愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

文字の大きさ
237 / 246

第77話『勇気ある言葉』③

しおりを挟む
私は叫びながら紐から抜け出そうとしたが、やはり抜けず、変わらず地面の上で芋虫の様にのたうち回った。

死にかけの虫の様だ。

いや、手も足も出ないという意味では正しいのだけれど。

流石はエルフというべきか。化け物みたいに全員が強い。

さっきまで魔法をバカバカ打ち合ってたのに、誰も息一つ切らしてないからね。

まさに本物の化け物という訳だ。

でも、だとしてもやり方はいくらでもある!

「どうしても人間の世界に戻るのが駄目だって言うんなら、私、舌を噛んで死んでやりますからね!」

「何を言ってるんだ。シーラ。舌を噛んでも痛いだけで死ぬことなど出来ないぞ」

「っ! な、なら胸に大きな剣刺して、死んでやりますから」

「胸に剣を刺した程度で死ぬわけないだろう」

「どうしたんだ? シーラは」

「分からない。だが、何か自分に痛い思いをさせたいらしい」

「どういう事なんだ。それは。なんでシーラはそんな可哀想な事をしようとしてるんだ」

「人間におかしくされたんじゃないか?」

「あり得る」

「もう! 私我慢できない! 人間の里、滅ぼしてくるわ!」

「俺も行くぞ!」

「私もだ!!」

「こんの! 分からず屋!」

私は苛立ちのままに立ち上がろうとして、でも出来なくて、何とか抜け出そうともがいていたのだが、そんな私を見てか、レナちゃんが大きな声を上げた。

「ちょっと黙りなさいよ!!」

「……なんだ人間。我々は今大事な話をしているんだ」

「なら、シーラちゃんの話をちゃんと聞いてあげなさいよ! 黙って聞いてれば、シーラちゃんの言葉全部無視して! シーラちゃんが嫌がる事ばっかりして!! そんなだから家出されるのよ!!」

「な、なにぃ!?」

「私たちがシーラの嫌がる事をしている!?」

「バカな」

「あの人間の考えすぎじゃないのか?」

「いや、しかし、シーラは確かに何かを嫌がっている様ではあったが」

「だが、だとしても何故それがあの人間に分かるのだ! おかしいではないか!!」

「そ、そうだ! 何故お前にシーラの気持ちが分かる! ただの人間が!」

「ただの人間じゃない!! 私は! 私は……! シーラちゃんの恋人だ!!!」

「……レナちゃん」

「恋人?」

「恋人って何?」

「あれだ。生涯のパートナー」

「え? 人間にもエルフと同じ文化があるって事?」

「まさかー! あり得ないでしょ。だって人間だよ?」

「恋人って事はさ。あの人間、シーラと一緒に狩りしたり、夜の星を見に行ったりするって事?」

「口づけをするかも」

「は?」

「いやいや」

「……キレた」

「人間ども……駆逐してやる! この世から……一匹残らず!!」

あわ、あわわ。

レナちゃんはやってやったぜ! みたいな顔してるけど、エルフは全員怒りに身を染めてるんですけど!?

ヤバいって!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

女王様は十五歳 お忍び世直し奮闘記

佐倉じゅうがつ
ファンタジー
十五歳を迎えた女王が初めてのお忍び。 よりよい君主になるため、そして自らの好奇心のため各地を歩いて悪を絶つ! 剣を取ったらクライマックス! お好きな処刑用BGMをご用意ください。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...