魔王メーカー

壱元

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第四章

第四十八話

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「僕は今から君たちを殺す。キリカも、リレラも、僕の大事な人は君たちが原因で死んだ。僕には、君たちを許すことが出来ない」
交渉は不可能。
「…動けますか? ラーラ様」
「ご心配なく。貴女こそ、『太陽センズム』をあんなに使って今も動けるのですか?」
「大丈夫です」
私は笑って答えた。
実際のところ「大丈夫」ではない。
「太陽」の過去最多使用に加え、「駿馬」や「理識」の継続使用のせいで魔力はもう半分も残っていない。
ラーラもマギクも経験値と魔力探知によって本当はそれを分かっているはずだ。
だからこそ、この状況を利用する。
マギクが両手に魔力を溜める。
私達は左右に素早く分かれて「レンゼ」を回避した。
敵の狙いはやはり私だった。
蟻の花火ヴェレムアンテ」が私を追い掛けて来る。
回避できる速度と弾数ではない。かといって剣で防げば爆発に巻き込まれ、魔力で負けている以上魔法での防御も不可能。
ラーラがこちらを向き、その手に魔力を込める。でもそれでは敵の思うつぼ。
「一手で二人を制する」のが「天才魔術師様」のお考え。
私は笑顔で首を横に振り、覚悟を決めて地面を蹴り上げた。
「駿馬」を使った跳躍、「穹砲スラーヴォルト」で駄目押ししてさらに高く飛び上がると、大きく軌道をうねらせながら「雷弾シザーハーレイ」が飛び出してくる。
「ぐあっ…!」
これは回避しきれず両足の膝から下を持っていかれる。
それでも傷は治る。そして、今作り出したこの瞬間にはそれに見合う価値がある。
ノーマークになったラーラは敵に「影渡りヌイコーゼ」で接近すると、その首を「星滅刀ステレアジアサーレ」で斬り付けた。
「正統派」の魔法使いが最も嫌う近接戦闘。
しかし、直後にマギクは傷を負いながらもラーラを後方へと弾き飛ばした。
「地龍」戦で一度だけ見せた、エネルギーを純粋な魔力に変換して自分のものとして打ち出す魔法。魔力の負けているマギクはラーラの「星滅刀」全てを変換することはできなかったが、特に危険な部分だけに狙いを絞り、その結果、首は完全には切断されず動脈の一部を損傷するにとどまっている。
「分かっている…」
魔法で傷口を焼きながら、マギクはラーラに対する一撃を準備していた。
「分かっているんだ…君たちを殺したって意味ないって」
ラーラが立ち上がるよりも早く、「雷弾」が放たれようとする。
「でも、それじゃ僕は…前に進めないんだ」
直後、マギクの身体が岩山の方へ突如として引き寄せられる。
想定外の事態に「雷弾」の軌道は逸れ、ラーラの真横を通過していった。
私の「死天メメンエスク」は役に立ったようだ。
両足を再生し、立ち上がって剣を構える。
ラーラも戦闘態勢を取った。
マギクは頭から血を流しながら目を丸くし、私の方を見ている。
そうか、そういえばマギクに「太陽センズム」以外の魔法をはっきりと見せたことはなかったな。
見せて欲しいと言ってくれたこともなかった。訓練が始まってからもマギクはラーラに付きっきりで…
あれ?
刹那、私達は二人同時に「ローゼン」に襲われる。
回避しても、さらにその先の軌道を読んで間髪入れず何度も「喰」を発動してくる。
気付けば私は肩や太腿の一部に被弾していた。
ラーラは「獣」の姿になり、その柔軟な肉体を存分に活かして「喰」の嵐の中を潜り抜けながらマギクに近付いていく。
マギクはその様子にまたも目を丸くしながら「蟻の花火」を放った。
空中に漂う「闇」の隙間を埋めるように飛ぶ火球たち。
しかし「確実性」を代償にした結果、私に対する攻撃は一瞬手薄になった。
その一瞬を使って「駿馬」を使い、一気に距離を詰める。
こちらに気付いた敵は上空に魔力を解き放つと、鉄杭を降らせる魔法:「鉄雨シュテンゼンドニーロ」をラーラも含まれる広範囲に発動した。
ふとラーラの方に目をやると、「醒魂歌エクキタウム」で作り上げた霊体によって全身を保護していた。
