姉の結婚式に姉が来ません。どうやら私を身代わりにする方向で話はまとまったみたいです。式の後はどうするんですか?親族の皆様・・・!?

ゆきりん(安室 雪)

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とりあえずウェディングドレスから着替えようと思い、自分用の部屋と言われた扉を開ける。すると、中には侍女らしき人が待機していた。

 「ソフィア様のお世話をさせて頂きます、メアリーと申します。何なりとお申し付け下さいませ」

 「メアリー、お願いしますね。とりあえず、着替えたいわ」

 「かしこまりました」

 メアリーは手際よく、屋敷内で着る簡易的なドレスに着替えさせてくれた。それが終わると、香りの良い紅茶を用意してくれる。ソファーに座り、ソフィアはやっと解放された気がして、肺から全ての空気が出るんじゃないと言う溜息をついた。

 「お話しは聞きました。ソフィア様、お疲れですよね?私ではお話し相手に不足かも知れませんが、どうぞ色々吐き出しちゃって下さいね?」

 ニコッと人懐こい笑顔を見せてくれる。

 「ありがとう、メアリー。あなたが侍女で良かったわ。いきなり姉の結婚式に出席予定からお嫁に来ちゃう事になって、私どうしたらいいのか全然わかってないのよ。実はグレイン様の事も全然知らないし。1度だけ親族の顔合わせで会っただけなのよ?私は今後どうしたらいいのか、誰か説明して~っ!て、気分なの。どうしたらいいと思う?」

 ズイッと、メアリーに近づいてみる。

 「え、えっと。家令のベンに相談しましょうか?多分そろそろ挨拶に来る頃かと」

 話している時に、ベンはやって来たので、今メアリーに愚痴ってしまった質問をしてみた。

 「ソフィア様には、特に何もして頂く事は有りません。どうぞご自分のなさりたい事をして下さい。もし体調がよろしければ、屋敷内をご案内させて頂きましょうか?」

 「ええ、そうね。お願いします」




 ベンとメアリーの3人で屋敷内を見て回る。部屋数がかなりあるが、普段行かない場所も多い。多分自室とダイニング・ティールーム・図書室位しか用がない気がする。ベンは外に向かい、立派な庭を案内しはじめた。

 「うわぁ、ステキなローズガーデンですね」

 「ええ、前公爵夫人が薔薇が大好きで、庭師に指示を出してこのローズガーデンを、作らせました。ソフィア様は薔薇はお好きですか?」

 「ええ、1番好きな花だわ。そうね、ここにある大輪の薔薇は綺麗だわ」

 「そうですか、ではこちらもご案内させて頂きますね」

 庭を少し歩き、ガラス張りの建物にやって来た。

 「ココは温室です。温度管理をし、1年中咲く薔薇を育てています」

 「まあ、冬にも薔薇が咲くのね?」

 「ええ。昔は屋敷内に薔薇を飾っていましたので、多く育ててました。今は少なくなりましたが。もし、ソフィア様が希望されるのであれば、屋敷内に薔薇を飾らせますが、いかがされますか?」

 「私は薔薇があれば嬉しいけれど、グレイン様はイヤがらないかしら?」

 「お坊っ・・・、いえ、グレイン様はソフィア様が住みやすいように、屋敷内を整えるようにと言っておりましたので。何でもおっしゃって下さいませ。早速、屋敷内には薔薇を飾らせます」

 「ありがとう、ベン」

 さっき別れる際には冷たく事務的に話していた夫は、気遣いが出来る人の様だ。メアリーの様に気さくな人を侍女にしてくれたのも配慮だろう。私にではなく、カレンに対する。

 


 
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