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刑事に抱いた興味・千尋
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「小野寺さんといえば……」
「小野寺さん、いえ、小野寺がどうかしましたか?」
小野寺の名前を口にした時の滝川さんの顔を見て、彼がなにか小野寺に対して良くないイメージを持っていることがわかった。
「あの方はどういう方なんでしょう?なんだか私の中学時代から高校の話までされて……私の昔のことをいろいろと気にされているみたいですが、それが何か今回の事件と関係あるんでしょうか?」
「いえ、それは」
滝川の表情が一瞬だが険しくなったのを私は見逃さなかった。
「小野寺さんはたしか、一華の母親が自殺したときに担当されていた刑事さんなんですが、そのときも私や一華に対して何度も質問してきました。まるで犯人扱いされてるみたいで怖かったし、非常に不快だったのを覚えています。それが今回のことで自殺の件が終わってからも……こんな言い方は悪いのですが、私や一華のことを嗅ぎまわっていたなんて。もしかして今回のことも私たちを犯人扱いしているんじゃあないですか?」
「いや、橋本さんそれは違います。現段階としてはそうした方向ではありません」
「現段階?じゃあ段階が進めば私のことを?」
「すみません現在捜査がどういう方向でとか、そうした話を第三者に話すことはできないのです」
「さっきの話ですけど、盗聴や変な手紙の心当たりがありました。小野寺さんですよ。私が最近関わった人で小野寺さん以外にこんなことする人はいません。これだって私を疑っているから盗聴しようとしたんじゃないかと思えてきます」
「橋本さん。小野寺が不愉快な思いをさせたことは私から謝罪します。本当に申し訳ございませんでした」
滝川さんが頭を下げると、隣にいた佐山も倣って「すみませんでした」と、頭を下げた。
「そんな。滝川さんたちが謝ることじゃありませんよ。顔を上げてください」
「橋本さん。我々の仕事というものはなんでも疑ってかかるものです。そんなことは橋本さんに関係ないのは承知しています。ですが小野寺も悪意があってのことではないと思います。少なくともこういう盗聴だとか手紙といったことは彼の仕業ではないと私は思っています」
「随分と信頼されているんですね」
「はい」
「なんでも疑ってみるのがお仕事なのだから、御同僚に対しても疑惑の目を向けた方が良いですよ」
私は意地の悪いことを言った。
「なるほど。仰る通りですね。ご忠告ありがとうございます」
滝川は真顔、私に礼を言った。
滝川たちは盗聴器と封筒、手紙を事件とかかわりがあるかはわからないが、とりあえず預かってよいかと聞いてきた。
私としては断る理由もないので了承した。
「事件でお忙しいところに今日はありがとうございました」
玄関まで見送った際に深々と頭を下げた。
「いえ。お気になさらないでください」
「ところで滝川さん。もしもまた小野寺さんが来たらどうしたら良いですか?」
それを聞くと、滝川は、一寸考えるような表情を見せてから「お気持ちは察しますが、質問には答えてやってください。その上でまたご不快な思いをされたら私に教えてください」と、言った。
「わかりました。どうかお仕事頑張ってくださいね。一日も早い事件の解決を願っていますから」
「ありがとうございます。精一杯励みます。それから最寄りの交番には巡回を強化するように伝えておきます」
滝川たちが帰った後、キッチンで夕食の準備をしながら、さっきまでのことを考える。
小野寺のことはあれでいい。
十分な牽制になっただろう。
それにしても滝川は、この前家に来たときとは随分違った。
そのことも興味が湧いた。
「小野寺さん、いえ、小野寺がどうかしましたか?」
小野寺の名前を口にした時の滝川さんの顔を見て、彼がなにか小野寺に対して良くないイメージを持っていることがわかった。
「あの方はどういう方なんでしょう?なんだか私の中学時代から高校の話までされて……私の昔のことをいろいろと気にされているみたいですが、それが何か今回の事件と関係あるんでしょうか?」
「いえ、それは」
滝川の表情が一瞬だが険しくなったのを私は見逃さなかった。
「小野寺さんはたしか、一華の母親が自殺したときに担当されていた刑事さんなんですが、そのときも私や一華に対して何度も質問してきました。まるで犯人扱いされてるみたいで怖かったし、非常に不快だったのを覚えています。それが今回のことで自殺の件が終わってからも……こんな言い方は悪いのですが、私や一華のことを嗅ぎまわっていたなんて。もしかして今回のことも私たちを犯人扱いしているんじゃあないですか?」
「いや、橋本さんそれは違います。現段階としてはそうした方向ではありません」
「現段階?じゃあ段階が進めば私のことを?」
「すみません現在捜査がどういう方向でとか、そうした話を第三者に話すことはできないのです」
「さっきの話ですけど、盗聴や変な手紙の心当たりがありました。小野寺さんですよ。私が最近関わった人で小野寺さん以外にこんなことする人はいません。これだって私を疑っているから盗聴しようとしたんじゃないかと思えてきます」
「橋本さん。小野寺が不愉快な思いをさせたことは私から謝罪します。本当に申し訳ございませんでした」
滝川さんが頭を下げると、隣にいた佐山も倣って「すみませんでした」と、頭を下げた。
「そんな。滝川さんたちが謝ることじゃありませんよ。顔を上げてください」
「橋本さん。我々の仕事というものはなんでも疑ってかかるものです。そんなことは橋本さんに関係ないのは承知しています。ですが小野寺も悪意があってのことではないと思います。少なくともこういう盗聴だとか手紙といったことは彼の仕業ではないと私は思っています」
「随分と信頼されているんですね」
「はい」
「なんでも疑ってみるのがお仕事なのだから、御同僚に対しても疑惑の目を向けた方が良いですよ」
私は意地の悪いことを言った。
「なるほど。仰る通りですね。ご忠告ありがとうございます」
滝川は真顔、私に礼を言った。
滝川たちは盗聴器と封筒、手紙を事件とかかわりがあるかはわからないが、とりあえず預かってよいかと聞いてきた。
私としては断る理由もないので了承した。
「事件でお忙しいところに今日はありがとうございました」
玄関まで見送った際に深々と頭を下げた。
「いえ。お気になさらないでください」
「ところで滝川さん。もしもまた小野寺さんが来たらどうしたら良いですか?」
それを聞くと、滝川は、一寸考えるような表情を見せてから「お気持ちは察しますが、質問には答えてやってください。その上でまたご不快な思いをされたら私に教えてください」と、言った。
「わかりました。どうかお仕事頑張ってくださいね。一日も早い事件の解決を願っていますから」
「ありがとうございます。精一杯励みます。それから最寄りの交番には巡回を強化するように伝えておきます」
滝川たちが帰った後、キッチンで夕食の準備をしながら、さっきまでのことを考える。
小野寺のことはあれでいい。
十分な牽制になっただろう。
それにしても滝川は、この前家に来たときとは随分違った。
そのことも興味が湧いた。
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