番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)

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 「お~い、スミレ~!起きてるかぁ?生きてるかぁ?死んでなかったら返事しろ~」

 フワフワとした意識で、そんな声が聞こえてくる。

 「スミレ~っ、ドアブチ破るぞ~?」

 兄貴めっ!

 泥の様に眠ったお陰で風邪の気配はすっかり消えていた。

 「うるさいよ、兄貴」

 扉を開ける。

 「おっ、スミレ。生きてたか。とりあえずお粥があるんだが、食う?」

 『ぐぅ~~~っ!』

 「ははっ、腹で返事かよ。ホレ」

 兄・ダラスは室内にある小さなテーブルにお粥とスープ・果実水を置いた。

 「頂きまぁす!!」

 「うまっ!!兄貴、昼ぶり?」

 「お前から桃を預かったのは昨日だ。ってお前、あれからずっと寝てたのか?」

 「あ?そうかも。このお粥美味いっ!!スープも生き返るっ!!」

 ガツガツ食べる姿に兄貴は呆れた顔をする。

 「で、生き返ったお前を地獄に突き落としてもいいか?」

 「あ?簡単には落ちないぞ?」

 「ふふんっ、コレを見てから言え。王妃様からお前宛のお茶会の招待状だ」

 どうだっ!!とばかりに兄貴は招待状を目の前に出して来た。しかし、スミレが吹き出す寸前で上に上げ、お粥まみれを免れた。

 「おっ、お茶会っ!?」

 「ああ。隣国のお姫様が来てるって話しただろ?そのお姫様が『この国のご令嬢と将来の為にお友達になりたいわ~っ』て王妃様にお願いしたらしいぞ?」

 「だからって、何で私なんだ?」

 「あ?王妃様が桃気に入ったからだよ。で、運んだのがお前って聞いて会ってみたいんだってよ。ああ、ドレスは向こうで用意してくれるらしいから、明日の午後一で王宮に行けよ。くれぐれも、逃げるなよ?」

 兄貴は楽しそうに笑う。

 「ここ数年来の地獄に落ちた気分だ。ドレスだと?兄貴、私はまだ熱が下がらないようだ。明日も下がらない。断ってくれ」

 絶対にイヤだっ!!

 「お前ね・・・、断れる訳ないだろっ!最悪自警団服でもいいから、お茶会には参加しろっ!!伯爵家が取り潰しになったらどうしてくれるっ!!仕方ないっ!!明日、迎えに来るからなっ!!ホントに逃げるなよっ!!」

 鼻息荒く、兄貴は帰って行った。



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