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決戦前にて 続ける二体と止められる二人
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僕達の目の前で二頭の黒帝神馬が向かい合っている。一頭は本物の黒帝神馬であるオイリスで、もう一頭は黒帝神馬に化けたミックだ。…………ミックが僕に化けてるところは見た事あるけど、ここまで別形態に変わるのを目にするのは初めてだね。
というか、いくら擬態花のミックが、僕の魔法で変化能力と捕食能力を強化された特別な個体だからといって、もともとの擬態花の大きさと比べて数十倍に膨れ上がるのは驚きしかない。しかも、ただ膨れ上がっただけじゃなく、変化後の自分の状態を確かめるミックの足音には、しっかりと重量感がある。
僕が黒帝神馬になっているミックの身体を同調で調べたいと思っていたら、ミックは上体を起こすように前足を振り上げ、未だに唖然としてるオイリス目掛けて振り下ろした。
「ブルッ⁉︎」
ハッと我にかえったオイリスが飛び退くと、次の瞬間オイリスがいた場所にミックの前足が振り下ろされ大きく陥没させる。
「…………ドウシタ? カカッテコナイノカ?」
「……ブル」
黒帝神馬の口からミックの声が聞こえてくるのは違和感しかないけど、まあ、それはどうでも良い事。注意しないといけないのはミックの本気具合だ。かなり派手な感じになりそうだから止めるべきだと思い僕が腰の小袋へ手を伸ばそうとした。
でも、その前にオイリスは身体から魔力を放ちミックへ突進し右肩部にある巨大な鉱石の塊を叩きつける。かなりの速さだったからミックに当たったと思ったけど、ミックはミックで身体から魔力を放つとともに上体を跳ね上げ右肩部の巨大な鉱石の塊をオイリスの鉱石へ振り下ろした。
ギャリリリリッ‼︎
今まで聞いた事のない耳障りな音が鉱石の接触面から火花と同時に起こり、僕達は耳を塞ぐ。…………本当にミックの変化はすごいな。完全に鍔迫り合いになっている事から大きさや重さに加えて硬さまで再現できてるのがわかる。ここまで正確に再現できてるという事は、もしかしたらミックにも僕の同調と似た能力があるのかもしれないね。
「ヤート君、あの子はいったい何なの? 竜人族が変身できるとか聞いた事がないわ……」
「名前はミックで変化が得意な世話好きだよ。最近、いっしょに行動するようになったんだ」
「…………あいかわらずヤート君とその周りには驚きが満ちてるみたいね」
特にナイルさんを信頼してないっていうわけじゃないけど、切り札は簡単には明かさない方が良いと思ってミックの正体はぼかしておいた。ナイルさんがミックを凝視しているのを確認しつつ、ラカムタさんや父さんをチラッと見たら小さくうなずき返してくれる。どうやら僕の判断は悪くなかったらしい。あとはミックとオイリスがどうなるかだけど、二体の力比べの様子を見るとまだまだ終わりそうにない。
ギャリンッ‼︎
一際耳障りな鉱石同士が擦れる音がした後、ミックとオイリスは距離を取る。遠目にはそれぞれの右肩部の鉱石に欠けやヒビは見られない。それと一当てした結果、ミックはオイリスを、オイリスはミックを油断できない相手として認識したようだ。
「…………カツダケダ」
「ブルルッ‼︎」
数瞬にらみ合ってから二体は同時に突進する。
あれから二体は何回も激突したけど、まったく決着がつかない。さすがに激突の連続は二体の身体への負荷が大きいので止めたら、二体は勝負のやり方を変えて僕達から少し離れたところを走り回っている。どういう決着方法になったかと言えば、単純明快で相手の背中をとって上から押さえ込んだ方が勝ちっていう勝負だ。でも、はっきり言って今の方が決着がつかない気がする。
「ラカムタさん、父さん、二人が強化魔法を発動させて全力で後ろを取り合ったら、どれくらいで勝敗はつく?」
「俺とマルディか……。おそらく丸一日はかかると思うぞ」
「確かな。ヤートみたいに考えが読めたりしない限りは、なかなか難しい」
「やっぱり同格の場合は、そうだよね。……とりあえず全力で動く事でオイリスの退屈じゃなくなれば、それで良いか」
「…………おい、ヤート」
「何? ラカムタさん」
「一応言っておくが、黒の顔役になっている俺の方が格上だからな?」
ラカムタさんがしゃがんで僕と目線を合わせて言われたから、内心で言い方を間違ったなって思っていると、父さんがしゃがんでいるラカムタさんの肩をつかんだ。
「ラカムタ、あの時は僅差でお前に決まっただけだ。お前の方がはっきりと上に立っているような言い方をするな」
「ああ?」
肩をつかんでいる父さんの手を払ってラカムタさんが立ち上がり父さんと間近でにらみ合う。
「その僅差が俺とお前の決定的な差だろうが。お前こそごまかした言い方をするんじゃねえ」
「……ここで、ヤート達の前で決定的な差を示しても良いんだぞ?」
「おもしれえ、じゃねえか。やれるものならやってみろ」
戦うのが二組に増えるのはまずいと思ってラカムタさんと父さんを止めようとしたら、僕より速く動いてる人がいた。その人は、いつ戦い始めてもおかしくない二人の横に立っている。
「ラカムタ、マルディ、何をするつもりなのかしら?」
「エ、エステア、違うぞ‼︎ これはだな‼︎」
「そ、そうだ‼︎ 違うんだ‼︎」
「そう……違うのね。それじゃあ、私といっしょに大人しくしててちょうだい。わかったわね?」
「「わかった……」」
