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第十章:港町へ
10-11港町への道
しおりを挟む「う~ん、天気いいねぇ~」
ルラはそう言って大きく伸びをする。
着込んでいるフードの頭の部分を後ろにおろしているからルラの長い耳が心地いい日差しの中に揺れている。
ただし、ちょっぴりだけ血の香りが漂っているけど。
「まさかイーオンの町を出てすぐに魔物に遭遇するとか、やっぱりイージム大陸って物騒よね」
「でもあたしのスキルとお姉ちゃんのスキルがあれば問題無いもんね~」
サーベルウルフとか言うオオカミで牙がやたらと大きく成った魔物だった。
集団で襲って来たけど、ルラのチートスキル「最強」であっさりと数匹倒したら今度は私に標的を変えて襲って来た。
いきなりだったので体全体を「消し去る」のではなく、あの口が危ないと認識してしまい顎だけ「消し去る」してしまったためにそれはそれはスプラッタな光景に……
血流まき散らして鳴き声あげるのがちょっとかわいそうだけど、こちらも食べられてしまうわけにはいかない。
次に襲ってきたのは完全に全部消し去ったけど、後のは動きを止める為に足を消し去ったりとかしたらやっぱり鮮血をまき散らす羽目になって改めて自分のスキルの使いどころを考えさせられた。
「ルラのスキルと違って私のスキルって調整が難しいわね……」
「ん~、そうなの? お姉ちゃんの『消し去る』ってスキル、あたしのより手っ取り早く相手を倒せると思うのになぁ~」
相手を完全に消し去ってしまうのはそうかもしれないけど、無力化を狙おうとするとそれが難しい。
まあ、認識が認定になって急の時はそのまま認証するからさっき見たいにスプラッタになる事もあるんだよね。
「でも使い方によっては便利であるのは分かった」
道中ルラがお肉食べたいって騒いでいて、たまたま近くに山鳥がいたのでそれを捕まえて焼き鳥にしようとしたのだけど、その処理にお湯を沸かすのが面倒なので試しに私のスキルをいろいろと使ってみた。
まず羽をむしる手間を省くために羽毛だけを「消し去る」してみた。
これは案外うまくいって、すぐに丸裸になったのでその次の血抜きも「消し去る」を試してみた。
結果、ここまではうまくいった。
ナイフで山鳥を捌いてみたら血が一滴も流れださなかったので後処理が楽だった。
あ、でも試しに内臓を消し去るしたら砂肝とかレバーとかも無くなってしまった。
あれ、新鮮なのは意外と美味しいのよね。
ちょっと残念ながら残ったお肉を切り刻みながら塩を振って焼き鳥にして食べた。
シンプルだけど美味しかったのよね~。
で、切る時も試しにナイフで無く肉と肉の間にわずかな場所を設定として「消し去る」をしたらこれまたうまくいって簡単にお肉が真っ二つになった。
つまり「消し去る」を使い方では切断に使えるという訳だ。
「通常時にはこっそり使えるように練習もしておきたいな。今後お肉とかさばくのはスキル使ってみるかぁ」
そんな事をぼやいていると、ルラが警告の声を上げる。
「お姉ちゃん、何か来る!」
「ん~? まだ何かいるの??」
もしかしてサーベルウルフの血の匂いに寄ってきた他の魔物かもしれない。
ルラは既に身構えていて何時でもスキル発動の準備をしている。
私も先ほどの失敗を繰り返さないよに気を引き締めるのだった。
* * * * *
「ふぅ~、今日はここまでかな。ちょっと早いけどこの辺で野宿しましょうか」
「うん、分かった~。でも今日はやたらと魔物と遭遇したねぇ~」
アスラックの港町までもうすぐ着くはずだった。
でもやたらと魔物と遭遇するのでその都度対処していたのでなかなか前に進まない。
本来ならもうそろそろアスラックの港町に着いている頃だって言うのに。
「考えても仕方ないか。と、薪が欲しいわね……」
街道から少し離れた所に野宿する場所を探したけど、周りに薪になるようなモノがない。
周りを見渡すとちょっと離れた所に林がある。
仕方ないからあそこへ行って薪を拾おう。
「ルラ、ちょっとあそこの林に行って薪を拾ってくるね」
「ん~、だったらあたしも手伝う」
言いながらそちらの林に向かう。
ルラも手伝うと言ってついて来てくれる。
林はごくごく普通の林で薪となりそうな小枝もそこそこ落ちていた。
「あっちにもっとたくさんあるね~」
ルラはそう言って向こうへと行く。
そこは林と言うより森に近かった。
うっそうと茂った木々。
まだ周りは明るいけど、森の奥は既に薄暗くなっていた。
「そう言えばさ、イーオンの町を出る時にハッドさんが何か言ってたよね?」
「うん、確か大きな鶏の化け物でそのくちばしに触れると石化しちゃうって言う危ないのがいるって」
一応町を出る前にあの町の知り合いには挨拶をしておいた。
そんな中、最近あのイーオンの町の付近には「小さな悪魔」とか言われる魔物を狩りまくっている化け物が出没するとか。
それにアスラックの港町に行く途中にはその鳥の化け物の生息地もあって、万が一にでも遭遇したら逃げるように勧められた。
「確か、コカトリスだっけ? 特定の草しか食べないやつでイーオンの町ではその草から作られる石化防止の薬をやたらと勧められたっけ」
まあ、そんな鶏の化け物なんかそうそう遭遇する事もないだろう。
「お姉ちゃん、あたしお肉食べたい!」
「ルラ、あんたお肉ばかり食べてるとまたお腹壊すわよ?」
「だってあれ見てよ。おっきな鶏!」
言われて指さした先には人より大きな鶏が草を一生懸命についばんでいたのだった。
……うん、あれってそのコカトリスって化け物かな?
よく見てみると特定の草だけはその鳥の化け物がついばんでも石に変わらない。
でもそれ以外の草はくちばしが触れた途端に石に変わって行く。
「なんでこうもタイミングよくいるのよ……」
「お姉ちゃん、鶏肉食べたい!」
私は大きくため息をついてから手をかざしチートスキル、「消し去る」を発動させるのだった。
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