冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス

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8話

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今日は桜さんと会う日だ。

「……お、お兄ちゃん」

階段を降りたところで、妹と鉢合わせた。
油断していた。

「お兄ちゃん……私」

「悪い。今、急いでるから」

「まっ――」

優は妹の手を無視して通り過ぎた。



「優、来てくれてありがとうね」

「いえ。俺も、会いたかったですから」

桜さんは、動画の方で何度もコラボしてきた仲だ。
今日は、その企画の相談だった。

新しい動画シリーズの話。
でも、それ以上に――
何か、彼女の雰囲気が少し違って見えた。



「……はぁー」
「はい。本当に、これからは我々も注意して……」

学校では、鳴り止まない苦情と迷惑電話に職員たちが疲弊していた。
授業どころではない。

生徒たちは“冤罪事件”で心を病み、
一部ではストーカーまで出ているという。

「……優に、まだ連絡がつかないのか?」

元・優の学年主任は、何とか優と連絡を取って、
“世間にやめるよう訴えてほしい”と考えていた。

だが、全く繋がらない。

先生自身も体調を崩し、
退職届を出していた。

学校は、もう地獄のようだった。
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