腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~

さいとう みさき

文字の大きさ
159 / 437
第九章:道に迷う

9-3森の中の村

しおりを挟む

 ルラのその声に私は立ち上がりやって来たと言う人を探す。


 その人は森の奥からやって来た。

 見るからに木こり風の風体。
 年の頃四十くらいのおじさん。
 顔中にひげを蓄え、ドワーフかと思うような顔つきをしている。


「すみません!」

「うぉっ!? な、なんだこんな所に人がいるだと??」

 
 コモン語で話しかけたのでちゃんと通じた。
 もし地方の言葉で通じなければどうしようかと思ったけど、コモン語はこの世界の共通語なので問題は無かった。


「あの、私たち道に迷ってしまったんです、助けてもらえませんか?」

「道に迷ったのか? こんな森の奥深くで?? って、もしかしてあんたらエルフってやつか!?」

 マントのフードは降ろしているので私たちの長い耳はすぐに目につく。
 この耳、長くて感情が現れやすいみたいで結構動く。
 人に会えてうれしくてさっきまでは耳がピンと立っていたのが自分でもわかる。

 これってウサギの耳みたいで結構気にいってるんだけどね。


「驚いた、本当にエルフなんだ。初めて見たぞ。噂通りめんこいなぁ」

「めんこい?」

「あ-、可愛いって意味よ。それよりすみません、私はリル、こっちは双子の妹のルラです。街道を歩いていたらいつの間にか森に迷ってしまって困ってます。助けてもらえますか?」


 私はその木こり風のおじさんにお願いをする。

「そりゃぁ、難儀だったな。こんな森の奥深くで迷子になるなんざ大変だったろう? しかしエルフってのは森の妖精って聞いたが迷うモノなのか?」

「う”っ! そ、それを言われるとお恥ずかしいですが、私たちこっちって初めてだったので全く勝手が分からないんですよ……」

 耳がショボーンとなる。

 ううぅ、言われてみればエルフって森の妖精とか言われて森に詳しい種族ってイメージがある。
 確かにカリナさんからもレクチャー受けて動物の獣道や足跡の見分け方くらいは知ってるけど、知らない勝手のわからない森なんかは分かる訳がない。

 ……大人のエルフならそう言う事は無いのかもしれないけど。


「まあええわ、キノコ採ったら儂の村まで連れてってやるわな。村まで行けば道があって街道へ向かえるでな」

「ありがとうございます! 助かります」


 そう言って木こりのおじさんはあの木に生えているキノコを採り始める。
 見た事の無いその種類はなんかやたらとカラフルだった。

「こんなもんかの。さてと行くとしようかの。ついといで」

 そう言って袋にキノコを入れて背負いながら歩き始める。
 私もルラも慌ててその木こり風のおじさんについて行く。


「儂はバージ、デルバの村で木こりをやっておる」

 歩きながら木こり風のおじさんは自己紹介をしてくれた。

「でも驚きました、この森って歩いても歩いてもどこかに辿り着く感じがしなくて」

「ああ、ここは山と山の間に挟まれた森でな、方向感覚が狂いやすいんだよ」

 歩きながらそんな会話をする。
 するとルラもひょこりと顔を出して聞いてくる。

「バージさんて木こりさんやってるのにキノコも作ってるの?」

「ん? ああ、このキノコは特別でな今の時期にしか生えんから木こりの仕事よりキノコの収穫の仕事が忙しいくらいだよ」

 そう言って袋からキノコを一つ出す。
 それをつまんで私たちに見せながら言う。

「エルフの嬢ちゃんだから知っているかもしれんが、これは毒キノコなんで食っちゃいかんぞ?」

「え? 毒キノコを栽培してるんですか!?」

「毒キノコでも薬の材料にはなるんだよ、ただ普通に食べると幻覚を見る羽目になるから気をつけるといい」

 そう言ってまた袋の中にそのキノコを放り込む。
 私とルラは顔を見合わせまたバージさんを見る。

 毒も薬になるんだ。

 そんな事を思いながら森の中を歩いてゆくと前に開けた場所が見え始めた。


「あそこがデルバの村だよ。ここまで来ればもう大丈夫だろ?」

「ありがとうございます。おかげで港まで向かえそうです」


 私がそう言うとバージさんは驚いた風にこちらを見る。
 そして大きな体をこちらに向けて聞いてくる。


「港に向かうだと? あんたらもしかしてサージム大陸に行くつもりなんじゃないだろうな?」

「え? そのつもりですけど……」


 もともとサージム大陸の迷いの森のエルフの村に帰るつもりだったから素直にそう答える。
 するとバージさんは苦虫をかみつぶしたような顔をする。
 そして話始める。


「つい最近だがドドスの街と港町の間にサイクロプスが現れたと言う噂が流れとった。一つ目の食人鬼だぞ、キャラバンも何も命からがらドドスに逃げ帰ったと聞いている。悪い事は言わん、ドドスの『鋼鉄の鎧騎士』団が討伐するまで港に向かうのは待った方がええぞ?」


