花冠の花嫁

頭フェアリータイプ

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本編

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昔々あるところに勇猛果敢な獣人族の公爵様と賢く美しい人間族の奥様がいらっしゃいました。
そんなふたりの間に待望の赤ちゃんが生まれてきました。
一人は非常に愛らしく白毛で精霊のいとし子であるアンジェリーナ。
もう一人は邪悪で愚かな嘘つき双子の姉。
公爵夫妻はこのあまりにも違う二人を分け隔てなく育てました。
かわいいかわいいアンジェリーナの周りはいつもにぎやか。妖精たちもにっこにこ。守護獣様はそんなアンジェリーナの姿に癒されていました。
それに対して双子の姉に近づくものは誰もいませんでした。そのころはまだ罪というべき罪を犯したわけなかったのですが、その邪悪さを賢い獣人たちは見抜いていたのでしょう。
アンジェリーナは非常に心優しい娘でしたがこればっかりは擁護できなかったようです。
そんな中、とんでもない事件を双子の姉は起こします。アンジェリーナが儀式に使う礼服を自分のものだと主張したのです。よく知られている通り、開花の儀は子供が大人になる重要な儀式です。これまでも小さな問題を度々起こしていた厄介者の双子の姉をかばっていた夫妻でしたがこればかりはどうしようもなく、双子の姉は修道院に送られてしまいました。反省が見られれば連れ戻すつもりでしたが、あまりに罪深かったためでしょうか双子の姉は神罰により最後の審判を受ける権利すら奪われる形で亡くなってしまいます。
いかに不仲とはいえアンジェリーナはもはや名を呼ぶことすら許されなくなった双子の姉を思ってひっそりと泣いていました。そんなときに慰められないことを守護獣様は太陽に嘆きました。純粋な思いが通じたのでしょう、女神さまは守護獣様に人間としての姿をお与えになりました。素晴らしいことにこれですぐそばでアンジェリーナを護ることができます。守護獣様はアンジェリーナの頭に白い花冠を載せアンジェリーナはそれに答えました。
こうして心優しいアンジェリーナは守護獣様に見初められ結婚して3人の娘と2人の息子に恵まれて幸せに幸せに暮らしました。
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