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第九章:道に迷う
9-25ドーナッツ大会
しおりを挟む「これより第二千六百七十八回ドーナッツ大会を開催する!」
うぅおおおおぉぉぉぉぉぉっ!
ただいまガリーの村は鎖国状態になっています。
そして村長権限で第二千六百七十八回ドーナッツ大会が開催されます。
……巻き込まれた。
完全に巻き込まれたぁっ!
「イ、イリカさんこれっていつ終わるんです?」
「私もそれは分かりません。ただ、ドーナッツ大会は年に何回か開かれているとは聞いてましたがどのくらいの期間かなど全く不明です」
イリカさんはそう言って盛り上がりを見せる村の人々を見ている。
村の人々もどうやらいくつかの派閥に分かれているようでその派閥ごとにまとまって何やら言い合いをしている。
「伝統的なドーナッツこそ至高よ!」
「ぬかせ! 古臭い味だけで何ができるか!! 様々なアレンジを加えた新時代のドーナッツが必要なんだ!!」
「いやいや、ここは新旧合わせたバランスが重要ですよ。古き良き、斬新な新しい味。全てはドーナッツじゃないですか」
「我ドーナッツを思うゆえに我あり! ドーナッツに我らが未来を!!」
……いや、ドーナッツは美味しく食べられればそれでいいんじゃないだろうか?
何この村、ドーナッツ愛が重すぎる。
確かに生前もご当地グルメ愛が強いのをテレビか何かの番組で見たことあるけど、この村は異常だ。
老若男女問わず皆がドーナッツ掲げて村長のその宣言を待っていましたとばかりに大騒ぎしている。
「お姉ちゃん、ドーナッツ怖い……」
「う、うん、分かる。まさかここまでとは……」
ルラでさえ私に寄り添ってその異様な光景を見ている。
「しかし問題はどのドーナッツが一番優れているか決めないとこの村から出られないという掟ですね……」
イリカさんはそう言いながらお腹を擦る。
「様々なドーナッツを食べてどれが一番いいか決めなければなりません。うーん、太っちゃいそう」
「いや、そこじゃないと思うんですが……」
心底ため息を吐きながら私はイリカさんにそう突っ込みを入れる。
しかしそんな私など無視して村長の開始宣言で皆さん一斉に散り散りに動き出す。
「さて、宣言も終わったから儂もドーナッツの準備にかからねばな。イリカ、お前さんたちの票だ、そちらのエルフのお嬢さんたちのもあるからの。しっかりとドーナッツを味わってくれ!」
「はぁ、それで具体的にはどうやるんですか?」
なんかドーナッツ型の札みたいなのを手渡される。
そこには名前記入欄があって、自分の名前を書くようになっていた。
イリカさんはそれをしげしげと見ながらジップロク村長に聞く。
「うむ、これより二日後にドーナッツが一斉にふるまわれる。ドーナッツ大会委員会が投票箱を参加ドーナッツごとに設置し、今村にいる者全員が全てのドーナッツを試食し、一番おいしいと思われる投票箱にそれを入れると言うモノじゃ。参加ドーナッツ全て食べたかどうかはその票に食べるごとに魔法の印が押されるので、全て食べないとその票の者は皆の前で食べてないドーナッツを食べる事になるので注意してくれ」
「必ず全部食べないとだめですか?」
「そうじゃ」
うっわぁ~。
何それ?
食べてないドーナッツあったらみんなの前で公開処刑?
ジップロク村長それだけ言うと準備があるからと言って行ってしまった。
私たちはその後姿を見ながら顔を見合わせる。
「ドーナッツ全部食べろと……」
「お姉ちゃん、ドーナッツ怖い……」
「二日後ですか……」
私たちは肩を落としながらとりあえず宿を探すのだった。
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