姉の結婚式に姉が来ません。どうやら私を身代わりにする方向で話はまとまったみたいです。式の後はどうするんですか？親族の皆様・・・！？

11 〜ベン視点〜

 私はラインハルト公爵家に仕えて早40年を超えます。前公爵様の時代から仕え、数年前にご子息に爵位を譲られ、グレイン様に仕える事になりました。私は前公爵様にもっと長くお仕え出来ると思っていたので、領地に戻られると聞いた時には驚きました。また、グレイン様も今まで通り騎士も務めると仰って、忙しさのあまり身体を壊されないか心配しました。グレイン様は要領がよろしく、また、ある程度の領主としての仕事を私や屋敷内の者に振り分けられました。なので領主が必ず行わないければならない仕事のみで、その他は私どもで判断がつかないものの指示を与えて下さいます。

 そんな忙しいグレイン様ですが、ある時から楽しそうに出かけられる時あります。私の勘で女性だと思いました。しばらく経ったある日、婚約すると嬉しそうに話されました。私もやっとグレイン様に奥様をお迎え出来ると喜びもひとしおでしたが・・・。

 何とか現婚約者・カレン様には駆け落ちして頂きます。ええ、結婚式当日にっ！！





 まず私は、顔が良くあまりまだ売れていない役者に声をかけて、今回の駆け落ちをしてくれそうな者を探しました。彼の名はギル。契約期間は最長3カ月、3カ月前にカレン様が実家に帰れば終了、3カ月経過すればギルから振ってもいい。まかり間違って2人とも真剣になれば普通に付き合っていけば良い。とにかく、駆け落ちすれば１カ月に1度報酬を払う事でお互いに了承を得た。

 2人が出会う重要な日、私は物陰からこっそりと見ていた。カフェにいるカレンに声をかける。まずはそこから始まるーーー。

 はずだったのだ。

 しかし、実際にはカレンに声をかけたのは他の男だった。その男は難なくカレンと同席し、楽しそうに話し始めた。しばらく様子を見ていたギルだったが、私の元に指示を仰ぎにやってきた。

 「数日様子を見ましょう。あの男が駆け落ちするとは限りません」

 私とギルはしばらく2人の様子や会話を盗み聞きする事にした。2人が次に会う約束の日には必ず近くの席に座った。

 そして、2人は結婚式当日に愛の逃避行を決行したのだ。ギルには約定金額の3割を払う事で納得してもらった。

 カレン様の行き先は海を渡った外国だ。



 
 さて、私はグレイン様に真実を話した方が良いのか？しばらくは黙っていよう・・・。