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第35話『風が、呼んでいるんです』③
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マルコさんと私を乗せた飛行機は、マルコさんが触るよりも前に動き始めた。
「っ!? 何が、起きてる」
「彼らが呼んでいます」
「彼ら……?」
そして、いつか乗ったあの時と同じ様に、飛行機は滑り出す様な静けさで空へと飛び出した。
振動も恐怖も感じない。
ただ、未知なる世界へと飛び込む興奮だけが私の中にあった。
私は、マルコさんの後頭部を見ながら大人しく座っていたのだが、風の精霊に呼ばれて座席から飛び出した。
「お嬢ちゃん!? 何をやって!」
「ラー。ララー。ラー。ララ。ラララ」
静かに飛んでいる飛行機の上で、私は草原の民がよく歌っていた歌を奏でながら、空の果てを目指した勇者たちを心に描く。
そして右の翼に座ると、そのまま風の精霊と共に飛行機を操って、空の向こうへと船を漕ぎ出した。
「草原の向こうには、どこまでも広がる山々があり」
「山々に住まうドラゴンたちから溢れた魔力が渦となり、大きな雲を作っている竜の巣を抜けて」
「その向こう。無限に広がる彼方」
両手で空を触りながら、荒れ狂う風も気にせず、飛行機を飛ばす。どこまでも、どこまでも広がる空の向こうへ。
「っ!? なんだ、アレは!? 城? 空に浮かぶ、城だと!?」
雷の消えない竜の巣の向こうに見える天空庭園を超えて、飛行機はどこまでも飛んでいった。
草原を出て、どれだけ飛んだだろうか。
飛行機はもはや地上も見えない様な上空へと辿り着いた。
そこは、雲がどこまでも続く白と青に支配された世界だった。
『随分と、久しいな。ここへはもっと後に来ると思っていたぞ。オークの友よ』
「アンタは!? オーヴィル!!」
『まったくだ。こんなに早く来てしまったのでは我らの立つ瀬が無いではないか』
「ウィルバー!」
マルコさんと私が乗っている飛行機と同じ様な形の茶色い飛行機に乗った二人は、笑いながらマルコさんに語り掛ける。
そして、私が座っている翼の近くにも、酷く懐かしい人が姿を現した。
「っ!? 何が、起きてる」
「彼らが呼んでいます」
「彼ら……?」
そして、いつか乗ったあの時と同じ様に、飛行機は滑り出す様な静けさで空へと飛び出した。
振動も恐怖も感じない。
ただ、未知なる世界へと飛び込む興奮だけが私の中にあった。
私は、マルコさんの後頭部を見ながら大人しく座っていたのだが、風の精霊に呼ばれて座席から飛び出した。
「お嬢ちゃん!? 何をやって!」
「ラー。ララー。ラー。ララ。ラララ」
静かに飛んでいる飛行機の上で、私は草原の民がよく歌っていた歌を奏でながら、空の果てを目指した勇者たちを心に描く。
そして右の翼に座ると、そのまま風の精霊と共に飛行機を操って、空の向こうへと船を漕ぎ出した。
「草原の向こうには、どこまでも広がる山々があり」
「山々に住まうドラゴンたちから溢れた魔力が渦となり、大きな雲を作っている竜の巣を抜けて」
「その向こう。無限に広がる彼方」
両手で空を触りながら、荒れ狂う風も気にせず、飛行機を飛ばす。どこまでも、どこまでも広がる空の向こうへ。
「っ!? なんだ、アレは!? 城? 空に浮かぶ、城だと!?」
雷の消えない竜の巣の向こうに見える天空庭園を超えて、飛行機はどこまでも飛んでいった。
草原を出て、どれだけ飛んだだろうか。
飛行機はもはや地上も見えない様な上空へと辿り着いた。
そこは、雲がどこまでも続く白と青に支配された世界だった。
『随分と、久しいな。ここへはもっと後に来ると思っていたぞ。オークの友よ』
「アンタは!? オーヴィル!!」
『まったくだ。こんなに早く来てしまったのでは我らの立つ瀬が無いではないか』
「ウィルバー!」
マルコさんと私が乗っている飛行機と同じ様な形の茶色い飛行機に乗った二人は、笑いながらマルコさんに語り掛ける。
そして、私が座っている翼の近くにも、酷く懐かしい人が姿を現した。
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