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黒の村にて 受け入れと薬草
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「…………あの、ダメなんでしょうか?」
「「「は‼︎」」」
村長達はヨナさんに声をかけられて平常運転に戻ったみたい。まあ、僕にとっても意外過ぎる申し出だったから思考が止まってたのは仕方がないよね。
「ヤート……」
「何?」
「お前はどうしたい?」
「村長が良いなら僕は良いよ。……あ、待って、ヨナさんに確認しておきたい事があった」
「は、はい‼︎ 何でしょうか⁉︎」
僕が村長をチラッと見たら村長が小さくうなずき返してくれたから、ヨナさんへ聞いても良いんだと判断して聞いてみた。
「ヨナさん、僕のやり方は同調が前提になっていて、ヨナさんには再現できない事もある。それでも僕に弟子入りしたいの?」
「私達、王城の薬師は、ここ十年の間、技術の進歩がなく停滞しています。なので、そういう状況を打破するためにヤート殿の知恵や技術を一部でも取り入れて新しい風を取り入れたいのです‼︎」
手をギュッと握りしめて力説するヨナさんの目は、やる気と活力に満ちてキラキラしていた。伝わってくる熱意の高さから村長達が押され気味になってる。すごく珍しいんだけど、それはそれとしてと……。
「村長、ヨナさんは聞いての通り中途半端な気持ちで村に来たわけじゃないから、僕は良いと思う」
「……ふむ、ならばサムゼン殿、ヨナ殿の受け入れる期間などの話し合いといこうかのう」
「ありがとうございます‼︎」
「こちらの申し出を受けてもらい感謝します」
村長と僕の返答を聞いたヨナさんは本当に嬉しそうに笑っていて、サムゼンさんはホッと胸を撫で下ろした。
ネリダさんと別れて僕達は広場に戻り、そこで村長がヨナさんの事をみんなに説明すると、みんなの間に困惑が広がっていく。村長もみんなの様子を、突然の予想外すぎる事態だからしょうがないと判断したのか鎮めず、ヨナさんへ自己紹介とあいさつをするよう促した。
「私は薬師のヨナと言います。今回はヤート殿に弟子入りをするために来ました。できるだけ多くの事を学べるよう全力を尽くします。よろしくお願いします‼︎」
あ、みんなもヨナさんの熱意に押されてる。体育会系の竜人族を圧倒してるんだからヨナさんの熱意は本物って事だね。あとは村長とサムゼンさんの話し合いが終わるのを待つだけか。さすがに、そこまで時間はかからないと思うし、その間に村の案内をすればちょうど良さそうだね。僕は村長とヨナさんのそばへ行き話しかける。
「村長、サムゼンさんとの話し合いの間に村を案内して良い?」
「そうじゃの。ヤートに任せるとしよう」
「わかった。ヨナさん、今日の作業で使った道具を片付けてくるから少し待ってて」
「わかりました」
僕は小走りで作業場まで行き、しっかりと片付け広場へと戻った。すると村長とサムゼンさんは広場の一角で敷物の上に座りお茶を飲みながら話し合いをしていて、ヨナさんは兄さん達に囲まれていろいろ聞かれていた。
「盛り上がってるね。ヨナさん、お待たせ」
「いえ、大丈夫です。皆さんと話せて楽しかったです」
「それなら、もう少しみんなと話す? 村を見て回るのは後でも問題ないしね」
「そうですね……」
「私達と話しながら村を回りましょう。これなら同時にできるわ」
「なるほど、確かに姉さんの言う通りだ。ヨナさんはどう?」
「あ、私も皆さんといっしょに回りたいです‼︎」
「うん、決まりだね。みんなで行こう」
こうして僕達は連れ立って広場を後にする。歩き出してヨナさんに、まず村で見たいところがあるか聞くと「薬草関連をお願いします」って食い気味に言われた。さすが王城勤めの薬師だね。
ヨナさんの要望を考えて、薬草畑にやってきた。そして畑をいくつか巡り、僕が育ててるところに来たらヨナさんが絶句して立ち止まる。
「この薬草は……」
「ここはヤートが手入れしてるところよ」
「……ヤート殿‼︎」
ヨナさんが僕の肩をガシッとつかむ。……けっこう力が強いな。
「何?」
「どうやって、これほど質の高い薬草を育てたのですか⁉︎」
「薬草に適した世話を同調で確認してやっただけ。使ってる道具は、みんなと同じだよ」
「同調を使うだけで、ここまでの差が……」
「そうなんだよ。俺達もいろいろ試してるのに、ヤートの育てた薬草には追いつけねえんだ」
「いずれは追いついてみせるわ」
姉さんが目をギラギラさせながらつぶやくと、周りのみんなも同じようにギラギラさせ始めた。……うん、やる気がみなぎってるのは良い事だね。その後は薬草を見ながら、薬草についての情報交換をしてたんだけど、その中でヨナさんが気になる事を言った。
「謎が解けたので、これだけでも来た意味がありました」
「謎って?」
「最近、王城や王都に異常に質の良い薬草が持ち込まれる事があり、効能の高さから産地はどこだと騒ぎになってたんです」
「その薬草って、まさか……?」
「はい、この畑の薬草です。間違いありません」
薬草を指さしたヨナさんが、はっきりと断言した。僕の育てた薬草は村に来る商人から人気だとは聞いてたけど、そんな事になってたんだね。知らなかった。……まあ、でも、自分の作物がそうやって評価されるのは嬉しいな。次は薬草の質を極限まで高めてみるのも良いかも……。よし、やる気が出てきた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「「「は‼︎」」」
