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宣言・一華
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遂に日本で初めての私の個展が開催された。
私の彫刻は当然として、絵画も展示され、来場者たちも作品に魅入ったり語り合ったりして活気にあふれた初日になった。
私も入り口で来場者一人一人を出迎えて挨拶をした。
会場の一角には千尋たち生徒の作品も展示された。
千尋もスクールの仲の良い生徒と一緒に来て、私とも言葉を交わしたが、どこか他人行儀だった。
おそらく村重だろう。
そして村重が突然講師を辞めると言って連絡が取れなくなった。
失敗して千尋に私との取引を話したことは容易に想像できた。
でもそんなことは想定内で、私としては何ら気にすることのないことだった。
作品は次々に売れ、私の新作である「蜘蛛の糸」は日本国内だけでなく海外からも高い評価を受けた。
個展は大成功だった。
個展が始まってからの一週間はスクールを休んだが、それからは時間を見つけて出るようにした。
ある日のスクールが終わる頃に千尋から連絡がきた。
私に話があるので、スクールが終わったら残っていてほしいという内容だった。
おおよその検討はつく。
私は千尋が待たないように、講師たちを追い立てるように帰した。
程なくして千尋がやってきた。
私は千尋を自室に招き入れると「どうしたの?スクールを休んだからなにかあったのかと思ったわ」と、案じるような言葉を出した。
千尋は黙っている。
「どうしたの?まず座りましょう」
しかし千尋は座らない。
「村重先生から聞いたんだけど……」
「なにを?」
「私と関係を結んだら絵を売り込んでやるって、だから早くものにするようにって一華から言われたと聞いたわ……それは本当のこと?」
千尋の表情にはいつにない厳しいものがあった。
「本当よ」
私が笑をたたえて答えると、千尋は一瞬絶句したような顔をした。
「なんで?なんでそんなことしたの?」
「気に入らなかった?私からのプレゼント」
「プレゼントって……一華」
「言ってたじゃない?刺激が欲しい、退屈だって」
「だからって」
「千尋も私みたいに楽しめば良かったのに。こんなふうにね。ほらっ!」
そう言ってスマホの画面を見せた。
千尋の瞳孔が開いたのがわかった。
「嘘でしょ……」
画面にはあのとき撮った明と私が写っている。
千尋のこんな顔、はじめて見る。
ダメだ、我慢できない。
口許が吊り上がり、笑いが漏れてきた。
「彼、けっこう激しいのね」
千尋の手が私の頬を打った。
「どういうつもりなの!?」
「あなたの幸せを、日常を全て壊すため」
「なにそれ?」
「千尋。私が憎いでしょう?腹が立つでしょう?もっと怒るのよ。私はあなたにどんどん憎んでほしいの。そして他のことなんて頭に入らないくらい、あなたの中を私への怒りや憎しみでいっぱいにしてほしいの」
言ってて笑みが止まらない。千尋は呆然としながら一歩引いた。
「私はあなたのことで一杯で、もう心臓が燃えるくらいにあなただけなの。だからあなたにもそうなってほしいの。そうしたら私とあなたは同じになる」
「あなたは何を言っているの?」
「中学を転校するときからそれだけ考えてた。あなたを私で満たしたいって。私があなたで満たされてるように!」
千尋は私に畏れるような視線を向けると、踵を返して部屋を出て行った。
私は恍惚として脱力した。
「ふふ……ひひひひ」
笑いが漏れてくる。
まだだ。まだこんなもんじゃない。
これから壊れていくのよ。
あなたの幸福が。
そして私への憎悪でいっぱいにしてあげる。
そうだ。私と明の画像を千尋に送ってあげないと。
私の彫刻は当然として、絵画も展示され、来場者たちも作品に魅入ったり語り合ったりして活気にあふれた初日になった。
私も入り口で来場者一人一人を出迎えて挨拶をした。
会場の一角には千尋たち生徒の作品も展示された。
千尋もスクールの仲の良い生徒と一緒に来て、私とも言葉を交わしたが、どこか他人行儀だった。
おそらく村重だろう。
そして村重が突然講師を辞めると言って連絡が取れなくなった。
失敗して千尋に私との取引を話したことは容易に想像できた。
でもそんなことは想定内で、私としては何ら気にすることのないことだった。
作品は次々に売れ、私の新作である「蜘蛛の糸」は日本国内だけでなく海外からも高い評価を受けた。
個展は大成功だった。
個展が始まってからの一週間はスクールを休んだが、それからは時間を見つけて出るようにした。
ある日のスクールが終わる頃に千尋から連絡がきた。
私に話があるので、スクールが終わったら残っていてほしいという内容だった。
おおよその検討はつく。
私は千尋が待たないように、講師たちを追い立てるように帰した。
程なくして千尋がやってきた。
私は千尋を自室に招き入れると「どうしたの?スクールを休んだからなにかあったのかと思ったわ」と、案じるような言葉を出した。
千尋は黙っている。
「どうしたの?まず座りましょう」
しかし千尋は座らない。
「村重先生から聞いたんだけど……」
「なにを?」
「私と関係を結んだら絵を売り込んでやるって、だから早くものにするようにって一華から言われたと聞いたわ……それは本当のこと?」
千尋の表情にはいつにない厳しいものがあった。
「本当よ」
私が笑をたたえて答えると、千尋は一瞬絶句したような顔をした。
「なんで?なんでそんなことしたの?」
「気に入らなかった?私からのプレゼント」
「プレゼントって……一華」
「言ってたじゃない?刺激が欲しい、退屈だって」
「だからって」
「千尋も私みたいに楽しめば良かったのに。こんなふうにね。ほらっ!」
そう言ってスマホの画面を見せた。
千尋の瞳孔が開いたのがわかった。
「嘘でしょ……」
画面にはあのとき撮った明と私が写っている。
千尋のこんな顔、はじめて見る。
ダメだ、我慢できない。
口許が吊り上がり、笑いが漏れてきた。
「彼、けっこう激しいのね」
千尋の手が私の頬を打った。
「どういうつもりなの!?」
「あなたの幸せを、日常を全て壊すため」
「なにそれ?」
「千尋。私が憎いでしょう?腹が立つでしょう?もっと怒るのよ。私はあなたにどんどん憎んでほしいの。そして他のことなんて頭に入らないくらい、あなたの中を私への怒りや憎しみでいっぱいにしてほしいの」
言ってて笑みが止まらない。千尋は呆然としながら一歩引いた。
「私はあなたのことで一杯で、もう心臓が燃えるくらいにあなただけなの。だからあなたにもそうなってほしいの。そうしたら私とあなたは同じになる」
「あなたは何を言っているの?」
「中学を転校するときからそれだけ考えてた。あなたを私で満たしたいって。私があなたで満たされてるように!」
千尋は私に畏れるような視線を向けると、踵を返して部屋を出て行った。
私は恍惚として脱力した。
「ふふ……ひひひひ」
笑いが漏れてくる。
まだだ。まだこんなもんじゃない。
これから壊れていくのよ。
あなたの幸福が。
そして私への憎悪でいっぱいにしてあげる。
そうだ。私と明の画像を千尋に送ってあげないと。
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