腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~

さいとう みさき

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第十一章:南の大陸

11-14任務完了

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 なんだかんだ言って田ウナギたちを水田から追い払う事に成功をした。
 なので私たちはスィーフの街に戻る事にした。


『うむ、腹も膨れたし怨敵ジュリ様は天界へと行かれたか。さて、我はそうなると暇になるが……』

 そう言いながらヤツメウナギ女さんは私を見る。
 
「えっと、私たちはこの後報酬をもらって迷いの森のエルフの村に帰らなきゃいけないんですが……」

『エルフの村か…… 当時を知っておるエルフがおるかもわからぬな、我は適当にこの界隈を見て回ろうかの、おぬしたちも達者でな』

 そう言って手を上げふらふらと水田から立ち去る。

 うーん、放っておいても大丈夫だとは思うけど、一応はギルドマスターたちには話しておいたほいがいいだろう。


『しかし、蓋を開けてみれば何だったのだろうな……』

「まったくです。途中に出た田ウナギの事もあったからもっと面倒になるかと思いましたけどね。でもまあこれで念願のお米が手に入る!!」


 過程がどうあれ結果が良ければすべてよし! 
 私はウキウキとしながらスィーフの街に戻るのだった。


 * * * * *


「何と! もう田ウナギどもを追い払ってくれたと言うのですか!?」


 街に戻ってギルドに行き、カウンターの奥で書類整理していたボビーさんを呼んで任務完了の報告をした。
 そしてそれまでの経緯も話してあの辺にヤツメウナギ女さんがうろついているだろうけど、害は無いので攻撃しない様に付け加える。


「ヤツメウナギ女ですか…… 田ウナギ女伝説とは全く別物なんですね?」

「だと思いますよ。何せ『女神戦争』の当事者らしいですからね」

「め、『女神戦争』ですと!? あの神話のですか!?」


 まあ普通はそう言う反応をするだろう。
 私だって聞いた話だけど、もう何万年も前の話らしい。
 もっともエルフ族にとっては話が違う。

 うちの最古の長老、メル様と他の最古の長老たちロメ、ナミ、カナル様たち四人の大長老は「女神戦争」の頃から生きていると聞いている。
 実際女神様たちの僕として戦争に加担して太古の女神殺しの竜と戦った事があるそうな……


 ん?

 ちょっと待て?
 太古の竜で女神殺しの竜って……


「あーっ!! それってコクさんの事!? じゃ、じゃあうちの長老様コクさんとその昔戦った事があるっての!?」


 その事実に行き当たり私は思わず一人で驚く。


「お姉ちゃん?」

『どうしたのだリル??』

 コクさん、エルハイミさんを追って竜の姿になって飛んで行ってしまったけどこの事もファイナス長老に伝えた方がいいかな?
 まさかコクさんがついでにエルフの村を襲うってことないよね?


「あ、あの、風のメッセンジャーで伝言お願いします!! あて先は精霊都市ユグリアのファイナス市長で!!」


 私はとにかくその事実を先に伝える為に伝言サービスをお願いするのだった。


 * * *


「いやはや、流石はシェル様のお知り合いだ。助かりましたぞ」


 ファイナス長老への伝言サービスを終えてギルドマスターが報酬をくれると言うので応接間に行く。
 テーブルの上には金貨が入った皮袋が置かれているけど肝心のお米が無い。


「あの、金貨は要らないのでお米を分けてもらえないでしょうか?」

「こ、米ですか…… そ、それがその、現在在庫が少なくなっておりまして、その……」


 グエラギルドマスターはそう言いながら視線を外す。
 しかしここでそれを認める訳にはいかない。


「お・こ・めっ! 分けてください、約束です!!」


「そ、それは分けますがその、量がですな……」

 私が成功報酬で要求したのはお米一年分。
 コメ袋にしておよそ十二袋分!
 決して破格の量と言う訳ではない。


「実はその、どうしても納品で精霊都市ユグリアと魔法学園ボヘーミャに米を届けませぬといけないもので、余裕があるのは二袋までなのです……」

 二袋って、毎日ご飯を三合炊いて食べたとして一袋一月ちょっと。
 そんなのじゃ全然足らない!!


「約束の数に対してだいぶ少ないですね?」

「だ、だからその分は金貨で手を打とうじゃないかと?」

「ほほぉ、私にはお米を渡せないと。では仕方ありませんシェルさんを呼びましょうか?」


 ゆら~っと立ち上がり私は瞳の色を変えずにそうグエラギルドマスターに言うと悲鳴が上がる。


「ちょっと待ってくれぇっ! シェ、シェル様だけは勘弁してくれっ! もうあんな思いをするのは勘弁だぁッ!!!!」


 頭を抱えて嫌々と振るグエラさん。
 その隣でガクガクブルブルしているボビーさん。

 思わずノリでシェルさんの名前を出しちゃったけど、シェルさんあなた一体全体ここで何したんですか!?


「とにかく回せるだけのお米は回してください。後は仕方ないので金貨でもらいます。それとエルフの村にもお米回してもらえないですか?」

 私は将来の事を考えてそう言う。
 お金は何とかするとして、お米の安定供給は是非にでもしてもらいたい。


「わ、分かりましたからシェル様だけはご勘弁をぉぉぉぉっ!!!!」


 涙目のギルドマスターを見ながら私はもう一度シェルさんを思い出しながらここをの中で言う。


 シェルさん、一体何したの、と。

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