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第二章 後編
第二十四話
しおりを挟む私は思わず立ち上がり、半ば声を荒らげながらラーラに説明を要求した。
だが、彼女の憂いを帯びた表情を見て冷静さを取り戻し、己を省みた。
私も私自身の我儘で「計画」を変えてもらったのだ。まずはラーラの話を聞こう、と。
「…ごめんなさい」
彼女が最初に発したのは謝罪の一言だった。
「不安にさせてしまって。そして、こんな状況を引き起こしてしまって」
「どういうことですか?」
私が再度隣に座って問いかけると、ラーラは半ば俯き気味にだが語ってくれた。
「そうですか…」
既に私達は監視下にある。
しかも、発言から考察するにその始まりが「キリカナム教団」本部攻略後である可能性は高いものの、そうと断定できないのが怖い。
従来の「計画」に従うのであれば、全ての魔法が出揃ったので明日からでも準備期間に入っておきたい所だが…
「今少しでも不審な行動を見せれば、謀反と取られ、万全の体勢である向こうと戦うことになります。そうすればかなり不利です」
「だとしたら、バレないように時期をずら…あ! じゃあ、この会話も聞かれたらマズいんじゃ…!」
「大丈夫です」
ラーラがパチンと指を鳴らすと、周囲が完全な無音になる。
「闇」魔法による音の遮断。
「貴女がこの部屋に入った時から、壁にはこれを仕掛けてありました」
ラーラは用意周到だ。それだけに私自身の狼狽が浮き彫りになる。
音が戻ってくると、ラーラは話を続けた。
「ご指摘のとおりです。『計画』実行の時期を遅らせ、今は『洗脳』から逃れた『自由』でいつつも、善良なフリをして耐えておくのが最良です。もしかしたらそれでも赦されないかもしれませんが、かなり前に気付いていて故意に私達を泳がせていたという事であれば、光はあります」
「はい」
私は頷いた。
その後約一ヶ月間、私達は怯えながらも変わらぬ様子を演出し続けたが、結局、直接的に制裁が下ることは無かった。
ただし、ラーラに対してのみ、セインが積極的に接触してくるようになった。
恐らく、幸い、というべきか反逆的であるのは、或いは「洗脳」体制から逸脱したのはラーラだけだと思われているのだ。
「補助兵」と「近衛兵」の「配役」交換はこれ以降は水の泡になったかもしれないが、ラーラとの対比によって私が過剰なまでに潔白とされるているという副産物を利用しない手はない。
改められた「計画」は私主体で秘密裏に進められていった。
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