「サイクロプス?」

「お姉ちゃん、サイクロプスって何?」


 バージさんの話から一つ目の食人鬼だと言う事は分かるけど、何かの神話か何かで読んだような気がする。
 確か獰猛で人の肉を好んで食べる化け物。
 巨人族の仲間らしいけど、とにかく危ない化け物ってイメージがある。

 ルラにそんな事を説明しながら考える。
 しかし困った。
 そんな化け物が発生しているとは。

 勿論ルラと私がいれば問題はないけど、ドドスの「鋼鉄の鎧騎士」の討伐隊が動いているなんて。  


「うーん、そうなると港に行く他の道ってあるんですか?」

「この村はちょうど森の真ん中くらいにあるがの、山道は土地のモンでも危なくて通らんしのぉ。大人しくしてしばらく待つ方が良いだろう」


 山間の道を進むのは確かに大変だ。
 尾根を進んでいるといつの間にか別方向に向かっているとか有るもんね。

 この四日間でよく分かったけど。


「とにかく村に来る事だな。長老の家に案内してやるよ」

「すみません、お手数かけます」



 私たちはバージさんにお礼を言いながら長老さんの家に向かうのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最弱属性魔剣士の雷鳴轟く

愛鶴ソウ
ファンタジー
十二の公爵によって統制された大陸の内、どの公爵にも統治されていない『東の地』 そこにある小さな村『リブ村』 そしてそこで暮らす少年剣士『クロト』。 ある日リブ村が一級魔物『ミノタウロス』によって壊滅させられる。 なんとか助かったクロトは力を付け、仲間と出会い世界の闇に立ち向かっていく。 ミノタウロス襲撃の裏に潜む影 最弱属性魔剣士の雷鳴が今、轟く ※この作品は小説サイト『ノベルバ』、及び『小説家になろう』にも投稿しており、既に完結しています。

物置小屋

黒蝶
大衆娯楽
言葉にはきっと色んな力があるのだと証明したい。 けれど、もうやりたかった仕事を目指せない…。 そもそも、もう自分じゃただ読みあげることすら叶わない。 どうせ眠ってしまうなら、誰かに使ってもらおう。 ──ここは、そんな作者が希望や絶望をこめた台詞や台本の物置小屋。 1人向けから演劇向けまで、色々な種類のものを書いていきます。 時々、書くかどうか迷っている物語もあげるかもしれません。 使いたいものがあれば声をかけてください。 リクエスト、常時受け付けます。 お断りさせていただく場合もありますが、できるだけやってみますので読みたい話を教えていただけると嬉しいです。

7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】

しんの(C.Clarté)
歴史・時代
15世紀、狂王と淫妃の間に生まれた10番目の子が王位を継ぐとは誰も予想しなかった。兄王子の連続死で、不遇な王子は14歳で王太子となり、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。「恩人ジャンヌ・ダルクを見捨てた暗愚」と貶される一方で、「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と正義と秩序をもたらした名君」と評価されるフランス王シャルル七世の少年時代の物語。 歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。 【カクヨムコン7中間選考通過】【アルファポリス第7回歴史・時代小説大賞、読者投票4位】【講談社レジェンド賞最終選考作】 ※表紙絵は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。 ※重複投稿しています。 カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859447599614 小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n9199ey/

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

大陸一の賢者による地属性の可能性追求運動 ―絶対的な物量を如何にして無益に浪費しつつ目的を達するか―

ぽへみやん
ファンタジー
魔王城への結界を維持する四天王を倒すべく、四属性の勇者が選ばれた。【地属性以外完全無効】の風の四天王に対抗すべき【地の勇者】ドリスは、空を飛び、高速で移動し、強化した物理攻撃も通用しない風の四天王に惨敗を喫した。このままでは絶対に勝てない、そう考えたドリスは、【大陸一の賢者】と呼ばれる男に教えを乞うことになる。 // 地属性のポテンシャルを引き出して、地属性でしか倒せない強敵(主観)を倒そう、と色々試行錯誤するお話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

処理中です...