安瀬乃片敷六丁目六番地六号より

takaue.K

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第二十一話 花粉症

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 よお、久し振り。…あ、これ、やっぱ気になる?
 まあいいけどさ。

 …お前、俺と同じで重度の花粉アレルギー持ちだったよな。ああ、あの目薬の先端で角膜掻くやり方、お前の影響なんだよな。
 でさあ、今年、花粉すごかったじゃん?

 え、そうでもない? マジ?
 体質かなぁ?

 俺、今年は地元に戻ってたんだけどさぁ。
 これまでに無いくらいすげー酷くて。
 脱水症になるかってくらい、涙と鼻水がとまんねーの。
 なんせ寝てる間におぼれるかっつー勢いで枕カバーがびちゃびちゃになるんだぜ。

 でも、一番きつかったのが目でさぁ。もう、かゆすぎ。
 うち過ぎて目薬、すげー勢いでなくなんの。
 で、たまたま夜中に無くなっちゃってさぁ。

 いやあ、あれは今思い返しても参ったね。
 かゆくてかゆくて、掻いても掻いてもおさまんねーの。
 虫刺されとかあんじゃん? 掻いたら掻くだけ痒みが激しくなる、あれ数百倍にした感じ。
 でもってさぁ…最初は薬の出ない目薬でガリガリ掻いてたんだわ。

 …ひくなよ。お前が聞いた話じゃねーか。
 判った判った、要点だけ言うわ。

 これ、別に目薬のせいじゃねーぜ。
 次第に目薬だけじゃ物足りなくなってさぁ。
 やっぱあのスカッと染みる感覚がないと物足りないんだわ。

 でも、痒みはそんな事情おかまいなしに酷くなる。
 半ば無我夢中で掴んだのが、鼻毛きりだったんだ。
 …ああ、先端が丸くなってない奴な。

 後はお察しのとおりって奴よ。

 …なんだ、信じてないのか?
 なんでそんな明るいのかって?

 ほれ。引くなよ、お前が信じないからだろ。

 ……まあ、確かにちょっと不便なんだけどさ。

 あんとき、知ったからな。

 どんだけ、気持ちいいかをさ。
 お前だってわかるだろ?
 マジ辛いとき、目玉取り出して洗えればとか思うじゃん?

 腰が抜けるほど、魂が吹っ飛ぶほどの快感。
 あれを知っちまったら後悔なんかあるわけねーよ。

 幸い、まだあと一回は楽しめる。
 いつにするか、それを想像するだけでわくわくするんだ、ハハッ。

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ツギハ12ニチ19ジ
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