彼女は無事だが、同時にこの絶望的な状況下でも救援は期待できないことも示される。
剣を使って「鉄雨」を弾く私に対し、敵は案の定、追撃を準備している。
次の瞬間「理識」が捉えたのは、回避不可能の「呑」。
防御しながらではその範囲から抜け出すことは出来ない。
ならば、と私は剣に魔力を込め、防御の動きに織り交ぜてマギク本体に撃ち放った。
光槍グシャルボーレアス」を応用させて作った私の唯一のオリジナル魔法:「紅い光刃フレメア」が、結界展開の遅れたマギクの左腕を斬り落とす。
「があッ…!」
マギクは魔法を発動することも忘れ、私に真ん丸な双眸を向けていた。
「マギク様」
私は剣を下ろして語りかけた。
「夜明けの旅団」という私の「かけがえのない居場所」に何となく感じられていた違和感。(「君たちの力を伸ばして伸ばして、僕たち以上の冒険者にしたい」)
「パーティの一員とか、鍛え上げたいとか言う割に、貴方は私のこと、全然『見て』いなかったですよね」
私だって「本業」は魔法使いだ。
ラーラのことは魔法使いとして見て、どころかあんなにべったりだった癖に、私の魔法については一貫して無関心だった。
(「…確かに魔力はラーラさんに及ばない。でもグレアさんにはリレラを唸らせるくらいの剣術と不利な状況を打開する発想力がある。知っての通り魔法使いは接近戦に弱い。剣術でその弱点を補うことが出来るだけでどちらか一方しか使えない敵に対しては実力差があろうと自動的に有利になる。そして、相手が人間の場合はその『どちらか一方しか使えない敵』が殆どになる。加えてその発想力で数値化出来る能力以上の脅威を与えることができる」)
そう、私のことを分かったような口をきいていながら。
「今の“魔法”に反応できなかったのも、さっきの“魔法”にまんまと不意を突かれたのも、私が攻撃を魔法に使うなんて考えなかったから。さっきのトロール相手に魔法を使ったけど、どうせ貴方は見ていなかったんでしょう? 私には全く興味ないですもんね、マギク様」
マギクは私の言葉には応じず、ただ黙って私に対する攻撃を充填した。
その刹那、死角から飛び出す神速の平手打ちにマギクは弾き飛ばされた。
「避けられないですよね」
マギクは地面に倒れたまま、自らを見下ろす紫色の獣に掌を向け、魔力を充填した。
しかし攻撃は回避され、咄嗟に行った片腕での防御も虚しくラーラに蹴り飛ばされる。
「避けられないですよね。だって魔法じゃないなら、魔力が無くて『視え』ないから。貴男は私に執着してばかりでグレア様のことをちゃんと見ていなかった。じゃあ私についてはどうでしょうか」
たちまちラーラの周囲数メートルで電撃が暴れ出し、巨大なドームを形成する。
その規模と生成速度故に「影渡り」では抜け出せない、「獣」を捕らえる為の「雷包シザード-マ」。
しかし「獣」は己の脚力で「完成間近」なドームの縁へと走り出し、十分に距離を稼いでから「影渡り」を使った。
そして間一髪のところで「雷包」からの脱出に成功する。
マギクはラーラが「魔法使い」でありながら同時に「獣」でもあるという想定外の事象に思考回路の更新が追い付かず、ラーラの行動を予測することも叶わない。
ラーラが追撃を躱しながら接近し、結界の隙間から鋭い蹴りを命中させる。
「貴男はグレア様のことをあれだけ蔑ろにしながら、私のことも大して見ていなかった。だからこうなるのです」
さらに頭部に見舞った一撃。
しかし、マギクはその足を掴むと、そのまま手から魔力を吹き出した。
バキバキと骨を砕く音が聞こえ、追うようにラーラの悲鳴が響く。
先程からラーラの殴打を受けていながら無事だったのは、一方的にやられているように見せかけ、受けた衝撃の一部を魔力に変換して体内にため込んでいたからだ。
そしてこの瞬間に攻撃手段として転用した。
次の瞬間、怯むラーラに対し、マギクが「喰」を使用する未来がはっきりと視えた。
ラーラに気を取られている間に密かに敵に接近していた私は「駿馬」を使って速度を上げ、その勢いのままマギクに突きを放った。
刹那、マギクの顔と手がこちらに向く。
私の頭の周りに魔力が充ちる。
駄目だ。死ぬ。


