聖女ですが、大地の力を授かったので、先手を打って王族たちを国外追放したら、国がとってもスッキリしました。

冬吹せいら

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大地の力を授かった聖女、国を掃除することを誓う。

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「また金かぁ」
「すいません……」

今日も私は頭を下げる。髭の毛量の割に、髪の毛が薄い、小太りの王に対して。

「いつもいつも。祈りのためだなんだと言って金を要求するが……。本当にそれだけ必要なのか?」
「必要です。大地の神を鎮め、祈りをささげるためには、たくさんのお供えが無いと……」
「はぁ……。もう少し、まともな聖女は、どこかにおらんのだろうか。お主もそう思うだろう?セーリア」
「本当ですわお父様。実力はあっても、国が困窮するようでは、聖女とは呼べませんのよ?」
「……すいません」

王の横で踏ん反り返っているこの女は、第一令嬢のセーリア。その豊かに育った体を悪用し、国々の王子を摘まみ食いしては、お叱りを受けている、ふしだらな女だ。

「もうよい。下がれ下がれ。金は用意する。顔も見たくないわい」
「失礼します」

ドアを閉めた後、私は舌打ちをした。

……なんでこいつらのために、祈りなんか。

確かに民の命は尊い。でも、それを統治している王族は……。別に、この国にとって、必要と呼べる存在ではなかった。




翌日、祈りを捧げるため、大量のお供えを馬車に積み、大勢の兵士と共に、私は出発した。

「毎度毎度。Sランクのモンスターを討伐しにいくわけでもないのに。どうしてこんなに荷物が必用なんだろうなぁ」

わざと聞こえるように、兵士のリーダーを務める、クリューナが呟いた。

「すいません……」
「ふんっ。聖女というなら、その身一つで国を守ってほしいものだな」

勝手なことを……。それができる聖女はいない。私でもかなり優秀な部類だ。本当なら、人の命を捧げるとか、そういうことをしないと、大地の怒りは静まらないのに……。

目的地に着き、お供えを並べていく作業をしている間も、とある兵士が文句を言っているのが聞こえた。

「ま~た給料下がったんすよ。なんでなんすかね?」
「どう考えてもこれのせいだろ。ほらみろこんな良い果実を……。祈りで全部なくなっちまうんだぜ?あ~もったいない」

わざと私に聞こえるように、大きな声で話し合うのだ。

……気にしても仕方ない。王族や兵士は嫌いだけど、感謝をしてくれる民のことを思うと、頑張る気持ちが湧いてくる。

「んじゃ。俺たちは先に帰るから。あんたは歩いて帰って来てくれ」
「……はい」

荷物を全て降ろした後、兵士たちは先に帰ってしまう。私は長い距離を、歩いて帰らなければいけない。それでも……。ぶつぶつ文句を言われるよりは、マシかもしれないと思った。

大量のお供え物を使用して、祈りを捧げる。大地の怒りよ……。静まり給え……。

「聞こえるか」
「っ!?」

頭の中に、声が響いた。

「だ、誰ですか?」
「私はこの大地を司る存在……。お主、いつも丁寧に祈りを捧げておるな」
「ありがとうございます……」

大地を司る……。そんな偉大な存在と会話しているなんて、恐れ多い。

「だが、お主は国に愛されておらん。あまりに気の毒だ。であるからして……。力を授けようと思う」
「力……ですか?」
「そうだ。大地の怒りは、お主の祈りのおかげで、今回をもって、完全に鎮静化した。我は力が余っておるが、使い道がない。全てお主に明け渡すつもりだ」
「そんな……。力なんて、私」
「嘘をつくな。お主の心は、憎悪で満ちておる。断られても……。祈りを通して、我の声が聞こえておるということは、力の流入は始まっておるのだ」

確かに、なんとなく、体に力が漲ってきたような……。

お供えを全て捧げきったところで、声は聞こえなくなってしまった。

力を試すために、私はとりあえず、兵士が置いていった、故障した馬車に向かって、破壊魔法を使ってみた。

すると――。大した力も入れてないのに、馬車が粉々に砕け散った。

「……この力があれば」

私は、国を綺麗に掃除することを決めた。
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