…………母さん、すごいな。でも、これでミックとオイリスのやり取りに集中できるね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
というか、いくら擬態花のミックが、僕の魔法で変化能力と捕食能力を強化された特別な個体だからといって、もともとの擬態花の大きさと比べて数十倍に膨れ上がるのは驚きしかない。しかも、ただ膨れ上がっただけじゃなく、変化後の自分の状態を確かめるミックの足音には、しっかりと重量感がある。
僕が黒帝神馬になっているミックの身体を同調で調べたいと思っていたら、ミックは上体を起こすように前足を振り上げ、未だに唖然としてるオイリス目掛けて振り下ろした。
「ブルッ⁉︎」
ハッと我にかえったオイリスが飛び退くと、次の瞬間オイリスがいた場所にミックの前足が振り下ろされ大きく陥没させる。
「…………ドウシタ? カカッテコナイノカ?」
「……ブル」
黒帝神馬の口からミックの声が聞こえてくるのは違和感しかないけど、まあ、それはどうでも良い事。注意しないといけないのはミックの本気具合だ。かなり派手な感じになりそうだから止めるべきだと思い僕が腰の小袋へ手を伸ばそうとした。
でも、その前にオイリスは身体から魔力を放ちミックへ突進し右肩部にある巨大な鉱石の塊を叩きつける。かなりの速さだったからミックに当たったと思ったけど、ミックはミックで身体から魔力を放つとともに上体を跳ね上げ右肩部の巨大な鉱石の塊をオイリスの鉱石へ振り下ろした。
ギャリリリリッ‼︎
今まで聞いた事のない耳障りな音が鉱石の接触面から火花と同時に起こり、僕達は耳を塞ぐ。…………本当にミックの変化はすごいな。完全に鍔迫り合いになっている事から大きさや重さに加えて硬さまで再現できてるのがわかる。ここまで正確に再現できてるという事は、もしかしたらミックにも僕の同調と似た能力があるのかもしれないね。
「ヤート君、あの子はいったい何なの? 竜人族が変身できるとか聞いた事がないわ……」
「名前はミックで変化が得意な世話好きだよ。最近、いっしょに行動するようになったんだ」
「…………あいかわらずヤート君とその周りには驚きが満ちてるみたいね」
特にナイルさんを信頼してないっていうわけじゃないけど、切り札は簡単には明かさない方が良いと思ってミックの正体はぼかしておいた。ナイルさんがミックを凝視しているのを確認しつつ、ラカムタさんや父さんをチラッと見たら小さくうなずき返してくれる。どうやら僕の判断は悪くなかったらしい。あとはミックとオイリスがどうなるかだけど、二体の力比べの様子を見るとまだまだ終わりそうにない。
ギャリンッ‼︎
一際耳障りな鉱石同士が擦れる音がした後、ミックとオイリスは距離を取る。遠目にはそれぞれの右肩部の鉱石に欠けやヒビは見られない。それと一当てした結果、ミックはオイリスを、オイリスはミックを油断できない相手として認識したようだ。
「…………カツダケダ」
「ブルルッ‼︎」
数瞬にらみ合ってから二体は同時に突進する。
あれから二体は何回も激突したけど、まったく決着がつかない。さすがに激突の連続は二体の身体への負荷が大きいので止めたら、二体は勝負のやり方を変えて僕達から少し離れたところを走り回っている。どういう決着方法になったかと言えば、単純明快で相手の背中をとって上から押さえ込んだ方が勝ちっていう勝負だ。でも、はっきり言って今の方が決着がつかない気がする。
「ラカムタさん、父さん、二人が強化魔法を発動させて全力で後ろを取り合ったら、どれくらいで勝敗はつく?」
「俺とマルディか……。おそらく丸一日はかかると思うぞ」
「確かな。ヤートみたいに考えが読めたりしない限りは、なかなか難しい」
「やっぱり同格の場合は、そうだよね。……とりあえず全力で動く事でオイリスの退屈じゃなくなれば、それで良いか」
「…………おい、ヤート」
「何? ラカムタさん」
「一応言っておくが、黒の顔役になっている俺の方が格上だからな?」
ラカムタさんがしゃがんで僕と目線を合わせて言われたから、内心で言い方を間違ったなって思っていると、父さんがしゃがんでいるラカムタさんの肩をつかんだ。
「ラカムタ、あの時は僅差でお前に決まっただけだ。お前の方がはっきりと上に立っているような言い方をするな」
「ああ?」
肩をつかんでいる父さんの手を払ってラカムタさんが立ち上がり父さんと間近でにらみ合う。
「その僅差が俺とお前の決定的な差だろうが。お前こそごまかした言い方をするんじゃねえ」
「……ここで、ヤート達の前で決定的な差を示しても良いんだぞ?」
「おもしれえ、じゃねえか。やれるものならやってみろ」
戦うのが二組に増えるのはまずいと思ってラカムタさんと父さんを止めようとしたら、僕より速く動いてる人がいた。その人は、いつ戦い始めてもおかしくない二人の横に立っている。
「ラカムタ、マルディ、何をするつもりなのかしら?」
「エ、エステア、違うぞ‼︎ これはだな‼︎」
「そ、そうだ‼︎ 違うんだ‼︎」
「そう……違うのね。それじゃあ、私といっしょに大人しくしててちょうだい。わかったわね?」
「「わかった……」」
…………母さん、すごいな。でも、これでミックとオイリスのやり取りに集中できるね。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
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