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婚約破棄
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「リエス・プレーメン! 君との婚約を破棄する!」
えっ……。
挨拶も無しに、この人は一体、何を言っているのだろう。
メイドのシンシアに、「フォーラン様がお見えです。急いで着替えてください」と言われたのが、つい五分前。
「フォーラン様。まだ私、着替えの最中で……」
「構わないさ。そのままで」
勝手に部屋に入って来て……。なんてデリカシーの無い……。
私は思わず、ため息をついてしまった。
「リエス。君との婚約を、破棄しにきたんだ」
「はぁ……。どうしてですか?」
「それはね……」
リエスの隣に……。
桃色の髪の女性が、やってきた。
「彼女は、ケスラ・シモレーヌだ」
「こんにちは」
「あぁ……。えぇ。どうも」
「見てくれ。この美しい髪を。瞳も綺麗で……」
「まぁフォーラン様。恥ずかしいですわ」
頬を赤く染めるケスラを見て、吐き気を催した。
「つまり……。他に、愛する人ができたと?」
「そういうことだよ。ごめんね……リエス」
呆れるけど……。
正直私も、この婚約は失敗だったと思っていたので、好都合。
フォーラン様は、隣国、カルニデシアの伯爵家の令息。
特に、誰と結婚したいとか、そういう願望がなかった私は、たまたま婚約を申し込んできた彼を、受け入れることにした。
婚約が決まってから、何度も会話する機会があったけど、全然話が合わず。
適当に頷いたことを、後悔する毎日だった。
しかし、彼の方は、相当私に惚れこんだみたいで、近々私の国に移住し、一緒に暮らす家を建てたいとまで言っている。
というか、もうその家の建設は、始まってしまっていた。
それらが落ち着いてから、正式に結婚しようと……。
「ところで、あの建設中の家は、どうされるのですか?」
「痛い出費だが……。工事は中止だ」
「……失礼ながら、フォーラン様。我が国の、諸々の規則は、知っておられますか?」
「……諸々の規則?」
ダメだ。
何にも知らないわね。この人。
こちらに移住すると決めた時、フォーラン様は、婚約の手続き等も、全てこちらの役所で済ませた。
――つまり、破棄する場合の違約金、罰などは、全てこの国の規則に従う必要があるのだ。
「ねぇねぇフォーラン様。かつての婚約者の話なんて、どうでもいいでしょう? 早く国に戻って、イチャイチャしましょうよ」
「そうだな。ケスラ……。と、いうわけだから、すまないリエス。君と会うのは、これで最後だろう。今までそこそこ幸せな時間をありがとう」
しょうもないセリフを残して、フォーラン様は、雌と共に去って行った。
私は、笑いをこらえるので、必死だった。
大丈夫ですか? フォーラン様。
――婚約破棄は、五年かかりますけど。
えっ……。
挨拶も無しに、この人は一体、何を言っているのだろう。
メイドのシンシアに、「フォーラン様がお見えです。急いで着替えてください」と言われたのが、つい五分前。
「フォーラン様。まだ私、着替えの最中で……」
「構わないさ。そのままで」
勝手に部屋に入って来て……。なんてデリカシーの無い……。
私は思わず、ため息をついてしまった。
「リエス。君との婚約を、破棄しにきたんだ」
「はぁ……。どうしてですか?」
「それはね……」
リエスの隣に……。
桃色の髪の女性が、やってきた。
「彼女は、ケスラ・シモレーヌだ」
「こんにちは」
「あぁ……。えぇ。どうも」
「見てくれ。この美しい髪を。瞳も綺麗で……」
「まぁフォーラン様。恥ずかしいですわ」
頬を赤く染めるケスラを見て、吐き気を催した。
「つまり……。他に、愛する人ができたと?」
「そういうことだよ。ごめんね……リエス」
呆れるけど……。
正直私も、この婚約は失敗だったと思っていたので、好都合。
フォーラン様は、隣国、カルニデシアの伯爵家の令息。
特に、誰と結婚したいとか、そういう願望がなかった私は、たまたま婚約を申し込んできた彼を、受け入れることにした。
婚約が決まってから、何度も会話する機会があったけど、全然話が合わず。
適当に頷いたことを、後悔する毎日だった。
しかし、彼の方は、相当私に惚れこんだみたいで、近々私の国に移住し、一緒に暮らす家を建てたいとまで言っている。
というか、もうその家の建設は、始まってしまっていた。
それらが落ち着いてから、正式に結婚しようと……。
「ところで、あの建設中の家は、どうされるのですか?」
「痛い出費だが……。工事は中止だ」
「……失礼ながら、フォーラン様。我が国の、諸々の規則は、知っておられますか?」
「……諸々の規則?」
ダメだ。
何にも知らないわね。この人。
こちらに移住すると決めた時、フォーラン様は、婚約の手続き等も、全てこちらの役所で済ませた。
――つまり、破棄する場合の違約金、罰などは、全てこの国の規則に従う必要があるのだ。
「ねぇねぇフォーラン様。かつての婚約者の話なんて、どうでもいいでしょう? 早く国に戻って、イチャイチャしましょうよ」
「そうだな。ケスラ……。と、いうわけだから、すまないリエス。君と会うのは、これで最後だろう。今までそこそこ幸せな時間をありがとう」
しょうもないセリフを残して、フォーラン様は、雌と共に去って行った。
私は、笑いをこらえるので、必死だった。
大丈夫ですか? フォーラン様。
――婚約破棄は、五年かかりますけど。
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