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第十三章:魔法学園の日々
13-12お出かけ
しおりを挟む「はぁ~、逃げられた……」
翌朝朝食の準備をしているとソルミナ教授が勝手口から入って来た。
目の下にクマを作っている。
「あら、ソルミナお早う。どうだったの昨日は?」
「おはよう…… 駄目よ、兄さんったら先手使って離れにいなかったの。しかも幻影魔法までかけて寝ているように見せるから、私一人で最初盛り上がっちゃって甘~い声出したり自分で色っぽくしながら近づいたりして下着脱いで迫ったけど、いざって時に兄さんの姿が掻き消えて……」
いやいやいや、わざわざ具体的に話さなくていいからぁ!
朝から思わず赤面してしまう私。
「そうかぁ、ソルミナもうまく行かなかったかぁ~。私も昨晩は普通であまり激しく無かったわ。おかしいわよね、あの薬盛ったはずなのに。前に盛られたユカなんかそれはそれは凄くて、私も何度も…… 凄かったぁ~♡」
だから言わなくていいからぁッ!!
駄目だ、お台所は女の井戸端会議の場所だって聞いた事はあったけど、ここまで赤裸々に話されると聞いてるこっちが耐えられない。
「そう言えばリルはどうだった? 昨日のルラは激しかったんじゃないの?」
「はい?」
私が真っ赤になっているとマーヤ母さんが耳元でそんな事を言ってくる。
思わずドキリとして耳を跳ね上げてマーヤ母さんを見る。
「あ、あの、なにが///////?」
「あれ? あのたこの味噌和えに薬が入っていたはずだけど。あの時ルラが食べたと思ったのだけどね~、もしかして間違って他の人に行っちゃったかしら?」
なんですってぇっ!?
じゃあ、ルラのあのおかしな行動ってそれが原因!?
「あ、あのマーヤ母さんなんでルラの食事にそんな薬が……」
「リルが作ってくれたあれはユカの好みのおつまみだから確実に食べさせるためにそれに垂らしたのだけど、垂らしていたのをリルがもってっちゃったからどれが誰の所に行ったか分からなかったのよ。で、三つくらいには混ぜたはずなんだけど、一つはソルミナがしっかりとソルガに食べさせたはずで後二つはユカとルラが食べたっぽいのだけどね…… ユカじゃなかったって事は……」
私かマーヤ母さんかソルミナ教授、そしてファイナス長老……
「私とソルミナとリルは大丈夫そうだから、そうなると……」
「そ、それってもの凄くまずいんじゃないですか!? ファ、ファイナス長老にそんなモノ盛ってたら!!」
もしかしてあの物静かなファイナス長老が肉食系に!?
ま、まずい。
ばれたら怒られる!!
「おはようございます。おや? ソルミナまで来ていたのですか?」
「ぴぎゃぁっ!」
いきなり後ろから声がかけられる。
驚き恐る恐る後ろを見るとそこにはユカ父さんがすっきりした顔で立っていた。
「あらぁ、ユカ♡ おはよ♪」
「おはようございます、マーヤ///////」
言いながら顔を赤くするユカ父さん。
やめて、生々しい!!
「おはようございます、学園長。所で兄さんどこだか知りませんか?」
「ソルガですか? ソルガならファイナス市長と朝から」
それを聞いた私とソルミナ教授は顔を合わせてユカ父さんに聞く。
「「何処にいるんですか!?」」
「ああ、ファイナス市長とソルガなら離れの茶室に……」
それを聞いた私とソルミナ教授は走り出していたのだった。
* * * * *
「やはりそうでしたか。一口味わっておかしいと思ったので内緒で吐き出していたのです」
私とソルミナ教授はファイナス長老の前で正座して怒られていた。
そしてソルガさんは体中をロープで縛られていて鼻息荒く吊るされていた。
「ソルガにソルミナに毒を盛られたようだからここで縛り付ける様に頼まれたのですが、どうもうまく行かないものです」
ソルガさんはそれでも手足を逆に部屋の中央に吊るされていた。
ファイナス長老はため息を吐いて言う。
「私があと三千歳も若ければ相手をしても良かったのですが、流石に若い男性は体がもちません。それにソルガはマニーに操をたてているというのでここに縛り吊るしたのです。しかしソルミナ、リル。分かっていますね?」
「「は、はい……」」
私はしゅんとして頭を下げる。
勿論ソルミナ教授も。
「愛の形は様々ですが、相手の意思を無視してはいけません。それにリルはまだエルフとしては若木。早すぎますよ?」
こうして小言を一時間近く言われやっと解放される。
ソルガさんもファイナス長老に解毒の薬を飲まされてやっと落ち着く。
「ソルミナ! いい加減にしろ!!」
「ふえぇ~ん、兄さんが何時まで経っても私を受け入れてくれないからです~!!」
「俺にはマニーがいる。いくらお前が可愛い妹でもつがいにはなれん!!」
「ぐず、ぐず…… 可愛い? 兄さん、今のもう一回言ってください!!」
「だぁ~っ!! もう言わん!! 離れろソルミナぁッ!!」
懲りないソルミナ教授。
私は大きなため息をつくのだった。
* * * * *
「それでは世話になりましたユカ。また帰りに寄りますね」
「分かりました。リル、ルラこれを持って行きなさい」
ユカ父さんはそう言ってマーヤ母さんから風呂敷包みを二つ手渡して来る。
「ユカ父さん、これは?」
「ぐっ、リ、リル、ユカ母さんでも良いのですよ…… それはお酒です。ガレント王国とティナの国に行くのです。手ぶらと言うわけにはいきません。ちゃんとご挨拶をするのですよ」
ユカ父さんはこう言う所がとても律儀だ。
私は頷いてそれを受け取り腰のポーチにしまう。
ちなみに今はエルフ族の衣装を着ている。
流石に学園の制服で行く事は出来ないもんね。
「それと一応『戒めの腕輪』も外します。学園外ではそれをつけていても魔法は使えますが勘違いした輩が私の娘たちを襲わないようにするためです」
言いながら「戒めの腕輪」を外す。
そう言えばそんなのもあったなぁ~。
試験場とかソルミナ教授の研究室は影響が無いから忘れてた。
「ねえリル、学園長ってやたらと律儀ね? お父様宛の親書まで渡されたわ」
「そうですわねぇ、私もお父上に親書をあずかりましたわ~」
一緒に移動するヤリスやアニシス様、サ・コーンさん、ウ・コーンさんにスィーフの皆さんまで来ている。
まあアニシス様の話ではエルフの魔力量は多いからファイナス長老であればこれだけいても一気に転移は出来るらしい。
「まあユカ父さんですから……」
私はややもあきらめ気味にため息を吐きながらそう言う。
でもガレント王国やティナの国に行ける。
エルフの村からまた出る事が出来たけど、この世界は大変な事があってもやっぱり面白い。
生前の世界とは全く違うんだもんね。
「さて、それではそろそろ行きます。皆さん宜しいですか?」
ファイナス長老はそう言って手を挙げ魔力を高める。
「行ってきます、ユカ父さんマーヤ母さん!」
「行ってくるね~」
私もルラも二人に手を振りながらそう言ってゲートが発動する。
そして私たちは一気にガレント王国へと旅立つのだった
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