ーーしかし、爆ぜたのはマギクの頭だった。
何かがマギクの頭を横から撃ち抜く。
マギクは力なく倒れ、その身体は痙攣し、嫌になるほど鮮やかな赤色がゆっくりと地面に広がっていく。
呆気にとられていると、
「グレア様」
「獣化」を解除したラーラが苦痛に顔を歪めながら声を掛けて来た。
「治せますか?」

 ラーラに案内されるまま森の奥へ入っていき、目的地に着いて驚いた。
そこには馬車があり、なんとウロとジールバードが待ち構えていた。
「まずは森を抜けろ」
ラーラがそう指示すると、二人は何も言わず馬を走らせた。
「散々な目に遭いましたね」
車内でふとラーラが話し掛けて来る。
その様子はあまりにも平常で、むしろ異様に感じられた。
「そうですね」
空返事にも似た私の一言に、彼女はしばし黙った後、
「マギク様とリレラ様については残念でした」
とさっきよりは幾ばくか悲しげな調子で言った。
しかし私は分かっていた。
「さっきの」
マギクの頭を撃ち抜いた物体。
「ジールバードの弾ですよね。貴方が『指示』したんですよね?」
「はい」
ラーラは静かに答えた。
 マギクから認められ、本格的に訓練が始まってからのある夜のこと。
そう、昼はマギクとの訓練で忙しく、夜は滅多に起きてこないラーラと久しぶりにちゃんと話せたあの夜のことだった。
ログラマトの『精神干渉魔法について』を二人で読んでいる時、ラーラが言った。
「以前に話したことを覚えていますか?」
ラーラは私と二人きりで外出し、私に「黒い狼」であることを問い詰められたあの日のことをふと話題に出した。
「あの時、私は昏睡状態の時に催眠魔法を完成させて、マギク以外のパーティメンバーにかけ続けていることは話しましたね」
「はい。あの時は…そのびっくりしました」
「無理もありません。むしろ私を赦してくださってありがとうございました。でも、今夜また赦してもらわないといけないかもしれませんね」
本には魔法によって脳構造を変化させた対象に行動を強制する方法が事細かに書かれていた。
「これは『保険』です。私たちが不測の事態に陥った時に身を守るための。それに、これまでの催眠魔法と同じで、『トリガー』が引かれない限り本人たちは今までと何も変わりませんから」
 どこかもやもやする。でももはや認めるほかない。
「本当に何もかも貴方の言う通りでしたね。マギクの精神は元々不安定で、きっかけがあれば崩れると。まさかマギク相手に使うことになるとは思いませんでしたけど、結局『保険』に命を救われもした訳ですし」
「私にとっても流石にこの事態は予想外でした。でも、パーティに愛着のあった貴女にとってはきっともっと衝撃的だったことでしょう」
「…どこか引っかかるところはあったんです。でも雰囲気に流される感じで、いつしか完全にパーティの一員になったように思いこんでいました。ラーラ様は冷静でしたね」
「私は一緒に過ごす時間が少なかったからか、最初から『ここに居場所はない』と思っていました」
冷徹な思考、「他人を服従させる魔法」、そして捕縛された立場でありながら、最終的には自らの力でパーティを乗っ取り、自らのものとしてしまうしたたかさと品格。
「つくづく『魔王』ですね、ラーラ様」
馬車は静かに進んでいた。
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