができた。
一組目はリンリーと青の子供一人で、緑葉船をゆっくり動かして湖面を散歩している感じだね。陸地とは違う感覚を楽しんでて一番平和的で見ていて安心感がある。
二組目はイリュキンと青の子供二人で、緑葉船の動かし方を自分なりに極めようとしている。ここも見ていて安心感があるけど、職人的な感性が爆発して自分の理想の動かし方を追求しすぎて暴走しないかだけが心配だ。それに初めて乗った緑葉船の動かし方を極めようとするのは、ちょっと理解できない。普通は初めてだったら、それなりに動かせれば満足するものじゃないの?
そして最後の僕が見ていて最も心配している兄さんと姉さんに残りの青の子供達の三組目だ。この組は何をしているかといえば、誰が一番緑葉船を速く動かせるか競っている。一見、二組目のイリュキン達に似てるけど、イリュキン達はあくまで個人的に理想を追求してて他者とは比べていないから思考の方向が内向きで、兄さん達は周りの奴より速く走りたいっていう考えだから思考が外向きだ。
まあ、ただの外向きの考えだったら何も問題はないんだけど、そこに極度の負けず嫌いっていう要素が加わると本当に暴走する確率が上がってしまう。
僕がハラハラしながら兄さん達を見てたら視線を感じて振り向くと、ラカムタさんやタキタさん達大人が僕をチラチラ見ていた。何だろうって思っていたら、ラカムタさん達は緑葉船に熱中してる兄さん達と僕を交互に見ているのに気付く。……あー、たぶん、そういう事かな。
「ラカムタさん」
「お、おう。ヤート、どうした?」
「緑葉船自体はともかく、風吹き花の種が足りないからラカムタさん達の分まで用意できない。だから、乗るのは兄さん達が降りてから、僕が緑葉船と風吹き花の状態確認を終わらせるまで待って」
「…………そうか、わかった」
ラカムタさんがものすごく残念そうに返事をして、他の大人達もがっくりと肩を落としていた。……そこまで乗りたかったんだって、僕がラカムタさん達の意外な一面に少し驚いてると事件が起こる。
「バッ!! マイネ、どけっ!!」
「えっ? きゃあ!!」
兄さんと姉さんの叫び声の後にドカンっていう衝突音が聞こえて僕が急いで見たら、兄さんと姉さんと二人の乗っていた緑葉船が空中を吹き飛んでいた。当たってほしくなかったけど、本当に何で嫌な事や起こってほしくない事ほど予想が当たるのかな。それはそれとして二人を助けよう。僕はあらかじめ僕の足もとに埋めていた種に魔力を通して魔法を発動させる。
「緑盛魔法・超育成・樹根触腕」
僕の足もとから樹の根が伸びていき、湖面に叩きつけられる寸前の兄さんと姉さんに巻き付く。ふー、けっこうギリギリだったね。樹根触腕越しに兄さんと姉さんに同調して無事を確認した後、樹根触腕に二人を広場まで運んでもらう。
「「…………」」
広場に下ろされた兄さんと姉さんは呆然としたまま動かない。僕は二人の様子を見つつ樹根触腕に二人が動かしていた緑葉船の回収をお願いしていたら、みんなが集まってきた。
「ガル!! マイネ!! 大丈夫か!?」
「二人とも大丈夫ですか!?」
「タキタ!! 二人を見てくれ!!」
「わかりました!!」
みんなに声をかけられたり身体を確認されてると、兄さんと姉さんがゆっくりと動き出す。そして二人がお互いを見たら魔力の爆発的に放たれ、さっきの衝突音以上のズガンッていう打撃音が辺りに響いた。
「マイネ!! てめえ、下手くそな動きで俺の邪魔するんじゃねえ!!」
「邪魔なのはガルよ!! どう考えてもあそこは私の通る場所だったでしょ!!」
あまりの事態の変化に逆にみんなを呆然とさせたまま、兄さんと姉さんは大声で言い合い強化魔法を発動させて殴り合っている。……うん、同調でも確認してるけど二人の動きにおかしいところはない。何かしらで張り合い衝突して最後には殴り合いになるっていう、いつもの兄さんと姉さんだね。
「フフ……」
ほら、誰かが兄さんと姉さんのやりとりを見て笑ってる。まあ、笑いたくなる気持ちはわかるよ。僕もあれだけの事故を起こした後で、すぐに殴り合いになるんだから本当に兄さんと姉さんはしょうがないなって苦笑したくなる。
「え? ヤート君……?」
「ヤート……」
「嘘でしょ……」
「まさか……」
あれ? なんかみんなが僕を見てるし、兄さんと姉さんもケンカを止めて僕を見てる。どうかしたのかな?
「みんな、どうかした?」
「ヤート、お前……」
「僕が何?」
「お前今、わら「ガアア!!」」
「ブオオ!!」
……今度はあっちか。この感じは、すぐにでも止めないと絶対にまずいな。
「ラカムタさん、三体のところに行くから兄さんと姉さんの事をお願い」
「……」
「ラカムタさん?」
「ま、任せておけ!! ぶちのめして説教しておくから気にするな!!」
「えっと……、ほどほどでお願い。それじゃあね」
僕は着々と雰囲気が張り詰めていく三体のところへ向かう。
「ヤートが笑ってた」
僕は三体に意識を向けてたからよく聞こえなかったけど、兄さんが何かつぶやいた気がした。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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