村長達はヨナさんに声をかけられて平常運転に戻ったみたい。まあ、僕にとっても意外過ぎる申し出だったから思考が止まってたのは仕方がないよね。
「ヤート……」
「何?」
「お前はどうしたい?」
「村長が良いなら僕は良いよ。……あ、待って、ヨナさんに確認しておきたい事があった」
「は、はい‼︎ 何でしょうか⁉︎」
僕が村長をチラッと見たら村長が小さくうなずき返してくれたから、ヨナさんへ聞いても良いんだと判断して聞いてみた。
「ヨナさん、僕のやり方は同調が前提になっていて、ヨナさんには再現できない事もある。それでも僕に弟子入りしたいの?」
「私達、王城の薬師は、ここ十年の間、技術の進歩がなく停滞しています。なので、そういう状況を打破するためにヤート殿の知恵や技術を一部でも取り入れて新しい風を取り入れたいのです‼︎」
手をギュッと握りしめて力説するヨナさんの目は、やる気と活力に満ちてキラキラしていた。伝わってくる熱意の高さから村長達が押され気味になってる。すごく珍しいんだけど、それはそれとしてと……。
「村長、ヨナさんは聞いての通り中途半端な気持ちで村に来たわけじゃないから、僕は良いと思う」
「……ふむ、ならばサムゼン殿、ヨナ殿の受け入れる期間などの話し合いといこうかのう」
「ありがとうございます‼︎」
「こちらの申し出を受けてもらい感謝します」
村長と僕の返答を聞いたヨナさんは本当に嬉しそうに笑っていて、サムゼンさんはホッと胸を撫で下ろした。
ネリダさんと別れて僕達は広場に戻り、そこで村長がヨナさんの事をみんなに説明すると、みんなの間に困惑が広がっていく。村長もみんなの様子を、突然の予想外すぎる事態だからしょうがないと判断したのか鎮めず、ヨナさんへ自己紹介とあいさつをするよう促した。
「私は薬師のヨナと言います。今回はヤート殿に弟子入りをするために来ました。できるだけ多くの事を学べるよう全力を尽くします。よろしくお願いします‼︎」
あ、みんなもヨナさんの熱意に押されてる。体育会系の竜人族を圧倒してるんだからヨナさんの熱意は本物って事だね。あとは村長とサムゼンさんの話し合いが終わるのを待つだけか。さすがに、そこまで時間はかからないと思うし、その間に村の案内をすればちょうど良さそうだね。僕は村長とヨナさんのそばへ行き話しかける。
「村長、サムゼンさんとの話し合いの間に村を案内して良い?」
「そうじゃの。ヤートに任せるとしよう」
「わかった。ヨナさん、今日の作業で使った道具を片付けてくるから少し待ってて」
「わかりました」
僕は小走りで作業場まで行き、しっかりと片付け広場へと戻った。すると村長とサムゼンさんは広場の一角で敷物の上に座りお茶を飲みながら話し合いをしていて、ヨナさんは兄さん達に囲まれていろいろ聞かれていた。
「盛り上がってるね。ヨナさん、お待たせ」
「いえ、大丈夫です。皆さんと話せて楽しかったです」
「それなら、もう少しみんなと話す? 村を見て回るのは後でも問題ないしね」
「そうですね……」
「私達と話しながら村を回りましょう。これなら同時にできるわ」
「なるほど、確かに姉さんの言う通りだ。ヨナさんはどう?」
「あ、私も皆さんといっしょに回りたいです‼︎」
「うん、決まりだね。みんなで行こう」
こうして僕達は連れ立って広場を後にする。歩き出してヨナさんに、まず村で見たいところがあるか聞くと「薬草関連をお願いします」って食い気味に言われた。さすが王城勤めの薬師だね。
ヨナさんの要望を考えて、薬草畑にやってきた。そして畑をいくつか巡り、僕が育ててるところに来たらヨナさんが絶句して立ち止まる。
「この薬草は……」
「ここはヤートが手入れしてるところよ」
「……ヤート殿‼︎」
ヨナさんが僕の肩をガシッとつかむ。……けっこう力が強いな。
「何?」
「どうやって、これほど質の高い薬草を育てたのですか⁉︎」
「薬草に適した世話を同調で確認してやっただけ。使ってる道具は、みんなと同じだよ」
「同調を使うだけで、ここまでの差が……」
「そうなんだよ。俺達もいろいろ試してるのに、ヤートの育てた薬草には追いつけねえんだ」
「いずれは追いついてみせるわ」
姉さんが目をギラギラさせながらつぶやくと、周りのみんなも同じようにギラギラさせ始めた。……うん、やる気がみなぎってるのは良い事だね。その後は薬草を見ながら、薬草についての情報交換をしてたんだけど、その中でヨナさんが気になる事を言った。
「謎が解けたので、これだけでも来た意味がありました」
「謎って?」
「最近、王城や王都に異常に質の良い薬草が持ち込まれる事があり、効能の高さから産地はどこだと騒ぎになってたんです」
「その薬草って、まさか……?」
「はい、この畑の薬草です。間違いありません」
薬草を指さしたヨナさんが、はっきりと断言した。僕の育てた薬草は村に来る商人から人気だとは聞いてたけど、そんな事になってたんだね。知らなかった。……まあ、でも、自分の作物がそうやって評価されるのは嬉しいな。次は薬草の質を極限まで高めてみるのも良いかも……。よし、やる気が出てきた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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