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第二章 前編
第二十三話
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柔らかさを感じていた。
暖かさも感じていた。
何かが私の頭を優しく撫でた。
ここは「楽園」か「天国」に違いない。
「グレア様、起きたのですね」
目を開けると、そこにはラーラの美貌があった。
私は慌てて膝枕から脱して、彼女と向き合った。
「ほら、やっぱり起きていました。呼吸パターンが変わったので、分かりましたよ」
私はふと首元に手を触れた。
そこには傷のいかなる痕跡さえなかった。
「貴女自身も不思議なのですか?」
彼女は言った。
「どういうことですか?」
「貴女は頸動脈を刺され、傷を負いました。ですがここに到着する頃には完治していました。また、貴女は意識不明でしたが、症状から推察するに、原因は出血ではなく、賊の武器に塗られていた毒らしいのです。かなりの猛毒だそうですが、それも初期症状の段階で自然回復したらしいのです」
そういえば、トロールとの戦闘とその後とで、私は腕と拳を骨折したけれど、眠っている間に自然回復したな。
「…何故なんでしょう?」
「気になりますか?」
実は以前から疑問に思っていた。
「貴女の身体に宿る『光』の魔法だと私は考えました」
ラーラが手をかざし、二人を取り囲む空間が外界のあらゆる光を遮断する深い闇に染まる。
「ご自身の身体を見てください」
一寸先さえ見えない暗闇の中にあって、自らの肉体の特異性にようやく気付いた。
「どうですか?」
「…光っています」
薄らと、全身が発光しているのだ。
「まるで『ランプ人間』ですね。初めて知りました」
「本当に微弱な光です。根っからの闇魔法の使い手であったから私だからこそ、これを発見できたのかもしれません」
「これが魔法なんですか?」
「はい。『生命を与える』魔法、『太陽』が常時発動している、と考えられます」
「太陽…」
その時、闇の向こうから扉の開く音が聞こえた。
ラーラは即時、暗黒の世界を取り払った。
「おお、お目覚めですか」
優しげな老医師は私の簡易的に体調を検証し、「健全」と改めて断定した。
「それにしても驚きましたよ」
と彼は面白げに言った。
「冷静で大人びた印象の『秘密のラーラ』様がそのようにお若く、しかもあれほどお取り乱しになるとは…」
「どういったことがあったのですか?」
私が質問すると、ラーラは
「だめ、言わないでください」
とすかさず彼を嗜めた。
ひとまず、私は「体調の測定」の為に残ることになり、ラーラは退出した。
彼女の摺るような足音が聞こえなくなると、医者は語ってくれた。
「貴方を運んで来るとき、ラーラ様は目に大粒の涙を浮かべられていました。かなり動揺されていて、その有様と言ったら…私にはもう成人して医者として働いている娘がいますが…子供が怪我した時の親、とでも言いましょうかね。貴方は大事にされていますよ」
彼女が私に向ける「親心」にも似たものは何者としての「私」に対する感情なのだろう?
私は自室に戻り、考えに耽っていた。
暖かさも感じていた。
何かが私の頭を優しく撫でた。
ここは「楽園」か「天国」に違いない。
「グレア様、起きたのですね」
目を開けると、そこにはラーラの美貌があった。
私は慌てて膝枕から脱して、彼女と向き合った。
「ほら、やっぱり起きていました。呼吸パターンが変わったので、分かりましたよ」
私はふと首元に手を触れた。
そこには傷のいかなる痕跡さえなかった。
「貴女自身も不思議なのですか?」
彼女は言った。
「どういうことですか?」
「貴女は頸動脈を刺され、傷を負いました。ですがここに到着する頃には完治していました。また、貴女は意識不明でしたが、症状から推察するに、原因は出血ではなく、賊の武器に塗られていた毒らしいのです。かなりの猛毒だそうですが、それも初期症状の段階で自然回復したらしいのです」
そういえば、トロールとの戦闘とその後とで、私は腕と拳を骨折したけれど、眠っている間に自然回復したな。
「…何故なんでしょう?」
「気になりますか?」
実は以前から疑問に思っていた。
「貴女の身体に宿る『光』の魔法だと私は考えました」
ラーラが手をかざし、二人を取り囲む空間が外界のあらゆる光を遮断する深い闇に染まる。
「ご自身の身体を見てください」
一寸先さえ見えない暗闇の中にあって、自らの肉体の特異性にようやく気付いた。
「どうですか?」
「…光っています」
薄らと、全身が発光しているのだ。
「まるで『ランプ人間』ですね。初めて知りました」
「本当に微弱な光です。根っからの闇魔法の使い手であったから私だからこそ、これを発見できたのかもしれません」
「これが魔法なんですか?」
「はい。『生命を与える』魔法、『太陽』が常時発動している、と考えられます」
「太陽…」
その時、闇の向こうから扉の開く音が聞こえた。
ラーラは即時、暗黒の世界を取り払った。
「おお、お目覚めですか」
優しげな老医師は私の簡易的に体調を検証し、「健全」と改めて断定した。
「それにしても驚きましたよ」
と彼は面白げに言った。
「冷静で大人びた印象の『秘密のラーラ』様がそのようにお若く、しかもあれほどお取り乱しになるとは…」
「どういったことがあったのですか?」
私が質問すると、ラーラは
「だめ、言わないでください」
とすかさず彼を嗜めた。
ひとまず、私は「体調の測定」の為に残ることになり、ラーラは退出した。
彼女の摺るような足音が聞こえなくなると、医者は語ってくれた。
「貴方を運んで来るとき、ラーラ様は目に大粒の涙を浮かべられていました。かなり動揺されていて、その有様と言ったら…私にはもう成人して医者として働いている娘がいますが…子供が怪我した時の親、とでも言いましょうかね。貴方は大事にされていますよ」
彼女が私に向ける「親心」にも似たものは何者としての「私」に対する感情なのだろう?
私は自室に戻り、考えに耽っていた。
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