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第45話『その恋の名は』(ナルシス視点)①
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(ナルシス視点)
奇妙な感覚だった。
父上や母上。マクシム君に感じる様なモノとは違う。
また、シーラ様に向けている様な感情とも違う。
レナにだけ向いているよく分からない感情があった。
「……はぁ……はぁ」
辛そうに息を吐いて、寝ているレナを見て、何だか胸の奥が苦しいのだ。
どうにかして、その辛さを取り除いてやりたいと考えてしまう。
そして、その感情のままに水で冷たくしたタオルを額に乗せるのだった。
かつて私が熱を出して倒れた時、シーラ様がやってくれた様に。
レナの手を握り、一人ではないのだと教えてやる。
それだけで私は救われたから。
「……しーら、ちゃん」
「あぁ、シーラ様ではないが、私はここにいる」
握りしめた手の感触で、柔らかく笑うレナを見ると、気持ちは落ち着くが、胸の奥で鼓動は強く高鳴った。
奇妙だものだ。
「レナ。君はこの鼓動の意味を知っているのだろうか。もしくはシーラ様なら」
「……」
「答えは無い。か……まぁ、当然だな」
私はレナの手を握ったまま額の汗を拭って、再び冷やしたタオルを乗せた。
どれくらい時間が経っただろうか。
私はすっかり眠ってしまっていたらしく、壁に寄りかかった状態で意識を取り戻した。
レナはどうなったのかと視線を向けてみれば、繋いだ手の先で、何やらパンを食べているレナが居る。
「ん? 起きた? おはよう」
「あぁ。もう大丈夫なのか?」
「まぁね」
何でもないと言うように笑うレナを見ながら、私はふと自分の右手がレナの手を握ったままである事に気づいた。
その事実が酷く恥ずかしくなり、私は急いでレナから手を離すのだった。
「す、すまない!」
「んー? 何が?」
「いや、手を、だな」
「あぁ、繋いでたって事? 別に気にしなくても良いよ。多分私から繋いだんでしょ? ごめんね」
「……構わない」
「そう? なら良かった」
あっけらかんとそう言うレナに私は、何とも言えない気持ちを感じる。
思い通りにならない事への苛立ちというか。相手にされていない悔しさだろうか。
だから、私はその感情の動くままにレナの手を握った。
「っ!? なに? 私の手。汗で酷いから」
「私は気にせぬ!」
「……いや。私が気になるんだって」
「私は気にせぬのだ!」
「話を聞かない王子様だなぁ」
奇妙な感覚だった。
父上や母上。マクシム君に感じる様なモノとは違う。
また、シーラ様に向けている様な感情とも違う。
レナにだけ向いているよく分からない感情があった。
「……はぁ……はぁ」
辛そうに息を吐いて、寝ているレナを見て、何だか胸の奥が苦しいのだ。
どうにかして、その辛さを取り除いてやりたいと考えてしまう。
そして、その感情のままに水で冷たくしたタオルを額に乗せるのだった。
かつて私が熱を出して倒れた時、シーラ様がやってくれた様に。
レナの手を握り、一人ではないのだと教えてやる。
それだけで私は救われたから。
「……しーら、ちゃん」
「あぁ、シーラ様ではないが、私はここにいる」
握りしめた手の感触で、柔らかく笑うレナを見ると、気持ちは落ち着くが、胸の奥で鼓動は強く高鳴った。
奇妙だものだ。
「レナ。君はこの鼓動の意味を知っているのだろうか。もしくはシーラ様なら」
「……」
「答えは無い。か……まぁ、当然だな」
私はレナの手を握ったまま額の汗を拭って、再び冷やしたタオルを乗せた。
どれくらい時間が経っただろうか。
私はすっかり眠ってしまっていたらしく、壁に寄りかかった状態で意識を取り戻した。
レナはどうなったのかと視線を向けてみれば、繋いだ手の先で、何やらパンを食べているレナが居る。
「ん? 起きた? おはよう」
「あぁ。もう大丈夫なのか?」
「まぁね」
何でもないと言うように笑うレナを見ながら、私はふと自分の右手がレナの手を握ったままである事に気づいた。
その事実が酷く恥ずかしくなり、私は急いでレナから手を離すのだった。
「す、すまない!」
「んー? 何が?」
「いや、手を、だな」
「あぁ、繋いでたって事? 別に気にしなくても良いよ。多分私から繋いだんでしょ? ごめんね」
「……構わない」
「そう? なら良かった」
あっけらかんとそう言うレナに私は、何とも言えない気持ちを感じる。
思い通りにならない事への苛立ちというか。相手にされていない悔しさだろうか。
だから、私はその感情の動くままにレナの手を握った。
「っ!? なに? 私の手。汗で酷いから」
「私は気にせぬ!」
「……いや。私が気になるんだって」
「私は気にせぬのだ!」
「話を聞かない王子様だなぁ」
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